今週は阪神競馬場で第56回・京都大賞典(GII、芝2400m)が行われる。昨年の2着馬キセキは今年に入り金鯱賞5着、クイーンエリザベス2世カップ4着や宝塚記念5着などまだまだ衰えを感じず、相性の良い阪神に戻り一発を期待したいところ。AJCCで重賞制覇を果たすもそれ以降凡走が続いているアリストテレスは1年ぶりにM.デムーロが跨る。素質は高いだけに好走は必須だろう。その他阪神巧者のヒートオンビート、アイアンバローズ、ダービー馬マカヒキなども虎視眈々だ。
ここでは京都大賞典の歴史と出走想定メンバーの展開を読み解き、馬券のヒントとなる「危険な人気馬」としてアリストテレスを取り上げたい。
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■三冠馬コントレイルに肉薄したアリストテレスの明と暗
まずは、アリストテレスの近3走について考察する。単勝1.3倍と圧倒的な人気に推された3走前の阪神大賞典は、これまで通り6番手で構え直線まで脚を溜めていたがタフな阪神の重馬場に脚をとられ末脚不発、7着と大敗した。前々走の天皇賞・春も道中は6番手に構えていたものの、最後の直線では前を行く上位3頭になかなか迫ることができずに4着に惜敗。そして前走の宝塚記念でも6番手前後に構え、最後の直線を迎えるもやはり伸びることはなく9着に大敗した。
戦歴からも「中長距離でポジションが取れ、長い末脚を使える強みを持っている」と言え、また三冠馬コントレイルにクビ差迫った勝負根性とスタミナも高評価に値する。しかし今年に入ってから3戦凡走しているように昨年の勢いは影を潜めており、好走できる条件が絞られていると見るべきだろう。
■ベテラン勢が集まる一戦で重要なポジショニング
今回、アリストテレスにとっては自身が得意とする「4コーナー4番手以内」で通過できるかが焦点になる。
出走メンバーを見ると、キセキやステイフーリッシュ、ダンビュライトなどの中長距離重賞で正攻法の競馬を得意とするベテラン勢が多く、それに加えてベレヌス、ヒートオンビート、アイアンバローズといったフレッシュな先行馬が参戦。つまり、アリストテレスが好走できる条件としては「3コーナー過ぎに逃げ馬、先行馬をマクり4角先頭でゴールまで脚を伸ばす」か「ダンビュライト、ステイフーリッシュとともに併せながら4角4番手以内で直線に入る」の2つに限られてくる。
また、今回跨るM.デムーロ騎手は、アリストテレスに1年ぶりの騎乗。中長距離では大味な競馬をする騎手だが、恐らく今回はオールカマーでグローリーヴェイズを好走させた「スタートから後方待機させて3コーナーで先団まで捲りきり、長く脚を使わせる」という戦法をとってくるだろう。自分に手が戻ってきた為、是が非でも重賞で結果が欲しいという「強気な競馬」をしてくるだけにこのジョッキーが展開を左右してくるだろう。
しかし、1966年から始まり、今回で56回目を迎える京都大賞典の歴史において、外国人騎手は一度も優勝したことがない。デムーロ騎手を筆頭に、モレイラやルメール、ピンナなど世界で活躍する一流ジョッキーでもこのレースでは全く結果が出ておらず、デムーロ騎手自身も19年にグローリーヴェイズ(1番人気)に騎乗するも6着に敗れている歴史もアリストテレスの不安材料となるだろう。
■馬券の妙味を考えると最終結論は「消し」
ここまでアリストテレス関する不安要素を紹介したが、長距離路線で活躍する重賞馬が秋の飛躍に向けここに出走してくれたことに敬意を表したい。
ただ、馬券の妙味を考えると、ここは「消し」の評価。
本命はヒートオンビート。阪神コースは【1-5-0-1】と崩れておらず、重賞初出走となった目黒記念でも2着に好走しているように格上挑戦に燃える馬。ここで結果を残せばジャパンC参戦も示唆に入ってくるだけに、本レースにかける本気度は高い。対抗は、先行し自在に脚を使える強みがあるダンビュライト。鉄砲は【0-2-1-3】と半々だが、人気的にも狙うなら今回が買い時で、この馬も一戦必勝スタイル。アタマも想定したい。
以下、押さえでステイフーリッシュ、ベレヌス、アイアンバローズ、ロードマイウェイとする。ロードマイウェイの近3走は苦手な左回りを走り凡走を繰り返しているが、大阪城S(リステッド)やチャレンジCなど阪神で度々上位を賑わせている。この馬が波乱の使者になることも想定したい。
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文・西舘洸希(SPREAD編集部)