今回のインタビューは、果たして本当に「インタビュー」と呼べたのかどうか、書き手としては少々不安に思わざるをえない体験でもあった。通常、インタビューは質問に対し回答を引き出す形式だと考えている。しかし、早川さんには最初のトリガーを与えたのみで、その後はフリートークのように話題が湧き出てくるのだった。
「松下さんからのお話では『多くの上場企業がスポンサーについているから心配ない』という口説き文句だったんです。それが実際に各企業を回ってみると、決定済だったのは、なかったんですよ」と、これもまた早川さんは笑い飛ばす。
それでもほぼ即決で卓球の世界に飛び込んだのには、これまで人がやってこなかったリーグにチャレンジするベンチャー気質があったからだと自身では分析している。
「これから作り上げられるリーグだから、魅力を感じました。私自身、もはや出来上がっているものには情熱を感じないのかもしれません。選挙も事業の立ち上げも、同じです。人がやってなかったこと、それがスポーツの業界でできるチャンスだと計算していたのかもしれない」と振り返る。
結果的に自分がスポーツを引き受けた課題は何だったのか。引き受けたことによって何が実現できるか。どんな社会課題を解決できるか。こうした志に賛同してもらえるように営業を展開。「ビジョンはこう、スピリットはこう、そしてこんなことしています。そうして口説いてきましたが、まだ190社です」。いやいや、190社と相対するだけでも、並外れたフットワークの良さだ。
◆【インタビュー前編】琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社早川周作代表取締役社長 「スポーツは儲からない」を豹変させた卓球
■スポーツも時代はトークン、NFT
琉球アスティーダはトークン型クラウドファンディング「FiNANCiE」を活用し7月より国内初のクラブトークン発行を始めている。クラブ運営において、既存のビジネスモデルの柱であるチケット・セールスとスポンサー収益だけに頼らない独自のクラブ経営モデルの構築、および「スポーツ ✕ 〇〇」という掛け算的思考と世界を目指す挑戦を見据えての動きという。
「クラブトークン」はすでに欧州を中心とした海外チームで、ブロックチェーン技術を活用し、オンライン上でのファンサービス・クラブ応援ツールとして注目されており、バルセロナFCやユベントスなどでも展開されている。特に耳目を集めているのは、NBAが活用しているNFTで、NFT化された固有の動画が高額で取引される例も登場している。

撮影:SPREAD編集部
「トークンについては1年半前から妄想を繰り広げて来ました。世界でも卓球人口は増えていますし、ブロックチェーンを活用して卓球を、テーブルテニスを、世界に広げていくことができないか……その価値を高めていくことで、インドやアフリカにまで広げていくことができると考えています。トークンを活用し資金調達し、いずれはロシアのチームや中国のチームとの互換性も可能になる。NFT化することで、(選手に)センサーを付け動作解析をし、それを(練習向けの動画として)サブスクで海外にまでセールスすることもできるかな……とか。つまり世界で活用できますし、競技人口が増えれば増えるほど、その価値も上昇する。これを次のチャレンジに活用したい」と、その可能性を語る。