【ターニング・ポイント】ヤクルト20年ぶり日本一、川端慎吾の神決勝打を演出したワンプレー

東京ヤクルト・スワローズは27日、日本シリーズ第6戦で延長12回の末、オリックス・バファローズを破り2001年以来20年ぶりとなる6度目の日本一を掴み取った。

6戦にわたりすべて2点差以内で勝敗を決するという昨年までの日本シリーズと打ってかわった日本一決定戦に終止符を打ったのは、代打で登場した川端慎吾のひと振りだった。2015年、セ・リーグ王者となったシーズンには首位打者に輝いた好打者も近年は故障に苦しみ、今季は代打の神様としてシーズン30本の安打を記録。これは15年の優勝監督・真中満さんが現役時代に記録した代打シーズン安打日本記録の31本にあとひとつと迫る活躍だった。また、川端の代打出場での打点は18。これまた2001年の優勝監督だった若松勉さんが残した球団記録に並ぶ活躍だ。この勝負強さが、シーズン最後の大舞台で発揮されたかたちだ。

■勝敗を決したワンプレー

ヤクルトは12回の表ツーアウト、ランナー無しの場面から1番の塩見が出塁。もちろん、決勝点になりえるランナーではあったが、代打で川端が登場した場面でも、オリックス側にまだ心理的余裕が残されていたはず。12回を越えた延長はなく、あとアウトひとつでヤクルトの勝ちがなくなる場面。つまり、オリックスにとって勝ちは残るが、「負けはない」が成立するまで、アウトひとつだった。

この場面でもっとも大きかったのは、キャッチャー伏見寅威のパスボールだ。吉田凌のスライダーを弾き、一塁ランナーの塩見の二進を許してしまったプレーが敗戦につながった。

全戦2点差以内の接戦……これの勝敗に影響したのは、エラーと四球だろう。打のチームに映ったヤクルト、投のチームに見えたオリックス。しかし、日本シリーズの成績を振り返ると安打数ではオリックス49に対しヤクルトは43、得点圏打率はオリックスの.270に対し、ヤクルトは.205。オリックスが勝る成績を残している。しかし、これが得点となるとオリックスの16に対し、ヤクルトは19となる。

このマジックにはエラーが絡む。オリックスはシリーズ中の失策が6、そしてこの「捕逸」が1、 対するヤクルトは失策3だ。第6戦も山本由伸の力投により救われたが、オリックスは2つのエラーと伏見のパスボールを記録している。また四球も加わる。オリックス投手陣の与四球は21、対するヤクルトの与四球は15。四球は確実に安打ひとつの価値を持つ。オリックスは安打数で6本勝りながら、ヤクルトよりも2つ多いエラー、加えて捕逸、6つ多い四球により、その勝算を帳消しにしてしまっているかたちだ。

力の均衡が取れた熱戦の日本シリーズ、実はこんな地味なプレーに、ターニング・ポイントはあった。

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著者プロフィール

たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー

『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨーク大学などで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。

MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。

推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。

リトルリーグ時代に神宮球場を行進して以来、チームの勝率が若松勉の打率よりも低い頃からの東京ヤクルトスワローズ・ファン。MLBはその流れで、クイーンズ区住民だったこともあり、ニューヨーク・メッツ推し。


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