【テニス】全豪前哨戦でツアー初優勝、穂積絵莉・二宮真琴ペアが完成させた「1+1=3」の方程式

ツアー初優勝を飾った二宮真琴(左)と穂積絵莉ペア(C)Getty Images

シーズン早々、すっかりと小麦色に焼けた2人が満面の笑みを見せ優勝トロフィーを掲げた。幾度もの接戦を乗り切り、手にしたものは大きな意味がある。現地時間13日、穂積絵莉二宮真琴ペアが、全豪オープンの前哨戦であるアデレード国際2(WTA250)でテレザ・マルティンコバ/マルケタ・ボンドウソバ(チェコ)組を1-6、7-6(4)、10-7で破り、同ペアでのツアー初優勝を果たした。

◆全豪オープン・プレビュー 男子「新ビッグ3」の牙城を崩すのは誰だ 女子本命は地元の星バーティ

■磨き上げたコミニュケーション

試合序盤はチェコペアのパワーとスピードに少し押され0-4と離されるが、穂積の落ち着いたボール回しと二宮の強気なネットプレーで応戦。序盤からマルティンコバのプレーには迷いがなく、ボンドロウソバが上手く合いの手を入れゲームを構築していく。劣勢だった日本ペアは「とにかく1ポイントずつ粘り強くプレーをしよう」と話し合い、スイッチプレーヤーリターンダッシュを取り入れゲームに変化を生み出した。

この判断は第2セットに入り、徐々に流れを変えていく。穂積のサービスゲームをキープし1-1にしてからは2人の勢いが加速。穂積は後衛から針の穴に糸を通すかのようにストローク精度を上げ、二宮のネットプレーを助ける。二宮もパートナーのセットアップに機敏な動きと優れた判断力で呼応すると、相手コートにボレーを突き刺し互いの顔を見合わせてガッツポーズをリンクさせた。これこそ2人の強みでありベースのスタイルだ。彼女たちは、ここから様々な戦術を組み合わせ、ゲームを色付けていく。

そしてチェンジコート時によく話し合い、共に相槌を打つ姿も印象的だった。ポイント間では、何も話さなくともシチュエーションごとにやるべきことが決まっているかのように息をあわせていく。このコンビネーションの良さは、昨年末から互いのチームと共に話し合いを重ね、今も試行錯誤を繰り返していることだと穂積は語る。

「今までの経験からダブルスのコミュニケーション能力の必要性は分かっていたつもりでしたが、先週の敗戦からまだまだコミュニケーションが足りないことを痛感しました。試合後、真琴やチームのコーチたちとミーティングをし、『今の自分たちには何が必要か? 何がペアとして成長できるか?』ということを話し合い、確認をしました」。

■大ピンチで穂積が好セーブ「最後まで粘り強く戦えた」

94年組で同期の穂積と二宮。ジュニアの頃から互いを知り、共に大好きなテニスでしのぎを削ってきた仲だ。プロ転向後は2018年の全仏オープンで準優勝という快挙を成し遂げているペアだが、チームの成熟を目指し常にミーティングを欠かさなかったと穂積は続ける。

「試合中にも試合後にもお互いの気持ちを伝え合い、小さなことも共有していくことで、タフな場面でもお互いが何をすべきなのか、どういう気持ちでプレーに入るべきなのかということが分かるようになってきました」。

共に構築してきた勝利への阿吽の呼吸は、パズルのピースが合わさるように互いの良さを引き出し続けた。2人が放つ上昇気流にチェコペアはプレッシャーを覚え、必要以上に日本ペアの動きを見ることで打つコースの選択に迷いが生まれていった。

また二宮は「試合の中で、より早く相手の短所を見つけ、シチュエーションごとに攻撃のメリハリをつけることが重要」と話し、勝負の流れを見極めながら使う武器を見定める目をこのツアー生活で養い続けてきた。実際に序盤の劣勢時にも地道に各ポイントでフォーメーションを使い分けてきたことが、時間が経つにつれ相手に打てる場所を限定させていったように見えた。そして隙を見つけては高速ラリーの流れに入り込み、高度なポーチ技術を駆使し得点を重ねていった。

このプレーから第2セットは日本ペアが5-4とリードするが、第10ゲームをブレークバックされ、5-6のビハインドに立たされる。毎ポイントの攻防戦のなか、思い切りの良さが試されているような展開が続き、40-40の1ポイント勝負を迎えた。相手にとってはマッチポイントとなる勝負所で、二宮のストロークがネットに当たり、ボールは穂積の目の前、マルティンコバのアタックポイントに入り大ピンチを迎えた。しかし「最後まで粘り強く戦えたことが勝因」と語ったように、穂積がボレーで好セーブ。後衛に戻ったボールをボンドロウソバがミスし危機を脱した。九死に一生を得た日本ペアは、「この流れを離すまい」となお一層、積極性ある攻撃を重ねて第2セットを奪い返した。


この記事が気に入ったらフォローしよう

最新情報をお届けします