30日に東京競馬場で第36回・根岸S(GIII、ダ1400m)が行われる。昨年の武蔵野Sを勝利したソリストサンダー、同舞台で行われたグリーンチャンネルC、霜月Sを連勝しここへ挑むヘリオス、重賞で堅実な成績を収めているオメガレインボーなどが出走予定だ。
ここでは根岸Sの好走条件と想定メンバーから展開を読み解き、馬券のヒントとなる「危険な人気馬」としてソリストサンダーを取り上げたい。
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■6歳にして初の重賞タイトルを手にした武蔵野S
まずはソリストサンダーの前走武蔵野Sについて分析する。
まずまずのスタートから道中は7番手付近のポジションで競馬を進めた。4コーナー付近からピッチが上がると馬群の外目から進出し、直線は前にいたダイワキャグニーを目標に長く良い脚を使い続けて、2着馬に約1馬身差をつける勝利だった。
かしわ記念(JpnI)2着やマイルチャンピオンシップ南部杯(JpnI)3着など、地方交流重賞の実績を含めたこれまでの戦歴からも「高い競馬センスを保持し、番手問わず堅実に末脚を使える重賞実績馬」と評価できるだろう。また、武蔵野Sからのローテ成績が【3-1-1-4】 勝率33.3%、連対率44.4%、複勝率55.6%と好成績を収めていることに加え、前回勝利に導いた戸崎圭太騎手が継続騎乗となる今回も好走の期待が高まるのは当然だろう。
しかし、今回は約2年ぶり(当時9着)の1400m戦となることに加え、近走では速い上がりを使えていない現状からもソリストサンダーに一抹の不安が残る。
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■武蔵野Sのラップに隠された罠
次に、好成績を収めている前走・武蔵野S組の好走馬について分析してみる。

このように好走していた5頭はいずれも「武蔵野Sで敗戦」という共通点があった。2014年より、1着馬にチャンピオンズCの優先出走権が付与されている武蔵野Sは「チャンピオンズCの前哨戦」と位置付けられているため、基本的には武蔵野S→チャンピオンズCというローテが主流となっている。ソリストサンダー陣営は武蔵野S快勝後、「1800mは少し長く感じるものの、体調を見てチャンピオンズCに向かう」と表明していただけに、体調が整わなかったために回避してフェブラリーSに矛先を向けてきたのだろう。
また、根岸Sは前後半のラップ差が0秒~1秒といった「ミドルペース」になりやすいレース傾向にあり、前走の武蔵野Sで前半4F46秒5、後半48秒5といった前後半で2秒の差があるハイペースを経験してしまったことが仇となる可能性もある。
つまり、武蔵野Sを勝利したという結果だけで実力以上に人気してしまう傾向にあるため、レース内容と質を見極めなければならないのだ。前述で述べた通り、前走の武蔵野Sで前半4F46秒5、後半48秒5といったハイペースのラップでの勝利だったことに加え、今回ミドルペースの逃げで結果を残してきたヘリオスが出走してくるだけに、今回想定される展開を踏まえると、自在に差し脚を使って前を捉えるも後続馬に差されてしまい掲示板までという結果も想定される。
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■好走に必要なのはキレと勢い
次に根岸Sの好走パターンについて分析する。
・3F 1位【5-2-2-2】 勝率45.5% 連対率63.6% 複勝率81.8%
・3F 2位【3-1-3-3】 勝率30.0% 連対率40.0% 複勝率70.0%
・3F 3位【2-1-1-6】 勝率20.0% 連対率30.0% 複勝率40.0%
・3F ~5位【0-4-3-15】勝率0.0% 連対率18.2% 複勝率31.8%
・3F 6~位【0-2-1-99】勝率20.0% 連対率2.0% 複勝率2.9%
このように「上がり最速馬」が最多の5勝を挙げており、昨年はワンダーリーデル(10人気)が上がり最速の末脚で2着、2020年にはスマートアヴァロン(9人気)が上がり最速の末脚を繰り出し3着、19年はコパノキッキング(2人気)が上がり最速の末脚で勝利するなど、5年連続で馬券内に好走している。
一方、ソリストサンダーは昨年から一度も上がり最速の末脚をマークできておらず、重賞戦線では上がり2位までが精一杯といった結果となっている。マイルチャンピオンシップ南部杯やかしわ記念でも特に目立った脚は見せておらず、堅実なタイプだからこそ人気以上に着順を落とす可能性もある。
また、昨年テーオーケインズでチャンピオンズCを制し、キャリアハイとなる年間27勝をマークした高柳大輔厩舎も今期僅かに2勝とスタートダッシュを決められていないこともソリストサンダーの不安材料となりそうだ。以上の不安点から馬券の妙味を考えると、ソリストサンダーは「消し」の評価。
「後編」ではソリストサンダーに代わる本命、そして穴馬4頭を含めた結論を紹介する。
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文・西舘洸希(SPREAD編集部)