【ダンス】沸騰するラウンド7の覇者は観客を魅了する術を心得たSEGA SAMMY LUX

SEGA SAMMY LUX(C)D.LEAGUE 21-22

雨かみぞれか……。

凍てつく空の下、降りしきる冷たい雫(しずく)に覆われた東京ガーデンシアターで13日、Dリーグ・ラウンド7が開催された。前回のラウンド6ではコロナの影響によって欠場となってしまった3チームもカムバックし、11チームそろっての戦いの復活である。

このラウンド7はセカンドシーズン全12ラウンドの折り返し。チャンピオンシップまでの長き戦いとなる後半戦のスタート地点であり、ファーストシーズンから数えると、通算19戦目となる。あらためて、このわずか1年半余りの間に各チームで実に19作の新ナンバーが作られ、また、踊られてきたという事実には驚愕するばかりだが、今回も楽曲から衣装、テーマまで、本当に楽しくバラエティ豊かで、彼らの持つすべてのスキルやアイデアが詰め込まれたであろう、見応えたっぷりの11作品が全国のダンスファンに向けて贈られた。

◆【実際の映像】“液体の金属”のように波打ち異彩を放ったSEGA SAMMY LUXと、“クセになるグルーブ”で会場を沸かしたCyberAgent Legitのパフォーマンス

■“銀色のうねり”に宿った不思議な求心力

SEGA SAMMY LUX(C)D.LEAGUE 21-22

そんなラウンド7は、安定した強さで総合ランキングでも2位につけているSEGA SAMMY LUXが、ラスベガスのショーをテーマとしたLUXらしくゴージャスで大人の色気を感じさせるナンバーで優勝をさらった。毎作品、かなり趣向が凝らされた完成度の高い衣装で登場するLUXだが、今回のめらめらとシルバーに輝くコスチュームも、彼らの滑らかで力強いボディムーブメントによって、まるで“液体の金属”のように波打ち異彩を放った。

また、以前もSPダンサーとして登場していたRAARAが紅一点ダンサーとして加わり、彼女のグラマラスな肢体を核として、LUX全員が作りだす“銀色のうねり”が波打つ様は、不思議な求心力を宿し、観る者を釘付けにする魅力をたたえていた。観客を惹き付ける術を知っているという点において、LUXは確信的で一枚上手であり、それが強さの秘訣でもある気がする。

ちなみにRAARAは、このラウンドから新メンバーとしてレギュラーでLUXに加わることが発表された。彼女の起用で、今後の作品にどのような新たな展開が生まれることにとなるのか、楽しみだ。

この日、惜しくも2位となったのは、現在総合ランキングでは1位に君臨するFULLCAST RAISERZ。彼らの“衣装”は、優勝したLUXとは対照的にRAISERZの持ち味でもある鍛え上げた肉体をさらけ出した、裸の上半身にジーンズのみという余分な装飾無しのシンプルな出で立ちだ。今ナンバーのテーマは、一個人の人生を川の流れのようにとらえたという「Life Time」。素のままの人間の苦悩や葛藤、そこに立ち向かう闘志や勇気が、いままでのナンバーよりもさらにストレートに、ドラマティックに表現されたものとなっていた。彼らの、さらけ出された肉体で表現された踊りの雄弁さは、このナンバーが始まった瞬間の予感をはるかに超えて強いインパクトを放ち、拳を突き上げる男達の剥き出しの魂の叫びと共に、2分15秒に凝縮された人生が立ちのぼった。今回のこの強力なナンバーによって、RAISERZはさらにファンを増やしたことだろう。

■テリー伊藤氏「今までで一番見ていて楽しかった」

CyberAgent Legit(C)D.LEAGUE 21-22

この度のラウンド7は、これまでと比べても、ひときわ彩り豊かで作品性の高いナンバーが多かった気がするが、テーマと楽曲の面白さ、見ていて俄然元気をもらえるという点で是非触れておきたいのが5位となったCyberAgent Legitだ。

今回のテーマは、ディレクターであり今回はSP(ゲスト)ダンサーもこなしたFISHBOYが、ある日コーヒーを飲んでいるときに「コーヒー美味しいな」としみじみ思ったことから端を発し、「『クセになる美味しさ』を恰好良く表現した」ナンバーだと言う。「コーヒー飲んで格好いいってどういうこと?」と思われても仕方がない。これはもう、実際に映像を見てみてもらうしか、この“ツボにハマった感”の共有のしようがないのだが、使用された楽曲の歌詞は『コーヒー・デリシャス♪ デリシャスコーヒー♪』と只々繰り返し歌っているだけ。だがそこに、小道具としてコーヒーカップを使い演技力も豊かで少しコミカルなLegitの踊りが加わると、まさに“クセになるグルーブ”が生まれ、ああ、こんな魅せ方、闘い方もあるのだと、目から鱗の落ちるような、洒脱で愉しい出色のナンバーが出現している。

レギュラーエンターテイナー・ジャッジのテリー伊藤氏も、「このラウンド7が、今までで一番見ていて楽しかった。観客を楽しませようという意識が、全チームから強く感じられた。」と語っていたが、誠に、ダンスのレベルは勿論のこと、エンターテイメント性までがますます向上してきているDリーグ。ダンサーとは即ち、真のエンターテイナーであるということの真髄に到達せんとする全11チームの次なる闘いは2月28日。各チーム、次はいったいどんなナンバーで魅せてくれるのか。セカンドシーズンの後半戦はますます見逃せない、美しくも愉しき闘いとなるだろう。

◆【実際の映像】“液体の金属”のように波打ち異彩を放ったSEGA SAMMY LUXと、“クセになるグルーブ”で会場を沸かしたCyberAgent Legitのパフォーマンス

◆THE GREAT HEART of“8ROCKS” ブレイキン世界一のISSEI率いる熱き魂

◆日本中の「ダンサー」に幸せをもたらすDリーグ 魂までが踊りだす喜びがここにある

著者プロフィール

Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター
『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー


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