【プロ野球】佐々木朗希、完全試合の真の価値 44年間でたった2度目の快挙

ロッテ佐々木朗希投手が10日、本拠地ZOZOマリンスタジアムで行われたオリックス戦に先発し、史上16人目の完全試合を達成した。マリーンズファンにとって、これ以上はない、うれしいビッグサプライズとなった。

日本プロ野球の完全試合は16度目。1994年5月18日の槙原寛己(巨人)以来、実に26年ぶりの快挙だった。しかも、20歳5カ月と最年少での達成、13者連続奪三振、1試合19奪三振と日本記録のおまけつき。本人にとって、プロ野球公式戦初完投勝利が、完全試合だ。

◆【実際の映像】13者連続奪三振、1試合19奪三振…若きバッテリーで達成した、佐々木朗希の完全試合ハイライト

完全試合の歴史を紐解くと、プロ野球史上初めて完全試合を達成したのは、巨人の藤本英雄、相手は西日本、1950年6月28日の出来事だった。以降50年代と60年代にはそれぞれ5度ずつ、70年代に4度、80年代はゼロ、90年代は槙原による一度のみ。つまり、1978年の今井雄太郎(阪急)以降では、44年間で2度目の達成だった。

投手の分業化、球数制限などが確立した現代野球では、今後も完全試合は起こりにくいと考えられる。もしかしたら、次の完全試合は30年以上先かもしれない。そう考えると、この快挙には箔が付く。ちなみに大リーグでも2012年8月15日(日本時間16日)、シアトル・マリナーズのフェリックス・フェルナンデス以降、約10年間、達成されていない。日本人にとっては2013年4月2日(同3日)、当時テキサス・レンジャーズ所属だったダルビッシュ有が、9回2死までこぎつけながらヒットを許し降板。快挙達成とならなかった出来事は、まだ記憶に新しいところだろう。

■164キロの速球と制球力抜群のフォークで翻弄

プロ3シーズン目の佐々木朗は、井口監督の期待を背負って開幕2戦目に先発登板。石川歩に次ぐ準エースという立場を任された。しかし、3月18日のジャイアンツとのオープン戦で、ツーアウトからランナーをためて岡本和に満塁ホームランを浴びるなど、ファンとしては全幅の信頼は寄せられなかった。

佐々木朗の持ち味は、もちろんスピードボール。高校3年生で時速160キロを出して話題となった。しかし、プロでは球が速いだけでは通用しない。落ちる球、遅い変化球を組み合わせることで、初めてファストボールが生きてくる。佐々木朗も、それを最大の課題として取り組んできた。

完全試合という快挙は、まさにその成果の現れといえる。140キロ台後半のフォークボールを制球力抜群にコントロールすると、最速164キロの速球が冴え渡った。いいときの菅野智之(巨人)やダルビッシュは、見ていて「打てる気がしない」と思わせるが、その域に達したピッチングだった。

■ひ弱さのイメージを払拭して目指すは沢村賞

これまで、佐々木朗には“ひ弱さ”のイメージがつきまとった。それは、大船渡高校3年生の夏の県大会決勝で、「故障防止のため」として監督が登板を回避させた一件を引きずっているからだろう。大船渡高校は決勝で敗れ、甲子園出場を逃してしまった。もちろん、本人の責任ではないが、消すことができない記憶だ。

昨年は5月16日の西武戦のデビュー以来、11試合に登板して3勝2敗。最長登板は8回だった。しかし今シーズンは3月27日の楽天戦で初登板、初回に164キロを記録し、6回までに10個の三振を奪った(3失点、勝ち負けなし)。そして、4月3日の西武戦では8回を投げ3安打1失点、13奪三振の好投で初勝利。誰もが「覚醒」を囁いた。

190センチ85キロの痩身で、足を高く上げる投球フォームは美しい。完全試合はまさに快挙であるが、1勝は1勝。マリーンズファンとしては先発完投型のエースに成長して、ぜひ沢村賞を獲得してほしい。そして、最多奪三振のタイトル。この2冠に輝いてこそ、「令和の怪物」の称号は本物になる。

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著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。


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