記者に問い掛けた「クリスティアーノ・ロナウドはなぜ高給なのか」日本サッカーを変えたオシム氏

過去には日本代表監督として指揮した故イビチャ・オシム氏(C)ロイター

サッカー元日本代表監督のイビチャ・オシム氏が1日、死去した。80歳だった。

同氏がかつて指揮を執ったオーストリア1部シュトルム・グラーツが公式サイトで発表した。2003年に市原(現J2千葉)監督に就任すると、05年にはナビスコカップ(現ルヴァンカップ)優勝。その手腕を買われ、06年7月に日本代表監督に就任。翌07年11月に脳梗塞で倒れ、その後退任したが、「考えながら走る」「ポリバレント」など印象的な言葉で日本サッカー界をけん引し、大きな足跡を残した。

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■定着した「ポリバレント」

シュトルム・グラーツはクリスティアン・ジョーク会長が「イビチャ・オシム氏は我々のクラブ最大のアイコンであり、一緒に過ごした多くの時間を決して忘れません。彼はサッカーをはるかに超えた影響力を持っており、彼の言葉は永遠に我々の心に残ります。心からお悔やみ申し上げます」と声明を発表し、哀悼の意を示した。

J2千葉も2日未明、クラブ公式サイトで追悼コメントを発表。併せて「私たちがオシム氏からいただいた最後の言葉です」として、昨年6月のクラブ創立30周年に贈られたメッセージを紹介した。「本来はJ1にいるのがふさわしいチームだ。どうしたらそこに戻れるのか、考えなければ」「大事なのはアイデアを出すことだ。頭を使うことだ。さまざまなアイデアを出すことが革新につながる。もちろん全部のアイデアが採用されるわけではないが、未来を予測して、それに見合ったアイデアを出すことが大切だ」という言葉を掲載した。

オシム氏が唱えたのは「人もボールも動くサッカー」。そこで選手に求めたのは「考えながら走る」こと。ただ走るのではなく、色んな方向、スピードがある中で、試合状況に応じて選手個々が判断する重要性を説いた。また、1人の選手が複数のポジションをこなす「ポリバレント」も同氏が日本にもたらした“定義”。これらは日本サッカーに定着し、今では日本サッカー界のスタンダードになっている。

そのほかにも「水を運ぶ人」という言葉も記憶に残る。攻撃的なタレントを並べたジーコジャパンの中盤に対して、「守備的な選手、水を運ぶ選手も必要ではないか」と言及。バランスを考えたチーム作りという点で、考えさせられた関係者は多かったはず。

また、ある時は記者陣に対して「クリスティアーノ・ロナウドがどうして高給をもらえるか分かるか」と問い掛けると、しばらくして「トップスピードで走りながらもボールを正確に扱えるからだ。そんな選手は他にいない」と答えを明かした。選手はボールコントロールをミスしないために、自然とスピードを緩めたりするが、C.ロナウドはスピード全開のままプレーしてもミスしない。短距離走者が全力疾走しながらドリブルすることはできないが、C.ロナウドはそれに近いことができるとし、日本人選手の中からもハイスピードを持ち、同時にそれを生かせる技術を持った選手が出現することを待ち望んでいた。

オシム氏は旧ユーゴスラビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)出身。現役時代はFWで、選手時代は旧ユーゴスラビア代表として1964年東京五輪にも出場した。86~92年に同代表監督を務め、90年W杯イタリア大会ではドラガン・ストイコビッチ(元名古屋)らを擁し、8強入りするなど世界的な知将として名声を誇った。

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文・SPREAD編集部


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