プロ野球は、今季も連日熱戦が繰り広げられている。ここに来て、開幕から出遅れていた阪神が徐々に巻き返しを始める一方、好調な滑り出しを見せていた巨人が失速するなど、長いペナントレースならではの展開に、ファンの注目が集まっている。
SPREAD編集部では、1990年代黄金期のヤクルトスワローズでローテーション投手として活躍、その明るいキャラクターでお茶の間の人気者にもなった、野球解説者のギャオス内藤(内藤尚行)さんに話を伺った。開幕から1カ月半が経過したペナントレースの印象や、現役時代のエピソード、引退後の活動に至るまでを熱く語っていただいた。
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■日本ハムの課題は「投手陣の起用法」
プロ野球の開幕が近づくと、毎年恒例で行われる解説者・評論家たちの「順位予想」。昨季のセ・リーグ予想では巨人を推していた内藤さんだが、今季はどのような予想を立てたのだろう。
「今年は順位予想を発表していなかったのですが、巨人(の優勝)だろうなと思っています。ヤクルトの連覇はないのかなと。阪神は、矢野監督が開幕前から辞任を発表したのがどうなるか。現場の選手、コーチ陣のことを考えると、あまりいいイメージは持てないですね」。
パ・リーグに関してはどうか。開幕前から話題だった“BIGBOSS”こと、新庄剛志監督率いる日本ハムがここまで苦戦している要因について、内藤さんは投手目線でこのように語ってくれた。
「日本ハムは、序盤からもう少し勝つと思っていました。ただ、開幕して投手陣の使い方を見てからは、なかなか勝てない理由も頷けます。野球は先発投手が試合を作らないと。抑えの北山亘基を開幕戦に先発させ、短いイニングで変えてしまう起用法も気になりました」。
MLBでは「オープナー」と呼ばれる作戦が浸透している。投球が不安定になりがちな試合の立ち上がりに、全力投球の救援投手を先発させる手法のひとつで、成功例も見られるが、現状はあくまで選手層が薄いチームの苦肉の策、非常時に行われるケースがほとんどだ。
■巨人で要注目の“育成出身投手”
内藤さんは学生時代、江川卓投手に憧れ、選手として出場したオールスターでは、篠塚和典さんや槙原寛己さん、ウォーレン・クロマティさんにもサインを貰ったという“巨人ファン”でもある。今季の巨人にはどのような印象を抱いているのだろうか。
「岡本和真はすごくのんびり屋なんですけれども、巨人の4番に相応しい打者になりましたね。それと、実績がない不安はありますが、ローテーションに若手投手を多く起用しているところが、今までと違い新鮮です。リリーフでは、大勢がプロ初登板でピンチを乗り越えたことが大きかった。先日デビューした(育成出身)菊地大稀はぜひ使い続けてほしい。2、3球見てビックリしましたよ。すごい球を投げていましたね」。
■監督としての信念は「選手がグラウンドに気持ちよく立てること」
現役時代、ヤクルトの黄金期に名将・野村克也監督のもとでもプレーしていた内藤さんは、その教えを受け継ぎ、引退後は独立リーグで監督を務めるなど、指導者としてもプロ野球の世界と関わり続けている。「選手がグラウンドに気持ちよく立てること」を最も大切にし、自分を必要としてくれるところで力になっていきたいと、今後の展望について熱く語る姿が印象的だった。
現役晩年は、中日や千葉ロッテでもプレーしており、現在は古巣の試合を解説されることもしばしば。「京田陽太は、打撃が淡泊なのが長年の課題なんだ」、「松川虎生の、白井一行球審への対応は100点満点だったよ」と、開幕してわずか1カ月半でも、内藤さんからは各球団の豊富な情報が次々と飛び出してくる。長いペナントレースは、まだまだこれから。今季の激闘が全て終わったときに、改めてゆっくりと話を伺いたいものだ。
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文・SPREAD編集部