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甲斐キャノンに封じられた広島カープ、実は盗塁が得意じゃなかった?

甲斐キャノンに封じられた広島カープ、実は盗塁が得意じゃなかった?

2018年の日本シリーズは、ソフトバンクホークスの甲斐拓也選手が、最後まで広島カープの機動力を封じ続けた年として野球ファンに記憶されるだろう。

11月3日にマツダスタジアムで行われた第6戦でも甲斐選手は、広島が企図した2度の盗塁を刺した。甲斐選手はシリーズを通じて6度の盗塁阻止に成功。

ソフトバンクはチームメイトの高谷裕亮選手も広島の盗塁を完璧に封じている。

広島が今シリーズで喫した8度の盗塁失敗は、これまでの記録を塗り替え日本シリーズ最多になった。

日本一チームから選出されるMVPには甲斐選手が選ばれ、ファンからも納得の声が出ている。

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すっかり“甲斐キャノン”の呼び名が定着し、その強肩ぶりが12球団のファンに広まった背景には、広島がレギュラーシーズンで95個の盗塁を記録し、2位以下を大きく引き離してセ・リーグトップのチームだったことが要因に挙げられる。

強肩捕手VS機動力野球の対決がファンの胸を躍らせたわけだが、その盗塁数95個の中身について少しひもといてみたい。

盗塁数は多いが成功率は高くなかった広島

広島の盗塁数95個がセ・リーグでは断トツであることに疑いの余地はない。2位の阪神タイガースが77個だから20個近い差をつけている。問題は企図数に対する失敗数、つまり成功率だ。

ここから先の数値は日本野球機構(NPB)の公式サイトに載っている、2018年シーズン公式戦成績を基にしている。

今季のレギュラーシーズンで広島が成功した盗塁数は95。それに対して失敗数は49個ある。これをパーセンテージで表すと広島の盗塁成功率は66%となる。

この数字だけを単独で見ても判断がつかないので、盗塁数2位だった阪神の成功率を出してみる。

今季の阪神は盗塁企図が98回あり、うち77回成功で成功率は78.5%になる。成功率で並べ替えると実は阪神がセ・リーグで最も高い。

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阪神の場合は主に糸井嘉男選手(25回中22回成功)と、植田海選手(21回中19回成功)が押し上げている。

こうした計算をセ・リーグ全球団分行った結果が次の表だ。

 盗塁企図盗塁成功盗塁刺成功率
広島144954966.0%
阪神98772178.5%
DeNA108713765.7%
ヤクルト97682970.1%
巨人83612273.5%
中日99613861.6%
セ・リーグ合計62943319668.8%

広島は成功数で見るとリーグトップだが成功率では4位。リーグ全体の平均も下回る結果になった。

失敗を恐れずガンガン仕掛ける広島

広島は田中広輔選手がチームトップ32個の盗塁を成功させ、33個で盗塁王を獲得した山田哲人選手(ヤクルトスワローズ)に肉薄したが、37回中33回成功させた山田選手に対して、田中選手は45回中32回の成功。

成功率では89.2%の山田選手と71.1%の田中選手の間で大きな開きがあった。

盗塁ランキング上位に入った広島の選手では、野間峻祥選手が17個成功させているが失敗も10個あり、成功率では63%にとどまる。

それでも広島の強みを挙げるとしたら、特定の走り屋に依存するのではなく、先発メンバーの多くが走れることにある。

レギュラーシーズンでは田中選手、野間選手に加えて菊池涼介選手、丸佳浩選手も10個以上の盗塁を決めている。成功率では安部友裕選手が8回走って7回成功の高確率だ。

しかし、菊地選手と丸選手は日本シリーズで打撃不振に陥り出塁できず、安部選手は走ったが失敗に終わった。

最後まで広島に付け入る隙を与えなかった甲斐拓也

確実性に欠ける広島の盗塁に対して、ソフトバンク捕手陣は甲斐選手が盗塁阻止率44.7%、高谷選手も38.5%あり、12球団トップと2位のスローイング能力を誇る。

それでも2回に1回は走られている計算になるので、3回に2回は成功している広島の盗塁が甲斐選手の2回に1回を引き当てる可能性もあるにはあったが、そのような博打を続けているうちに日本シリーズが終わってしまった。

失敗を恐れずドンドン走って相手にプレッシャーを与えるチームと、12球団の捕手で最も失敗しない選手の対戦は、走る側に相性が良くない巡り合わせだったと言えるかもしれない。

日本シリーズの大一番でも最後までブレることなく、正確で強い送球を続けた甲斐選手はMVPにふさわしい活躍だった。

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