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ダーツライブが語る「年齢・性別・身体」の垣根を超えたスポーツダーツの可能性

ダーツライブが語る「年齢・性別・身体」の垣根を超えたスポーツダーツの可能性
株式会社ダーツライブの糸井さん(左)と宮崎さん(写真:SPREAD編集部)

国内外でスポーツ、ナイトエンターテインメントとして親しまれているダーツ。しかし、2020年初めから世界的に流行している新型コロナウイルスの影響で活動の場が縮小されてきた中で、ダーツ業界の更なる発展への可能性を考えてみた。

そこで今回、ダーツの魅力を発信し続ける株式会社ダーツライブの宮崎さんと糸井さんに、コロナ禍におけるダーツ業界の現状や取り組み、インターネット環境が普及した時代だからこそ成し得る、今後の展望について話を伺った。

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―コロナ禍で大会やイベントの中止や延期など影響を受けているダーツ業界の現状についてお伺いしたいと思います。

株式会社ダーツライブ宮崎(以下、宮崎):ダーツってスポーツとナイトエンターテインメントの両側面があるのですが、どちらも大きな影響を受けています。時短要請によるアルコール提供の制限がかかったナイトシーンは特に。

株式会社ダーツライブ宮崎さん(写真:SPREAD編集部)

ただインターネットの普及を利用し、元々あった家庭用ボードのオンライン化を進め、家庭でも通信対戦をできる状態にし、自粛期間におうち時間でダーツを楽しめるようにしました。

■スポーツダーツを浸透させるために

―オンライン対戦ができることはウィズコロナ時代の強みだと思います。今後スポーツ、そしてエンターテインメントなどダーツ事業の可能性を拡げる取組みはあるのでしょうか?

宮崎:そうですね。我々はコロナ禍以前の十数年来から「THE WORLD」という世界のダーツシーンを創出するために欧米からアジアまで世界を1年かけサーキット形式で回ってきました。ただこの状況下での再開は各国のレギュレーションの違いにより難しいものがあります。

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ダーツライブが現在配信中のサービス「THE WORLD ONLINE LEAGUE」で国別対抗戦っていうのをやっていますが、まあ大変ですね。両方で撮影が発生することや、どうやって臨場感あふれる状態に持っていくかっていうのが非常に。

株式会社ダーツライブ糸井(以下、糸井):もともとネットワークで全国を繋ぎ、運営しているビジネスなのでオンラインには強いです。その強みをどんどん活かしていければと思っています。その延長線上で現在オンラインの「THE WORLD」はやっていけていますね。

―世界に比べ、日本ではスポーツよりエンターテインメントのイメージが強いように感じます。スポーツダーツを浸透させるために何か働きかけは行っているのでしょうか?

宮崎:日本の場合、スポーツの定義づけが限定的です。海外ではもっとその定義が幅広く、それこそチェスとかもスポーツの定義に入っています。日本では体を動かすことがスポーツというイメージが強く、フィジカルに突出したものしかスポーツとして定義されていません。

ただダーツも体を使いますし、フィジカルは強くありませんが体を動かすにはちょうど良い感じのスポーツです。ですから日本のスポーツ教育のあり方なんかを少しずつでも見直すことができるきっかけになればと考えています。

―よくアニメとコラボした企画を拝見するのですが、これは10代、20代の若年層に浸透させるためのプロモーションということでしょうか?

宮崎:IP(Intellectual Properties)の狙いは若年層というより大人のファンです。これまでモンスターハンター、進撃の巨人、ルパン三世、東京リベンジャーズなどとコラボしていて、これを通じてダーツへの興味と接点を増やすために10年間くらい継続しています。

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―大人のファンを対象にしているということですが、年齢を重ねてからでもプロになれる可能性はあるのでしょうか?

株式会社ダーツライブ糸井さん(写真:SPREAD編集部)

糸井:たぶん皆様あると思います。30歳を過ぎてからプロになった方や60歳を過ぎても世界のトップで戦っている選手もいますので可能性はゼロではありません。こうした点が普通のフィジカルスポーツとは違うダーツならではの面白さかもしれませんね。

■ダーツは本質的に分け隔てない競技

―年齢を重ねても始められることは魅力的ですよね。ただ将来的に普及させるには若年層に浸透させることも必要だと思うのですが。

宮崎:今後若年層に普及させるためには、まず文化の整理が必要だと思っています。この点に関しては「スポーツダーツプロジェクト」で取り組んでいる最中です。

―スポーツダーツプロジェクトとは具体的にどういった取組みなのでしょうか?

宮崎:生涯続けることができるスポーツとしてダーツの未来をみんなで創るプロジェクトのことです。公共施設に近いような場所にダーツを普及していくとか。やっぱりダーツを身近なものとして感じてもらえるようなところから入っていくことが良いのかなと思っています。

例えば子供が集まる児童館に導入しています。また現在は、とある小学校でもお話を進めさせていただいており、週1回のクラブ活動でダーツが採用されてスタートしています。

やっぱり緊張感があり、これを入れたら勝てるかもしれない、そして入ったら喜ぶっていう体験を提供できているのでシンプルと奥深さが掛け合わさり、他のスポーツではできない提案ができたのではないかなと。

―最後になりますが、ダーツの魅力を発信していく中で、メディアに望むことはありますか?

宮崎:そうですね。スポーツダーツはSDGsの課題解決にも繋がっていくのではないかと思っています。ダーツは、性別の差(男女のフィジカル差)、年齢の差(10代と60代などの年齢差)、障害の有無(健常者と障碍者といった身体的な差)に関係なく、同一のルールで一緒に楽しめるユニバーサルスポーツです。ダイバーシティを実現できるスポーツとしての可能性をもっとメディアを通じて皆さんに知ってもらいたいです。

糸井:海外が主催している世界大会では車いすの方がエントリーして問題なく試合が成立していますしね。

レジャー・娯楽の多様化が進む現代、自らがプレイヤーとなり、他のプレイヤーと繋がるコンテンツはそう多くない。男女や年齢、国境を超えてプレイできる「ダーツ」こそが、未来のスポーツのかたちなのではないだろうか。

宮崎さん、糸井さん、ありがとうございました。

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文・SPREAD編集部