【ボクシング】「井上尚弥vs.ドネア」待望の再戦が“最高の試合”となるワケ 直近戦績から大一番の展望予想

WBSSでは死闘を繰り広げたドネア(左)と井上尚弥(C)Getty Images

WBAスーパー、IBF世界バンタム級王者の井上尚弥は6月7日、さいたまスーパーアリーナでWBC同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)と3団体統一をかけて激突する。ついに日本人初の3団体統一王者が誕生するのか、ボクシングファン待望の大一番を占ってみたい。

両者の第1戦が行われたのは、ちょうど2年7カ月前の2019年11月7日。壮絶な戦いとなったワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)決勝戦で判定の末に“モンスター”が見事勝利を収めた。その後、ジョンリル・カシメロ(フィリピン)を含めた「3強」による4団体統一の話が何度も出ては消え、ファンは一喜一憂。そして、ようやくドネアとのリマッチに落ち着いた。

◆【井上尚弥vs.ドネア第1戦プレーバック】両者のプライドと気迫が激突した伝説のWBSS決勝、ボクシングファンを唸らせた最終ラウンド動画

井上が2年7カ月の間に行ったタイトルマッチは3試合。対戦相手は、ジェイソン・モロニー(オーストラリア)、マイケル・ダスマリナス(フィリピン)、アラン・ディパエン(タイ)。井上にとってはいずれも文句のないKO勝利だったとはいえ、27歳から29歳という全盛期の実績としては、相手も試合数も物足りなかった。ここでドネアを返り討ちにして、記憶に残る最強王者への道を確実にしてほしいところだ。

■心理的な状態はドネアが一枚上か

しかし、“フィリピンの閃光”という異名も持つドネアが楽な相手でないことは誰もが承知している。39歳のドネアにとって、井上との再戦は輝かしいボクシングキャリアの集大成といえる。第1戦に敗れた後、マインドセットが変わったと力説し「もう一度やれば勝てる」と宣言。この間に行ったノルディーヌ・ウバーリ(フランス)、レイマート・ガバリョ(フィリピン)とのマッチは、ともに相手を4ラウンドKOで葬った。どちらも無敗の一流選手で、ウバーリはWBC王者。対戦相手の質は井上が戦った相手よりも数段、高い。

しかも、試合内容も完璧だった。ウバーリには左フックのカウンター、ガバリョにはレバーブローを強烈に打ち込んで悶絶させた。これらはすべて6月7日の序章でしかない。49戦目となる元世界5階級制覇王者にとって、井上戦以外にやり残したことはないはずだ。

一方の井上のモチベーションはどうだろう? ドネアは一度倒した相手。危険な相手との再戦は、できれば避けたいのがボクサー心理。本音をいえば、“大口男”カシメロを完膚なきまでに叩きのめして気持ちよくベルトを統一したかったかもしれない。ディパエン戦では、思いの外パンチが効かず首を傾げるシーンもあった。筋書きが狂ったことは否めない。

■両者のスタイルが噛み合う最高の試合

試合は、両者のモチベーションそのままの展開を予想する。ドネアが序盤からプレッシャーをかけて攻め込み、井上がカウンターで応戦。失うものがないドネアのプレッシャーは想像以上に強いかもしれない。下がってさばくボクシングをしたことがない井上にとって、前に出てくる相手への対応力が問われる。

基本的に両者のボクシングスタイルは、よく似ている。左のフック、ボディが強く、右のストレートはカウンター狙い。ディフェンスはブロックと小さなボディワークが主体で、足を使ってかわすボクサータイプではない。

何が言いたいかといえば、間違いなく噛み合うということ。テクニック、パンチ、駆け引き、すべてにおいて見応えのある最高の試合が見られるだろう。2022年はボクシングファンにとって忘れられない年になる。「村田vs.ゴロフキン」に続く贈り物を堪能してほしい。

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著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。


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