12日、東京競馬場でエプソムC(GIII、芝1800m)が行われる。
昨年の勝ち馬・ザダルを筆頭に、マイルで連勝中のジャスティンカフェや、重賞で連続好走中のタイムトゥヘヴン、ダービー卿CTで3着に善戦したダーリントンホールに加え、怪我による長期休養から2年ぶりにターフに戻ってくるコルテジアも参戦する。
1番人気は【2-2-1-5】で複勝率は50%をキープしているものの、近5年で見ると【0-1-1-3】と下降線気味。昨年も1番人気のアルジャンナが10着、2020年は1番人気に推されたサトノアーサーが6着に惨敗と掲示板にすら入れていない。毎年、オッズが割れる混戦模様の傾向にあり、1番人気に過度な信頼は置けないのが本レースの特徴だ。
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今回、エプソムCの「危険な人気馬」として取り上げるのは、マイルで2連勝と勢いに乗るジャスティンカフェだ。
■展開を左右する逃げ馬2頭
ジャスティンカフェはデビュー以降【4-3-1-1】と安定した走りが続いており、掲示板を外したのは重賞初挑戦となったアーリントンCの13着だけ。2走前から横山典弘騎手にスイッチし、2勝クラス→3勝クラスと条件戦をノンストップでクリアしている。控えて脚を溜める競馬が板についてきており、前走の湘南Sでもリッケンバッカーやルペルカーリアなど重賞好走馬が相手だったが、1頭だけ上がり32秒台の末脚を繰り出して3馬身差の勝利を挙げた。馬が覚醒した感もあるだけに、ベストの舞台で一気の重賞制覇があってもいいだろう。
しかし、今回不安材料が3点ある。それは、「美浦所属騎手の不振」と「前走3勝クラスを勝利」、「逃げ馬が多頭数いること」だ。
まずは美浦所属騎手の不振について述べる。本レースは東京競馬場で行われるものの、美浦所属騎手は【4-2-5-105】で勝率3.4%、複勝率9.5%、栗東所属騎手は【5-8-5-23】勝率12.2%、複勝率43.9%となっており、圧倒的に栗東所属騎手の方が優秀だ。昨年こそ戸崎騎手-石橋騎手の決着だったが、近10年で見ても美浦所属騎手のワンツーフィニッシュはこの一度だけ。しかもこのレースに相性の良い戸崎騎手が【2-1-1-4】と好成績を収めている一方、戸崎騎手を除いたら【2-1-4-101】と大幅に数字を落としている。関西でのレースが増えている横山典弘騎手だが、所属はまだ美浦となっているだけにこのデータは不安材料だ。
次に前走3勝クラスを勝利したことで人気を背負うだろうが、本レースでは前走1着だった馬の成績が【1-1-4-16】と不調。この内訳は3勝クラスを勝った馬が【0-0-2-7】、OP(リステッド含む)が【1-1-1-8】、GIII勝ちが【0-0-1-1】となっており、昨年も府中S(3勝クラス)を勝ってここに挑んできた5番人気ヤシャマルは9着に沈んでいる。過去に重賞で好走した実績がない限り「上がり馬」に高い評価を与えるのは禁物だ。過去にアーリントンCに挑戦しているがこの時は3番人気の評価ながら13着に大敗しているだけに実績十分とは言いづらい。
最後に今回のメンバーを見渡すと、トーラスジェミニ、ノースブリッジ、コルテジアと前に行きたい馬がいる。なかでもノースブリッジは過去に東京芝2000mのレースで前半3Fを33秒台で通過する超ハイペースの逃げで結果を残しており、今回もハナに立つだろう。これに、マイル戦でもハナを奪えるスピードのあるトーラスジェミニが絡む展開になると「前傾ラップ」が予想される。これまで堅実な成績を収めている同馬だが、唯一の敗戦が前傾ラップのアーリントンCだったのだ。得意な左回りに替わることはプラスだが、展開面を考えるとこの想定人気は明らかに危険だ。
以上の不安点から、ここは馬券的な妙味も考え、人気一角のジャスティンカフェを「消し」とする。今年のメンバー構成と道中のペースをイメージすれば、ジャックドールを彷彿とさせる逃げをうつノースブリッジを中心に、ガロアクリーク、シャドウディーヴァ、ザダル、ダーリントンホールら、ある程度のポジションから競馬ができ、ハイペースでも瞬時に反応ができる馬を上位に評価したい。
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文・西舘洸希(SPREAD編集部)