今年のサッカーW杯ロシア大会は、フランスの優勝で幕を閉じた。しかし、今大会で最も大きなインパクトを残したのは、東欧の小国クロアチア代表が史上初の決勝へ駒を進めたことだろう。
クロアチア代表は惜しくも決勝でフランスに敗れたものの、その躍進ぶりは世界中から賞賛を受けた。そんな中、クロアチア代表の象徴として一躍評価を高めたのがルカ・モドリッチ選手だ。
モドリッチ選手は身長172cm。日本人選手とほとんど同じ体格だが、サッカーにおける圧倒的なスキルで世界中のファンを魅了している。2018年にはUEFA欧州最優秀選手賞を受賞したことなどからも、名実ともに世界最高峰の選手といえるだろう。
イヴァン・ラキティッチ選手(184cm)と並ぶとモドリッチ選手が比較的小柄だとわかる(c)Getty Images
そんなモドリッチ選手のプレースタイルについて、詳しく説明する。
レアル・マドリードでのプレースタイル
モドリッチ選手のポジションはMF。役割はゲームメーカーだ。2010-2011シーズンのプレミアリーグで、パス成功数とインターセプト数の両方でベスト3に入るなど、高い技術力を持つ。
レアル・マドリードではアンカーの守備的MFとしてブラジル代表のカゼミーロ選手を置いている。モドリッチ選手は、同じゲームメーカーであるドイツ代表のトニ・クロース選手とコンビを組むことが多い。
クロース選手(手前左)とモドリッチ選手(手前右)(c)Getty Images
ただ、クロース選手が大柄で長短のパスを操る古典的ゲームメーカーなことと比べると、モドリッチ選手のプレースタイルは対象的だ。
33歳で小柄な体格にもかかわらず、運動量が豊富でプレーエリアが広いモドリッチ選手は、現代的ゲームメーカーとして存在感を放っている。
モドリッチ選手の詳しいサッカースキルについては以下のとおりだ。
パススタイル
モドリッチ選手は、アウトサイドを使った意表を突くパスセンスを持つ。距離を問わずにパスを出せるので、守る側としては予測が立てづらく、非常に集中力が問われる。
ボールコントロール
ボールコントロールは、ファーストタッチが上手く、トラップのレパートリーも豊富で正確。守備側がうかつにモドリッチ選手へ飛び込むと、かわされてしまう。
ドリブル
モドリッチ選手はドリブラーとして次々と抜いていくタイプではない。しかし、一発で裏を取ってかわすドリブルは観衆を沸かす程楽しませてくれる。
シュート
モドリッチ選手はプレイエリアが広いため、ゴール前に顔を出す場面が多い。隙あれば正確で低いミドルシュートを放つため、相手キーパーにとってやっかいな選手であることがわかる。
視野の広さ
モドリッチ選手のプレースタイルにおいて特筆すべきは、ゲームメーカーに欠かせない視野の広さと判断力だ。
グラウンドのあらゆる場所に顔を出し、その場でのプレー選択にミスが少ないのは、モドリッチ選手の高度なサッカーインテリジェンスの賜物といっていいだろう。
クロアチア代表でのプレースタイル
クロアチア代表でのモドリッチ選手は、まさに精神的支柱だといわれている。
(c)Getty Images
本格的な国際大会の代表デビューは、2008年のスイス・オーストリア共同開催のEURO。モドリッチ選手は、当時から才能あるMFとして欧州内では高い評価を受けていた。
現在のクロアチア代表は、レアル・マドリードと同じ4-3-3システムを採用。モドリッチ選手の相棒役MFは、FCバルセロナでプレーするラキティッチ選手が務める。
(c)Getty Images
クロアチア代表でのモドリッチ選手はまさに中盤の将軍といった感じで、しかもキャプテンだ。存在感という意味では、レアル・マドリードのプレー時を超えているだろう。
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