14日、新潟競馬場で関屋記念(GIII、芝1600m)が行われる。
出走予定馬を見てみると、安田記念で1番人気の支持を得ていたイルーシヴパンサーを筆頭に、マイルCSで3着の実績があるダノンザキッドや、ウインカーネリアン、重賞連続2着と勢いに乗るスカイグルーヴも参戦する。
1番人気は【3-2-3-2】と3勝を挙げ、勝率30.0%、複勝率80.0%と高水準。軸としての信頼度は高い。また、不思議なことに1番人気の支持に応え勝利した馬は全て7枠に入っていた。当日1番人気が7枠に入った場合は本命視してもいいのかもしれない。2番人気は【1-0-0-9】で2015年のレッドアリオンの優勝以外は1頭も馬券に絡めておらず、軽視が必要。3番人気も【1-0-2-7】と不調傾向にある。
一方で4~6番人気は【4-6-3-17】と馬券の約半数を占めており、勝率13.3%、複勝率43.3%とこちらも高水準。昨年も4番人気ロータスランドが1着、2着には6番人気のカラテが入り、馬連は6710円を記録。近10年で見ても4~6番人気だった馬が馬券に絡まなかったのは2016年の一度のみ。それでも伏兵の7番人気が2着に入っていることから、今年も中穴の馬が馬券には絡んできそうだ。
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今回、関屋記念の「危険な人気馬」として取り上げるのは、重賞連続2着と勢いに乗るスカイグルーヴだ。
■スピード能力上位のスカイグルーヴ
スカイグルーヴは昇級後、重賞で連続2着。1400メートルを続けて使われてきたことで差しが身についた。十分に間隔を開けて、消耗は少ない。マイル戦は久しぶりでも折り合いはつき、2000メートルの新馬勝ち馬で、スタミナ面の不安もない。
しかし、今回不安材料が2点ある。それは、「GII組からの参戦」と「前走で1400mを使ったこと」だ。
まずは「GII組からの参戦」について述べる。前走クラス別成績を見てみると、
・前走クラス別成績
└3勝クラス/【1-0-1-5】
勝率14.3%、複勝率28.6%
└OP(リステッド含む)/【1-0-2-31】
勝率2.9%、複勝率8.8%
└GIII/【5-8-4-72】
勝率5.6%、複勝率19.1%
└GII/【0-0-0-8】
勝率0.0%、複勝率0.0%
└GI/【3-2-3-18】
勝率0.0%、複勝率0.0%
GI組が5連対、GIII組が13連対、OP特別組が1連対、3勝クラス組が1連対で、ほぼGI組またはGIII組に限定できる。GIII組の王道は【3-6-2-44】とほぼ半数の連対馬を送り出す中京記念組だが、今年は該当馬が不在。また、OP(リステッド含む)組は、【1-0-2-31】と出走頭数が多いものの不振傾向。今回は米子Sを快勝し目下2連勝中のウインカーネリアンが該当するが、全幅の信頼は置きづらいところだ。
スカイグルーヴは前走GII組に該当するが、GII組は過去10年で【0-0-0-8】と馬券圏内に一度も好走したことがないグループに該当してしまっている。マイル前後のGIIといえば、直近で5月の京王杯SC、4月のマイラーズCしかなく、どうしても間隔が空いてしまい、夏場ということで調整も難しくなってしまうことが不調の原因として考えられる。夏の牝馬は調子を上げてくる傾向にもあるが本馬は6月から9月の夏場の競馬で馬券内に一度も好走したことがなく、決して得意とは言えないのだ。
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つぎに「前走で1400mを使ったこと」について説明したい。前走距離別成績を見てみると、
・前走距離別成績
└前走1200m/【0-0-1-4】
勝率0.0%、複勝率20.0%
└前走1400m/【1-0-1-12】
勝率7.1%、複勝率14.3%
└前走1600m/【6-8-5-84】
勝率5.8%、複勝率18.4%
└前走1800m/【2-1-3-26】
勝率6.3%、複勝率18.8%
└前走2000m/【1-1-0-7】
勝率11.1%、複勝率22.2%
└前走2200m/【0-0-0-1】
勝率0.0%、複勝率0.0%
このように、馬券の大半を占めているのが【6-8-5-84】の前走1600m組で、基本的には1600m以上のレースからの参戦の馬を軸に買っていきたい。スカイグルーヴが該当する1400mは【1-0-1-12】で複勝率は14.3%とまずまずの成績を収めているが、このレースでは重要なポイントがある。それは「芝1600mで勝利経験があること」だ。過去10年の連対馬20頭を調べると、すべての馬が芝1600mで勝利経験があった。17年に1番人気に支持されたものの12着に大敗したメートルダールは当レースまでの4勝中3勝が芝2000mで距離適性に難があり、昨年2番人気で7着だったシャドウディーヴァも芝1600m未勝利だった。
現在重賞で連続2着に好走中のスカイグルーヴだが、未だマイルでは未勝利なだけに手は出しにくい。
以上の不安点から、ここは馬券的な妙味も考え、人気一角のスカイグルーヴを「消し」とする。今年のメンバー構成と道中のペースをイメージすれば、展開不問で自在な脚質を持っているディヴィーナを中心に、イルーシヴパンサー、ウインカーネリアン、シュリら、ある程度のポジションから競馬ができ、ハイペースでも瞬時に反応ができる馬を上位に評価したい。
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文●西舘洸希(SPREAD編集部)