【全米オープン】大坂なおみ、衝撃の1回戦敗退 4度のグランドスラマー、本格復活への期待

得意とする全米オープンでまさかの1回戦負けとなった大坂なおみ (C) Getty Images)

Naomi OSAKA———!!!!!」

日本のエースの名がアーサー・アッシュ・スタジアムに響き渡る。それと同時に空を突き抜くようなファンの歓声は、この瞬間の尊さを物語っている。

1回戦の2日前、大坂なおみは、ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターで2番目に大きなルイ・アームストロング・スタジアムで1時間の練習を行った。コートの片隅から現れる姿に、集まったファンは席を立ち拍手を送る。その歓声に僅かに はにかみ、ベンチへと向かう姿は、元女王の威厳と裏腹に、どこか不思議と今季の不安が顔を覗かせているようだった。

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■22勝4敗を誇る全米オープン

アキレス腱の怪我からウィンブルドンを欠場、ここ数大会さえ彼女が望んだ結果には遠かった。だが、この数奇なストレスの組み合わせから、「また以前のようにプレーできるようになりたい」と思えるようになったと大坂は打ち明けていた。

コートでボールを打つ姿にもリラックスと葛藤が混ざり合う。

だがその心のアップダウンは、22勝4敗を誇る全米オープンでの成功を切に願うからこそだっただろう。

迎えた1回戦の夜、時計は23時に近付いていた。相手は第19シードのダニール・コリンズ(アメリカ)。今年の全豪オープンでイガ・シフィオンテク(ポーランド)を倒し、準優勝という戦績を残している28歳だ。ベースライン上から鋭いショットと、灼熱とも思える気迫でゲームの流れをコントロールする。

そのコリンズに対し、大坂は小気味良いボールコンタクトへのフィットを見せた。キレのあるサービスに加え、コートカバーリングの速さは相手に隙を与えない。だが、立ち止まることを嫌うかのようなコリンズの気質がそこに亀裂を生み出す。

ベースライン上からねじ込むストロークは、明らかに大坂の攻めの機会を減らし続けた。そしてキーポイントとなるような緊迫の場面では、必ず最後の一手がライン上に落ちる。そんな勝負強さを見せたアメリカの28歳は、ただ目の前のポイントにフォーカスするだけのようだった。

いつまでこのフラストレーションは続くのだろう。大坂が考えあぐねるシーンが増えていき時折、立ち止まりはじめる。第2セットの中盤までにサービスエースは8本を打ち出したはずが、コリンズの叩き込みからセカンドサーブでのポイント獲得率は23%にまで下がっていた。

バックハンドがラインを超えた瞬間、視線を落としたのは大坂だった。7-6(5)、6-3のストレートで1回戦敗退。4年連続でメジャータイトルを獲得してきた彼女にとって、2022年は全豪オープンでの3回戦が最高成績となった。

■「Naomiはスペシャルだから」

「Naomiはスペシャルだから」

2日前の公式練習では客席のどこからこんな言葉が聞こえてきた。その意味は4度のメジャータイトルホルダーへの賛辞だけではないだろう。どんな時もファンがサインに並べば多くの時間を使い、試合中もボーラーへ親切なまでに対応をするのが大坂だ。今回は敗戦後にも関わらず、遅くまで残ってくれたファンに御礼のサインをするほど。だからこそ彼女への支持は厚く、コートに入ってくるだけで祝福される。それは試合への期待だけでなく、これまでに大坂が積み上げてきたキャリアへの賛辞だ。

「Naomi OSAKA———-!!!!」

この名が勝者として、また響き渡る時を多くの人が待っている。

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著者プロフィール

久見香奈恵●元プロ・テニス・プレーヤー、日本テニス協会 広報委員

1987年京都府生まれ。10歳の時からテニスを始め、13歳でRSK全国選抜ジュニアテニス大会で全国初優勝を果たし、ワールドジュニア日本代表U14に選出される。園田学園高等学校を卒業後、2005年にプロ入り。国内外のプロツアーでITFシングルス3勝、ダブルス10勝、WTAダブルス1勝のタイトルを持つ。2015年には全日本選手権ダブルスで優勝し国内タイトルを獲得。2017年に現役を引退し、現在はテニス普及活動に尽力。22年よりアメリカ在住、国外から世界のテニス動向を届ける。


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