■清宮と村上、ドラフトの光と影
2017年のドラフトの目玉は清宮幸太郎(日本ハム)だった。1巡目の1位指名では、ヤクルト、ロッテ、巨人、楽天、阪神、ソフトバンクと7球団が競合となった。ちなみにオリックスと西武が田嶋大樹(オリックス)、広島と中日が中村奨成(広島)、DeNAが東克樹だった。つまり12球団のどこも村上を1位指名しなかったわけだ。村上は1巡目次の回で、巨人、楽天と競合し、ヤクルトが見事引き当てた。ヤクルトはドラフトの目玉を外したおかげで、55本塁打を放つことになる4番打者を手に入れ、プロ野球史を飾ったことになる。
現在、こうして清宮と村上の成績を比較すると、その差にあ然とすることだろう。
※赤字はシーズン別のタイトル獲得
この年のヤクルトのドラフト4位は塩見康隆。参考までに2010年ドラフトの目玉は、斎藤佑樹、大石達也、福井優也の早稲田三羽烏。ここでもヤクルトは、斉藤を外しさらには現楽天の塩見貴洋も外し、山田哲人を獲得している。
村上、塩見、山田の3人なくして、今日のヤクルトの首位、いや昨年の日本一もなかっただろう。まさにドラフトの妙だ。
村上の55号は128試合目。王が140試合目、ローズ、カブレラは135試合目だった。このペースを上回るのは前述通りバレンティンの122試合目(参考までにバースの54号は128試合目)のみ。村上様は、果たしてどこまで記録を伸ばせるのか。日本中の野球ファンが期待していることだろう。
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著者プロフィール
たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー
『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨーク大学などで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。
MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。
推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。
リトルリーグ時代に神宮球場を行進して以来、チームの勝率が若松勉の打率よりも低い頃からの東京ヤクルトスワローズ・ファン。MLBはその流れで、クイーンズ区住民だったこともあり、ニューヨーク・メッツ推し。