【スーパーGT】第6戦 大クラッシュの不運を雨の恵みで取り戻した3号車ニスモZ・千代勝正/高星明誠がランキングトップへ

スポーツランドSUGO 雨中の激戦を制したニスモZ(右端) (C) GTA

スーパーGTでは、ポイントを獲得するとサクセスウェイトと呼ばれるウェイトハンデが次戦以降課せられるルールがある。

GT500クラスの場合は1ポイントあたり2kg。しかしハンデは最後まで積み重ね続けられるわけではなく、第7戦では半分に軽減され、最終戦はノーハンデとなる。つまり今回の第6戦は、シーズン中もっともハンデ差の大きいレースとなる。優勝はランキング下位のチームで争われると予想されるが、だからといってランキング上位はひと息つくわけではない。ここで何ポイント獲得できるか最終的なランキングを左右することも多く、10位前後の戦いも熾烈で実は見どころが多い。

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■第2戦での大クラッシュもチャラ!?

ただし今回の舞台、スポーツランドSUGOはコースが狭いゆえオーバーテイクが難しく、アクシデントがない限りジャンプアップはなかなかない。予選順位はランキングトップの12号車インパルZ(平峰一貴ベルトラン・バゲット)が14位、ランキング2位の37号車トムス・スープラ(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋)が10位、ランキング3位の3号車ニスモZ千代勝正高星明誠)が11位。そしてランキング4位の17号車レアルレーシングNS-X(塚越広大/松下信治)が4位と、この時点では17号車にもっとも逆転トップの可能性があった。

レースが始まると、やはりSUGO、出だしのペースが悪かったポールのウェッズスポーツ・スープラ(国本雄資/阪口晴南)が後退した以外に大きな順位変動はなかったが、後方では3号車がライバルの37号車をスタートでオーバーテイク。もうひとつの戦いが早くも繰り広げられていた。しかし3号車はペースに勝るもその後なかなか順位を上げることができず、そこからは順位は膠着。ところが結果から先に言うと、その3号車が優勝しランキングトップに浮上した。膠着状況を一気に打ち破り、まったく予想のつかなかった結果へと導いたのは“雨”だった。

84周のレース中、雨が降りはじめたのが10周を過ぎたあたり。

ルーティン・ピットインが可能な1/3の周回数はまだ先で、ここで全マシンがピットに入りタイヤをウェットに交換した。その中でタイミングが遅れてしまったにもかかわらず、3号車はその後怒涛の快進撃を繰り広げる。ライバルたちとのペース差はタイヤメーカーの違いによるもので、同じくミシュランタイヤの23号車ニスモZ(松田次生/ロニー・クインタレッリ)と瞬く間にワンツーを形成。ただし同じメーカーでも2台のウェットタイヤの種類は違っていたようで、23号車の方がもっとペースは上で3号車は次第にかなり離れた2位となっていった。

雨は数十分後にやんだ。そのタイミングもルーティンのピットが始まる絶妙のタイミングで、各チームはここでスリックに戻すかレインで再び行くか相当悩むことになった。34周目から始まったルーティンピットインは44周目までに14台が完了。すべてウェットタイヤだった。そんな中3号車だけが55周目まで引っ張り、スリックに交換。ここから終盤までスリック優勢の状況が続き、他の14台はスリックに戻すためにもう1回のピットインを余儀なくされる。そこで大きなマージンを築いた3号車が優勝。12号車は5位、37号車は10位に終わり、3号車ランキングトップへと浮上した。

前日、千代選手に話を聞いたところ、予選では失敗があったわけではなく、ただ「周りが自分たちよりも速かった」。残り2戦で勝負するために1ポイントでも多く獲得できれば、というレースを想定していたはず。「優勝までは考えていなかった」というレース後のコメントは正直なところだろう。

第2戦ではトップを巡るバトルの最中に大クラッシュに見舞われるという不運があった3号車。今回の幸運はそのお返しだとすれば、これで運不運はチャラ。その上でランキングトップに立っている3号車に、チャンピオンは大きく傾いた気がする。

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著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター

2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。


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