【カタールW杯】優勝4度の大国ドイツに歴史的大金星の森保ジャパン 「ドーハの歓喜」に導いた積極采配

W杯初戦でドイツ相手に金星を挙げた日本(C)Getty Images

FIFAワールドカップカタール2022・グループE第1節が23日に行われ、日本代表(FIFAランク24位)が優勝4回のドイツ代表(同11位)を相手に大金星を挙げた。日本は前半にPKで先制されながらも、後半に入って積極的なシステム変更と選手交代で流れを掴んだ。後半30分にMF堂安律、同38分にFW浅野拓磨、途中出場の2人がゴールを挙げ、2-1と逆転勝利。

日本はW杯7大会連続出場で過去6大会中3度決勝トーナメントに進出しているが、優勝経験国を相手にしての勝利はこれが初めて。

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■ドイツの迫力に為す術なくリードを許した前半

日本は大会前から怪我を心配された選手が多く、これまで絶対的な主力としてプレーして来たDF冨安健洋とMF守田英正がベンチスタート。一方、脳震盪の影響が心配されたMF遠藤航、直前のカナダ戦に先発したDF板倉滉は先発出場した。

開始早々、慎重な入りを見せたドイツに対し、日本はボールを奪いに相手陣内から連動したプレスを仕掛ける。効果的なボール奪取から速攻へ持ち込み、8分には前田大然がゴールを割る場面も。オフサイド判定でゴールとはならなかったが、開始直後にチャンスを作った。

[4-2-3-1]システムを採用するドイツだが、ボール保持時は左サイドバックのダビド・ラウムを高い位置に挙げ、最終ラインは残った3人で3バックを形成する。日本はドイツが攻守の切り替え時にシステムを可変する瞬間にボールを奪い、ラウムの裏のスペースを伊東純也らが効果的に突き好機を作った。

しかし、ドイツは20分過ぎからDF陣が自らボールを運ぶことで、システムを可変する時間を作り、試合の主導権を握り始めた。また、ラウムが左ワイドに張り、左サイドハーフの19歳の新鋭MFジャマル・ムシアラとトップ下のトーマス・ミュラーが巧みにポジションチェンジを繰り返す。これが中央に危険なスペースを作り、日本は徐々に後手にまわった。特に負傷明けのMF田中碧と遠藤で組むダブルボランチはドイツMF陣の機動力に付いていけず、幾度もシュートを許してしまう。ボールを奪ってもパスの精度が低く、ドイツの攻撃を跳ね返すだけになり、為す術なく押し込まれた。

30分過ぎにはマークの受け渡しで混乱していた右サイドのエリアを突かれ、ゴール前に入ってきたラウムをGK権田修一が倒してしまい、PKを献上。これをこの日、MFイルカイ・ギュンドアンに決められ、33分に先制点を許す。

その後もドイツの迫力に押される一方的な展開が続き、前半は何とか最少失点に持ちこたえ終えた。

■指揮官が見せた強気の采配

1点ビハインドで迎えた後半、森保一監督は不用意なボールロストが多かったMF久保建英に替え、DFの冨安を投入。実戦ではこれまで数えるほどしか使ってこなかった3バックの[3-4-2-1]に切り替えた。センターバックを2枚から3枚に増やす守備的な采配に思えたが、このシステム変更によって日本は息を吹き返し始めた。

具体的にはCB陣の能力の高さと特徴が活きた。守備時はCBが1枚増えたことで、個々が裏を気にせずに前に出てボールを奪う、チャレンジングな守備が可能となった。マイボール時には3バックが中盤までボールを運ぶことで試合を安定させ、ボランチではなく彼らがゲームメークを担当した。吉田麻也、冨安、板倉の3人はこの役割もこなした。

流れが変わり始めた中、森保監督は後半12分に左ウイングバックでプレーしていたDF長友佑都と、キックオフから守備に奔走したFW前田に替え、三笘薫と浅野を投入。その後も後半26分にMF堂安、同30分にはMF南野拓実と攻撃的な選手をどんどん投入していく強気な采配を披露し、同点のチャンスも徐々に生まれる。

そして、その超攻撃的布陣となった直後だった。後半30分、左サイドでボールを受けた三笘が中央へ切り込みながらペナルティエリア内のスペースに走り込んだ南野へスルーパス。南野はボールを止めずにダイレクトで鋭い折り返しを選択。ドイツの守護神マヌエル・ノイアーもボールを弾くだけとなり、こぼれ球に堂安が詰めて蹴り込んで1-1の同点に。

さらに後半38分、最終ラインの板倉から、スペースへ狙った高精度のロングパスが最前線の浅野へ供給される。浅野は相手DFニコ・シュローターベックと入れ替わりながらゴール方向へとコントロールして抜け出し、ノイアーの守るゴールをニアサイドからぶち抜くシュートを決める。2-1と逆転した日本は7分にも上るアディショナルタイムもドイツの猛攻を防ぎ、優勝候補を破るジャイアントキリングを達成。大会前、森保監督は「29年前に選手として『ドーハの悲劇』を経験したが、それを今大会で『ドーハの歓喜』に変えて見せる」と明言した通り、日本サッカー史上最高ともいえる勝利を挙げた。


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