【カタールW杯】値千金同点弾の堂安律、強気のレフティーが乗り越えた苦境と歩んできた足跡

ドイツ戦で値千金の同点ゴールを決めた堂安(C)Getty Images

FIFAワールドカップカタール2022・グループE第1節が23日に行われ、FIFAランキング24位の日本は同11位のドイツと対戦。2-1で逆転勝利を飾り、勝ち点3スタートとなった。W杯優勝4度を誇るドイツ相手の大金星の立役者となったのが、後半途中出場から同点ゴールを奪ったMF堂安律である。

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■ブンデスリーガで戦える選手に成長

「もう俺が決めるっていう気持ちで入りましたし、俺しかいないって思っていたんで、強い気持ちでピッチに入りました」。

試合後のインタビューで強気に語った堂安だが、このW杯までの道のりは決して平坦なものではなかった。森保ジャパンでは発足当初、主力を務め、南野拓実中島翔哉とともに魅力的な2列目トリオを結成。かつて“ビッグ3”と呼ばれた香川真司本田圭佑岡崎慎司の3人になぞられて“新ビッグ3”と呼ばれ、日本の未来を担う存在として期待がかけられていた。

しかし、オランダのフローニンヘンから2019年にステップアップしたPSVではレギュラー争いに苦しみ、2020年にブンデスリーガのビーレフェルトへレンタル移籍。クラブでの立場が変わる中で、日本代表での右サイドではベルギーで評価を高めた伊東純也や“日本の至宝”と将来を嘱望された久保建英が台頭。森保ジャパンにおいて序列が低下し、絶対的な存在から外される時期を経験した。

そんな中で堂安を支えたのが強いメンタリティーと自らの課題に向き合う力。ビーレフェルトでは昇格組のチームにおいて主力を担い、右サイドだけでなく中央やFWのポジションもこなすなどプレーの幅を広げ、球際で泥臭く戦える選手へと成長を遂げた。そして、2021年に復帰したPSVでは出場機会を増やし公式戦で2桁ゴールを記録。今季から再びプレーするブンデスリーガのフライブルクでは、2位と好位置につけるチームにおいても絶対的レギュラーとして定着するなど、着実に実績を積み重ね、カタールの地に乗り込んだ。

■コスタリカ戦で2戦連発なるか

堂安にとって24歳で迎えた自身初のW杯の舞台。前半PKでドイツに先制を許し、押し込まれる時間が続いた中、後半26分に投入された背番号8は、直後の後半30分にいきなり結果を残す。三笘薫からボールを受けた南野のシュートのこぼれ球を、ゴール正面で冷静にフィニッシュ。劣勢に立たされていた日本の風向きを一気に逆転させた瞬間だった。その後、後半38分には浅野拓磨にも逆転弾となるゴールが生まれ、下馬評で圧倒的不利とされたドイツ相手に大金星を勝ち取ることに成功した。

世代別では2017年に行われたU-20W杯ではチーム最多の3ゴールを挙げる活躍で賞賛を集め、昨夏の東京五輪では日本の10番を背負ってきた。その強気なキャラクターから本田と比べられることもあるが、ドイツ戦で解説者として“先輩レフティー”が見守った中、日本を救う値千金のゴールを決めてみせた。強豪相手の好スタートで一気に道が開けた日本にとって、27日に戦うコスタリカとの一戦は確実に勝ち点3を取りたい。日本が押し込む展開が予想される中、勢いに乗る堂安の先発と2戦連発弾には期待感が膨らむ。

堂安は、森保ジャパンにおいて輝かしい時期も、苦しい時期も経験してきた。クラブレベルでも4年間欧州の地で揉まれ、苦境を経験、そのたびに這い上がってきた。

「僕が日本サッカーを盛り上げたいという気持ちでピッチに立っている」と語ったドイツ戦後の強い覚悟が示す通り、W杯初戦という大舞台で決定的な仕事をこなし、国民を熱狂の渦に巻き込んだ。心身ともに充実した時を過ごす24歳のレフティーが、下馬評を覆しの決勝トーナメント進出と日本史上初のベスト8入りへ向けたキーマンとなり得るか。

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文●井本佳孝(SPREAD編集部)


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