有森裕子、日本スポーツ界の社会貢献活動への発想の変化を明かす…20年前の当たり前とは?

アスリートの社会貢献活動を表彰する「HEROs AWARD 2018」の授賞式が、12月17日にグランドハイアット東京で行われた。

「HEROs AWARD」は、アスリートの社会貢献活動を促し、様々な社会問題を解決する動きを加速させ、ソーシャルイノベーションの輪を広げていくことを目的に立ち上がった。日本財団が創設した「HEROs Sportsmanship for the future」プロジェクトの取り組みの一つ。

2018年の受賞者は、赤星憲広氏、有森裕子氏、飯沼誠司氏、長谷部誠氏、浦和レッズ(登壇したのは淵田敬三氏、近藤伸一氏、落合弘氏)、ビーイング・アライブ・ジャパン(登壇したのは北野華子氏)。

受賞者は日本財団が任命した選考委員により決定、プロジェクトに寄せられた寄付金から活動奨励金が贈呈された。なお、授賞式は民間資金で開催された。

「何かスポーツを通してできることがあるのであれば、継続していくことは大事なんだと思いました」

有森裕子氏は、代表理事を務める「ハート・オブ・ゴールド」を通したカンボジアにおける自立・復興支援活動が表彰された。

同団体の設立のきっかけは、1996年12月にカンボジアで初めて開催された「アンコールワット国際ハーフマラソン」。この大会は、地雷で手足を失った人たちに義足などを贈るために開催されたチャリティマラソン大会で、有森氏自身、第1回大会から毎年参加している。

初回大会の際のエピソードは、今でも強く胸に残っている。

「手足のない女の子が、車椅子に乗って、すごく綺麗な蓮の花のブーケを手渡してくれた。当時、600人ほど人がいたと思います。そこで車椅子の女の子、しかも手足のない姿で会場を訪れるなんて、ありえない勇気だと思いました。その彼女の姿を見て、私たちの団体は何かを大きくは変えられないですが、何かスポーツを通してできることがあるのであれば、継続していくことは大事なんだと思いました」

活動の最終的な目標は、自分たち(ハート・オブ・ゴールド)がいなくなることだという。つまり、「問題がなくなる」ことを意味しているわけだ。

「最終的に、カンボジアの人たちが自分たちでできるようになること。そこに目標もある。彼らが自分できちんと考え、生きていく相手同士でありたい。私たちが何かを『してあげる』のではなく、一緒にできる存在でありたいですね」

20年前との違い

続けて、スポーツを通した社会貢献活動への価値観が変化していることにも言及した。

20年ほど前にこうした活動をはじめた時は、スポーツで何かできるなんて発想はほとんどありませんでした。スポーツ選手自身も自分の生き方だけで目一杯で、人のことを考えているという時間はないというのが当時の日本のスポーツ界の発想だったように思います。そうした中で私が20年間活動してこれたのも、この会場に入り切らない大勢の人々がスポーツの力を信じて取り組んできて、支えてくれたからだと思っております」

スポーツにしかできないこと

また、最後に有森氏が社会貢献活動をしていこうとしたタイミングで、一人の医療従事者に言われたことが、大きなモチベーションとなったことを明かした。それは、以下のようなメッセージだった。

医療、物資は、緊急事態で人を助けられる。ただ、やはり大切なのは、ひとりひとりの内なる生きる力を支え、つくり、応援すること。それが唯一できるのはスポーツなんだ。スポーツを通して、人から応援され、内なる生きていく力を身につけること。これはスポーツしかできない。オリンピックに出場して終わるんじゃなくて、応援されてきたことを人に返してほしい」

現在ではスポーツを通した社会貢献活動の例を聞くことはそう珍しいことではないが、それは、先駆者である有森氏らの存在があったからこそ、広がってきた活動・価値観だともいえるだろう。

《大日方航》

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