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【カタールW杯】森保ジャパンの前に立ちはだかるクロアチア、老練な前回大会準優勝国に対する秘策は…

 

【カタールW杯】森保ジャパンの前に立ちはだかるクロアチア、老練な前回大会準優勝国に対する秘策は…
クロアチア代表のモドリッチ(C)ロイター

FIFAワールドカップカタール2022は決勝トーナメントが始まった。番狂わせが続いたグループステージ(GS)とは異なり、1段も2段もギアを上げてくる強豪国の勝ち上がりが目立つ。サッカー日本代表にとっても、ここからが本当の戦いだ。

◆特集 日本代表初のベスト8なるか、森保ジャパン vs. クロアチア代表 展望・放送予定・結果一覧

FIFAランク24位の日本代表はGSで優勝経験国のドイツ代表(11位)とスペイン代表(7位)を破り、E組を首位通過。決勝トーナメント1回戦ではF組を2位通過したクロアチア代表(12位)と対戦する。

■前回準優勝のクロアチア、37歳の大黒柱モドリッチ健在

日本は1998年のフランス大会でW杯初出場以降、7大会連続出場中だ。今回のクロアチア戦が通算25試合目となるが、クロアチアとの対戦は最多3度目となる。

クロアチアも旧ユーゴスラビアからの独立後、フランス大会が初出場。この大会GSの第2節で日本と対戦。得点王となったFWダボール・シュケルの決勝点を挙げた。2度目の対戦となった2006年のドイツ大会でも第2節で激突。中田英寿ら「黄金の中盤」で挑んだジーコジャパンと、同じく技巧派MFを揃えたクロアチアによる大熱戦はスコアレス。しかし、日本のサッカーファンに「0―0でも面白い」と思わせた16年前の対戦で途中出場したMFが当時20歳のルカ・モドリッチだった。

モドリッチは2012年にスペインの強豪レアル・マドリードに移籍。それまでの10年間で1度も欧州王者になれなかった「白い巨人」を、加入後の10年間で5度も欧州の頂点に導いている司令塔だ。代名詞のアウトサイドキックなどトリッキーで華やかなプレーで魅了し、勝敗を左右する場面では積極的にユニフォームを汚すこともできる。37歳となった現在も「世界最高のクラブ」の大黒柱だ。

代表では前回のロシア大会でチームを準優勝に導き、大会最優秀選手にも選出。2018年度のバロンドールも受賞した世界最高峰の選手へと変貌を遂げ、日本の前に再び立ちはだかる。

■「世界最高のタレント輩出国」の現状

人口約410万人のクロアチアは、「東欧のブラジル」と称されるほど、テクニックとアイデアに秀でた選手が多い。スペインのデポルティーボ・アラベスは、クロアチア1部のNKイストラを買収した理由に「クロアチアは人口に対するタレントの輩出率が世界最高」だと挙げている。

[4-3-3]システムを採用するクロアチアにあって、モドリッチと共に中盤でプレーするマテオ・コバチッチ(チェルシー)とマルセロ・ブロゾビッチ(インテル)も欧州屈指のビッグクラブで中軸を担う。チームの頭脳であるMFトリオはともに攻撃力と守備力、運動量も兼ね備える万能型。ブロゾビッチがアンカー役を担うも、モドリッチやコバチッチも最終ラインに下がってビルドアップし、バイタルエリアで身体を張ってボールを奪い、時には相手ゴール前まで駆け上がってフィニッシュにも絡む。3人で自在に陣形を変えながら広範囲をカバーしているのだ。

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GS3試合で1失点に止めている守備陣も強力だ。33歳のデヤン・ロブレンは強豪リヴァプールで欧州王者の経験をもつ実力者。ドイツの新興勢力RBライプツィヒでのプレーを高く評価される左利きのヨシュコ・グヴァルディオルは20歳。攻撃性能を兼ね備える現代型DFとして欧州中のビッグクラブから高額オファーが殺到中。この新旧DFリーダーで組むセンターバックコンビを崩すのは至難の業だ。

クロアチアの課題はGS3試合で2度の無得点となっている得点力。31歳となったFWアンドレイ・クラマリッチはドイツの中堅ホッフェンハイムで5年連続二桁ゴールを奪うなど、約6年間で公式戦100ゴール以上を挙げている実力派。ただ、サイドや引いた位置からゴール前へ侵入したり、ドリブルで持ち込む形を得意とするセカンドトップ型で、代表では今大会初戦のモロッコ戦のようなセンターフォワード起用で持ち味を活かしきれていない。

無事ベルギー戦に姿を見せたミス・クロアチア 日本戦にも登場か (C) Getty Images

それでも第2節のカナダ戦では国内リーグ得点王のFWマルコ・リバヤを最前線に置き、右サイドで先発したクラマリッチが2ゴールを挙げ、4-1の大勝に貢献。2017年から指揮を執るズラトコ・ダリッチ監督は現チームの最適解を見出したようだ。ただ、今大会の3試合で先発メンバーの変更があったのは、そのわずか1箇所のみ。主力は経験値が高く、様々なスタイルに適応できる頭脳派が多いが、選手層が薄いのは前回大会準優勝国の弱点か。