FIFAワールドカップカタール2022は、ラウンド16が終了し、準々決勝の戦いが始まる。優勝争いを懸けた争いが絞られてきた中でカギを握るのが、前回大会優勝のフランスと、イングランドがぶつかる大一番だ。
◆メッシ、ロナウド、ネイマール、大会を彩るスターをムバッペが通算得点数で撃追
■不吉なジンクスを打ち破る
ロシア大会を制覇したFIFAランキング4位のフランスは、グループステージ初戦のオーストラリア戦に4-1で大勝すると、第2節のデンマークにも2-1で勝利。ターンオーバーを採用した第3節ではチュニジア相手に足元をすくわれ0-1で敗れたが、グループDを首位通過した。そして決勝トーナメント1回戦ではポーランドを3-1で退け、危なげなく準々決勝に勝ち進んだ。
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W杯の歴史において、前回優勝国が苦戦するジンクスがある中、フランスを支えているのが豊富な選手層である。今回もポール・ポグバやエンゴロ・カンテ、プレスネル・キンペンべといった前回の優勝を経験したメンバーを欠き、さらに今年のバロンドール(年間最優秀選手)に輝いたカリム・ベンゼマも不在の中、ディディエ・デシャン監督は既存の選手たちを組み合わせながらここまで戦っている。
最終ラインでは、初戦を欠場した守備の柱のラファエル・ヴァランに代わってダヨ・ウパメカノとイブラヒマ・コナテが先発し、好パフォーマンスを披露。バイエルンでプレーするウパメカノは新たなリーダーとしても期待がかかる。また、中盤ではレアル・マドリードでプレーする22歳のオーレリアン・チュアメニが主軸を担い、ポグバやカンテといったこれまでの主力に代わる新たな中心選手として存在感を高めている。
■補完性抜群のユニット
そして、ここに来て今大会の主役となっているのが、フランスの若きエースであるキリアン・ムバッペ。19歳で出場した前回大会では異次元のスピードで、史上3人目となる10代の選手として決勝戦でゴールを奪うなど4ゴールの活躍で優勝に貢献。FIFAワールドカップ・ヤングプレーヤー賞を獲得し、全世界に若き怪物としてその名を轟かせた。
23歳で迎えた2度目のW杯では期待の若手からエースに立場を変え、初戦のオーストラリア戦で1ゴール、デンマーク戦で2ゴール、決勝トーナメント1回戦のポーランド戦でも終盤にチームの勝利をたぐり寄せる2ゴールを記録。フランスの得点の半分以上がムバッペによりもたらされており、スター軍団の中でもその存在感は群を抜く。
トップ下で攻撃を操るアントワーヌ・グリーズマン、今大会でフランス代表の歴代最多得点記録を更新したオリヴィエ・ジルー、右サイドをドリブルで切り裂くウスマヌ・デンベレからなる攻撃のユニットは補完性がよく互いを活かしあう。その中でも困ったときのムバッペのスピードと決定力はイングランドを相手にも脅威となり得るだろう。