11日、香港・シャティン競馬場にて、香港国際競走が行われる。ラストを飾るのは、中距離王者を決める香港カップ(GI・芝2000m)だ。過去10年で5勝、19年から3連覇中と、日本勢にとって一番相性の良いレースに、今年は5頭が参戦。一方、この路線に久々に現れた香港の大物ロマンチックウォリアーが、日本の高い壁となるのか、注目の一戦だ。
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■世界で見せた逃げ脚を再び
日本の大将格は、今年のドバイターフを逃げ切ったパンサラッサだ。前走の天皇賞・秋では、ハイペースで後続を大きく引き離す逃げの手を演じ、あわやの2着に好走。世界でGIを制した逃げ脚ココにあり、を示してくれた。
香港カップとの親和性の高い、2走前の札幌記念でも2着に好走。洋芝適性の高さを見せており、シャティンへの対応も十分可能だろう。香港カップでは先手を取った馬が活躍する傾向にあり、まさに打ってつけの舞台。父ロードカナロアは香港スプリント連覇を果たしており、血統面の裏付けも十分だ。
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その札幌記念でパンサラッサを退けたのがジャックドール。GI勝ちこそないものの、デビューから一貫して2000mを使われてきた、この距離の申し子。前走天皇賞・秋は、パンサラッサの作る難しい展開の中、差のない4着と力のある所を見せてくれた。
3たびパンサラッサと相まみえる今回は、その前走と同じ轍は踏まないはず。父モーリスは2016年の当レース覇者で、血統面からも馬場適性は問題ないだろう。名手武豊を鞍上に迎え、父子制覇となるか注目だ。
皐月賞馬ジオグリフは、骨折休養明けの前走天皇賞・秋こそ9着に敗れたものの、世代でトップクラスの実力馬。2歳時には札幌2歳Sを圧勝しているように、シャティンコースへの適性も高そうだ。しかし、過去10年で3歳馬は【0.0.0.8】と一度も馬券圏内に絡んだことがなく、データ的には割り引いて考えたい。
■香港の大将格が立ちはだかる
近年の香港カップでは日本勢の後塵を拝してきた香港勢だが、今年はロマンチックウォリアーが、高い壁となって日本勢の進撃を阻む構えだ。今春のクイーンエリザベス2世カップで、GI初出走ながら、歴戦の古馬を退けGI初制覇。前哨戦のジョッキークラブカップも危なげなく快勝し、地元香港では大将格に躍り出た。
9戦8勝の戦績通り、まだまだ底を見せていない4歳馬。世界の強豪とは初対戦となるだけに、今回が試金石の一戦となりそうだが、地の利を活かせれば、ここでもアッサリがあっても何ら驚けない。
その他の香港勢は、ロマンチックウォリアーとの勝負付けが済んでいるメンバーばかりで、一枚落ちる印象。それならば、アイルランドのA.オブライエン厩舎が送り込むオーダーオブオーストラリアのほうに食指が動く。
一昨年のブリーダーズカップマイル覇者で、マイル路線を歩んできた同馬だが、なかなか勝ち切れないレースが続いており、今回は新味を求めて距離を伸ばしてきた。2000mになることで、勝ち切れなかった詰めの甘さをカバーできれば、ここでも勝負になるのではないか。