18日に阪神競馬場で行われる朝日杯フューチュリティS(GI、芝1600m)の「血統傾向」を分析する。
2020年のホープフルSを制したダノンザキッドの半弟・ダノンタッチダウンや、無傷の2連勝で重賞を勝っているドルチェモア、オオバンブルマイをはじめ、阪神マイルのデイリー杯2歳Sを勝って挑むオールパルフェなど、2歳ナンバーワンマイラーを決めるレースにハイレベルなメンバーが揃った。
ここでは、血統データから読みとく朝日杯フューチュリティSの推奨馬を紹介する。
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■持久力に富んだトニービンの血に注目
データは2017年以降の朝日杯FSを集計。3着内馬の血統表は以下の通り。
集計期間で最多8頭が出走のディープインパクト産駒は【1.0.2.5】、単勝回収値28、複勝回収値43。馬券圏内に好走した3頭は全て1番人気に支持された馬であり本レースに適性があるとは言い難い。
また、2番目となる7頭が出走しているロードカナロア産駒も【0.1.1.5】と上位人気に支持された馬が複数いたものの勝ち星はなく、馬券圏内に好走したのは昨年の4番人気ダノンスコーピオンの3着と2017年の3番人気ステルヴィオの2着のみ。今年もロードカナロア産駒は上位人気に支持されそうなダノンタッチダウンが出走予定だが、データ上は減点となる。
一方、ハーツクライやルーラーシップの名前が見られるようにトニービンの血を内包している馬が良績を挙げている。とくに近3年は2勝3着1回と活躍中。そのなかには2019年に14番人気ながら3着に激走したグランレイ(父ルーラーシップ)のような人気薄の馬の好走もあり、適性は高そうだ。
このようにトニービンの血が活躍している理由はコース形態とレース展開にある。阪神芝1600mは直線が長くゴール前に急坂が待ち構えているコース形態。この時期の2歳馬にとってはスピードだけで押し切ることは難しく、スピードの持続力と坂をこなすパワーが不可欠。また、スタートしてから1コーナーまで400m以上の距離があり、2歳戦とは言えGIクラスになれば、新馬戦のような緩い流れではなく、テンが早くなり緩みの少ないスタミナの消耗戦になりやすい。そのため持久力のあるトニービンの血が浮上してくるのだろう。
よって今回はトニービンを内包しているルーラーシップの血を持つ2頭を推奨馬としてピックアップしたい。
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1頭目は、サウジアラビアRCを制したルーラーシップ産駒のドルチェモア。2013年・桜花賞を制したアユサンを母に持つ良血馬で、前走のサウジアラビアRCでは、2番手で追走し、大逃げのグラニットをゴール前で交わし優勝。無傷の2連勝で重賞制覇と底力を見せつけた。
また、阪神へのコース替りはプラスに働きそうで、ルーラーシップ産駒の牡馬が前走芝1600m戦で3着以内に好走した次走に阪神芝1600mに出走すると【7.4.1.12】、勝率29.2%、連対率45.8%、複勝率50.0%、単回収値111と高い好走率を残している。特に稍重馬場だと【4.1.0.2】、勝率57.1%、連対率・複勝率71.4%、単回収値231と時計のかかる重い馬場の時が狙い時。今のところ前日の土曜日が雨予報のため、当日稍重以上になる可能性もあり、当日の馬場次第でこの馬を本命に推したい。
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2頭目は、父リアルスティール×母父ルーラーシップのオールパルフェをチョイスしたい。2戦目の未勝利戦を勝ち上がると、次走のデイリー杯2歳Sを逃げ切りで重賞制覇。新種牡馬のリアルスティールに初めてのJRA重賞制覇をプレゼントした。3戦全て逃げているようにテンのスピードは、父譲りの一級品でGIの舞台でも十分通用しそう。
また、2017年以降、母父がルーラーシップの牡馬は、芝1600以上の根幹距離レースだと【6.2.1.20】、勝率20.7%、連対率27.6%、複勝率31.0%、単回収値257と抜群の勝率をマーク。特に2歳戦に強く【5.1.0.11】、勝率29.4%、連対率・複勝率35.3%、単回収値410と抜群の成績。
さらに枠順にも傾向があり、前述の条件下において奇数馬番で出走すると【2.1.0.15】、勝率11.1%、連対率・複勝率16.7%なのに対し、偶数馬番だと【4.1.1.5】、勝率36.4%、連対率45.4%、複勝率54.5%と抜群の成績を誇っており枠順には注視したいところ。
朝日杯フューチュリティSは過去10年で逃げ馬が【0.0.1.9】と不調である点は気になるが、トニービンから優れた持久力を受け継いでいるオールパルフェなら最後までスピードを持続して最後まで粘ってくれそうなだけに、この馬を推奨馬とした。
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文●中井達也(SPREAD編集部)