【プロ野球】ヤクルト・スワローズ、リーグ3連覇への不安 総失点数、先発不足、ストッパー…その答えはいかに 後編

 

【プロ野球】ヤクルト・スワローズ、リーグ3連覇への不安 総失点数、先発不足、ストッパー…その答えはいかに 後編
スポーツ6紙の一面を飾るヤクルト連覇の文字

■鍵を握る奥川恭伸と新外国人投手

「右の小川」、「左の高橋」が軸になったとしても、まだ戦力は足りない。まず期待したいのは新戦力。今オフ、先発候補の新外国人として、メジャー通算59試合で13勝を挙げている最速151キロ左腕ディロン・ピーターズ、ドミニカ共和国出身の大型右腕ライネル・エスピナルを補強。今季9勝を挙げて来日3年目を迎えるサイスニードの3人による激しい外国人枠かつ先発ローテ争いの中で2ケタ勝利助っ人の出現を期待したい。

◆ヤクルト・スワローズ、リーグ3連覇への不安 総失点数、先発不足、ストッパー…その答えはいかに 前編

2022年ヤクルト先発陣成績

日本人投手で鍵を握るのが、飛躍を期待されながらも右肘痛の影響で今季1登板に終わった奥川恭伸だ。高卒2年目の2021年に9勝を挙げるなど、能力の高さは折り紙付き。だが、トミー・ジョン手術を受けずに保存治療を選択した中で現在もリハビリを続けている段階。キャンプ中にはブルペン入りする予定で調整を続けているが、まだ先行きは不透明だ。

ヤクルト・ファンが歓喜する、このシーンはいつ…
撮影:SPREAD編集部

もう一人、同じくドラフト1位入団の大型左腕・山下輝にも期待したい。ドラフト指名直後に左前腕尺骨の疲労骨折が判明し、入団後もリハビリに時間を費やしたが、シーズン終盤には1軍デビューを飾り、プロ初勝利と日本シリーズ登板も経験した。スケールの大きさはプロの舞台で輝くはず。大卒2年目の新シーズンは、高橋に続く先発左腕として計算できる存在になりたい。

あとは、高梨裕稔、原樹理の経験のある投手がどこまで奮起できるか。大卒4年目となる吉田大喜の成長も期待したい。そして大学、社会人を経てドラフト1位入団を勝ち取った吉村貢司郎が即戦力として1年目から先発ローテ入りできれば、一気に層が厚くなる。

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■再整備が必要な抑え候補は…

その先発陣と同時に、“強み”だったリリーフ陣も、2年間で69セーブを挙げて連覇に大きく貢献した守護神・マクガフがメジャーに復帰したことで再整備が必要になった。

2022年ヤクルト救援陣成績

現状、代わりの抑え候補筆頭は、新たに獲得した外国人投手のキオーニ・ケラだ。最速160キロの触れ込みで、メジャー通算243登板(すべてリリーフ)で23勝59ホールド28セーブと実績も十分。過去に大乱闘やチームメートとの揉め事を起こして処分を下された「問題児」の一面も持つが、その“闘志”を日本野球の中で活かしたいところだ。

仮にケラが期待外れだった場合は、2018年に35セーブをマークした石山泰稚や3年連続50試合以上登板を続ける清水昇に抑えの役割が与えられることになる。あらゆる状況を想定する必要があり、田口麗斗、木澤尚文、今野龍太、梅野雄吾、久保拓眞に加えて、新たに台頭した小澤怜史や急成長中の竹山日向、現役ドラフトで獲得した成田翔らの活躍に期待したい。

2023年も活躍が期待される村上宗隆(C) Getty Images

塩見泰隆が核弾頭となり、長岡秀樹が大きく成長。オスナ、サンタナの助っ人陣は頼りになり、山田哲人の復調も期待できる。何より、不動の4番・村上宗隆が健在な限り、打線の破壊力はリーグトップだ。

確かに先発防御率はリーグワーストだったが、「それでも優勝した」という紛れもない事実があり、新シーズンへ向けて「先発ローテーションの再編」と「勝利の方程式の再構築」のミッションを遂行できれば、他を寄せ付けない揺るぎない強さを手に入れることができる。“村神様”の打棒に過度に頼ることのない戦いをできるようになった時、高津スワローズは球団初のリーグ3連覇、そして日本一奪回を果たしているはずだ。

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提供●Baseball Times