FIA世界ラリー選手権(WRC)2023年シーズンは19日、1911年に始まった伝統のラリー・モンテカルロで開幕した。ハイブリッドカー2年目となるシーズンは、ドライバーズ・ラインナップの変更もあり、一体どんな戦いが繰り広げられるのか。22年シーズン、史上最年少王者となったTOYOTA GAZOO Racingのカッレ・ロバンペラは連覇を果たすのか、興味はつきない。
しかし初日は、やはりセバスチャン・オジエだった。
ロバンペラの僚友・元世界王者オジエは、モンテカルロで8度の優勝を誇る。
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■「ハッピーだが、まだ先は長い」と余裕のオジエ
ラリー初日のこの日、午前中にシェイクダウンが行われ夕方、モナコ中心部のカジノ広場でのセレモニアルスタートで開幕。その後、モナコの北側に広がるフランス・アルプスの山岳地帯で20時過ぎからデイ1として2本のステージが行われた。1本目のSS1は有名なチュリニ峠に向かう上りのステージ、2本目のSS2は2020年大会でも使用された、ラ・カバネットから峠道を下っていくダウンヒル中心のステージで、いずれも夜間の走行。また、ドライ・コンディションとなったことでタイヤの選択を難しくした。
このため山岳地帯のタイトコースで、タイヤにオーバーヒートを抱えるマシンが続出。そうしたドライバーを尻目にモンテカルロ・マイスター、オジエは全長40.02キロのコースで最速タイムを叩き出し26分33秒7で2本のステージをまとめた。
オジエは「このラリーの夜間スタートが決して簡単だったことはないが、コンディションはそれほどまでに不安定ではなかったね。ひとつだけトリッキーなコーナーがあったけど、最初のスタートではなかったから他車のラインに助けられたよ。良いスタートが切れてチームはハッピーだよ。もちろん、まだまだ先は長いけどね」と余裕のコメントを残した。
スポット参戦となっているオジエは昨年も、かつての絶対王者セバスチャン・ローブとこのモンテカルロでデッドヒートを繰り広げ、レギュラー・ドライバーを尻目にローブが優勝、オジエが準優勝となり「Wセバスチャン対決」と話題となった。先日、ダカール・ラリーでやはり準優勝としたローブは、残念ながら今回参戦していない。
2位には同じくTGRのエルフィン・エバンスが6秒差でつけ、かつてトヨタをドライブし2019年に王者を獲得、今季はヒョンデからMスポーツ・フォードに移籍したオィット・タナックは、エバンスに9.4秒遅れで3位に滑り込んだ。
ディフェンディング・チャンピオンのロバンペラはオジエに17.1秒遅れの5位スタートとなっている。
ロバンペラは「自分たちとしては、かなり良いスタートを切ることができたと思います。安全なペースでラリーをスタートする計画でしたが、他の選手と戦うことができる位置につけることができたので、明日以降も期待を持てそうです。SS1は非常にトリッキーで、自分が好きなタイプのステージではなかった上、ステージの最後には路面に凍結防止のための大量の塩が撒かれていました。そのため非常に滑りやすく、塩を掃き飛ばしながら走らなくてはならかったので、後から走る選手たちの方が速く走れるような状況でした。SS2もクリーンに走りましたが、霜に覆われたセクションでアイスノートの情報によって走りがやや慎重になってしまいました。それでも、全体的にはいいスタートになったと思います」と前を向いた。
■デイ1総合順位
1 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 26m33.7s
2 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +6.0s
3 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (フォードPuma Rally1 HYBRID) +15.4s
4 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +15.5s
5 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +17.1s
6 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +32.1s
7 ピエール=ルイ・ルーベ/ニコラ・ジルソー (フォード Puma Rally1 HYBRID) +40.3s
8 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +41.4s
9 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +57.0s
10 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ Fabia RS Rally2) +1m06.6s
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文●SPREAD編集部