2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)開幕戦となるラリー・モンテカルロは20日、デイ2がモナコを起点に行われ、前日首位スタートのTOYOTA GAZOO Racing(TGR)セバスチャン・オジエがこの日のスペシャル・ステージ(SS)6本中、4本でトップタイムを叩き出し合計1時間26分39秒4のタイムでフィニッシュ、総合1位の座を守った。
◆2023年が開幕 ラリー・モンテカルロ初日はトヨタのセバスチャン・オジエが首位
■ハイブリッドのブーストトラブルでも首位快走
また2022年、史上最年少王者に輝いたカッレ・ロバンペラ(TGR)は初日は堅実な走りに徹し、5位スタートとやや出遅れたもののSS8で今季自身初となるトップタイムを記録するなど追い上げをオジエに36秒遅れの総合2位に浮上した。
一方、前日2位につけたエルフィン・エバンス(TGR)はSS5でタイヤにダメージを負い40秒遅れ、総合でも5位と順位を落とした。昨年12年ぶりに開催されたラリー・ジャパンで総合3位と見事凱旋帰国で表彰台を獲得した勝田貴元は、総合7位。
そのラリー・ジャパンでトヨタ勢の凱旋勝利を妨げ、総合優勝を果たしたヒョンデのティエリー・ヌービルが、総合3位に滑り込んだ。
競技2日目は、モナコの西北に広がるフランス南部の山岳地帯で、3本のステージを各2回走行。6本のSSの合計距離は105.34km。この日は早朝から好転に恵まれ、日中も美しい青空が広がった。そのため全体的にはドライコンディションながら、一方では一部にウェット、さらに、残雪、凍結もあり、レースをやや難しくした。
デイ1の2本のナイトステージを制し首位に立ったオジエは、デイ2でも好調を維持。オープニングのSS3から3ステージ連続でベストタイムを記録、その時点で総合2位につけていたティエリー・ヌービルに対し32.7秒のリードを築いた。ピュジェ-テニエでの「タイヤ・フィッティング・ゾーン」を経て行われた午後の再走ステージでは、十分なリードがありながらもSS6で2番手タイムを、SS7でベストタイムを、SS8で3番手タイムを記録する好調ぶりだった。
デイ1でオジエと6秒差の総合2位につけたエバンスは、午前中の2本のステージでオジエに次ぐ2番手タイムを記録するなど、やはり好調を維持。ところが、3本目のSS5を右リヤタイヤにダメージを負い40秒以上をロス。午後のSS6ではベストタイムをマークするものの総合5位に後退した。
事前に決めたプラン通り、デイ1のナイトステージでは堅実な走りに徹したロバンペラは、デイ2が始まるとペースアップ。オープニングのSS3で総合3位に順位を上げ、午後のSS6ではヌービルを抜き総合2位に。トヨタ勢はこの開幕戦でおおむね好調で、これまでの8本のステージですべて首位フィニッシュしている。
■「上位争いに加われてよかった」と王者ロバンペラ
首位を快走するオジエは「今日は一筋縄ではいかない一日でしたが、全体的にはポジティブだったと思いますし、十分なリードを築いてモナコに戻って来たことが何よりも重要です。今朝は2本のステージでハイブリッドブーストが使えなかったので、それを補うためにリスクを負ってハードに攻めなければならないと思っていたのですが、その状態でも自分が一番速かったことに驚きました。幸いにも午後のステージに臨む前に問題は解決され、再びハイブリッドブーストの恩恵を受けることができました。そのため、午後は普通のリズムで走り続けることができましたし、リードをさらに拡げることもできました。明日は長い一日になるので、できるだけクリーンな走りを心がけて戦います」とそれでも気を引き締めた。
ディフェンディング・チャンピオンのロバンペラは「決して悪い一日ではなかったのですが、もちろん完全には満足していません。朝のループステージで少しタイムを失ってしまったのですが、ステージの路面には凍結防止用の塩とダストが多く広がっていて、出走順が一番手だった自分たちにとっては簡単ではありませんでした。午後の再走ステージでは、フィーリングがかなり好転しました。グリップがよくなり、タイムも向上していきました。上位争いに加わることができて良かったです。セブはここまでのところ誰よりも速いですが、自分たちはまだ後方のライバルと接近戦を続けているので、このままプッシュし続けてどうなるのか様子を見ることにします」とデイ3への決意を示した。
21日のデイ3は、サービスパークの西北に広がるフランス南部の山岳地帯で3本のステージを各2回走行。いずれのステージもデイ2より西側が舞台となる。デイ3もまた、デイ2と同じようにモナコのサービスパークでのミッドデイサービスが設定されず、ピュジェ-テニエの「タイヤ・フィッティング・ゾーン」でのタイヤ交換と簡単な整備作業のみで3本のステージを再走する。6本のSSの合計距離は111.78kmと3日間で最長。リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は687.23kmとなり、早朝サービスパークを出発した選手が戻るのは、約15時間後と厳しい戦いになる。
■ラリーモンテカルロ デイ2 総合順位
1.セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 1h26m39.4s
2.カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +36.0s
3.ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +37.9s
4.オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (フォードPuma Rally1 HYBRID) +54.2s
5.エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m02.3s
7.勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m33.1s
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文●SPREAD編集部