5日は東京競馬場で今後のマイルGIに繋がる東京新聞杯(GIII、芝1600m)が開催されます。今回は2003年の中山開催を除く2000年以降の過去データを基に気になる騎手データを見ていきます。
◆【東京新聞杯2023予想/データ攻略】人気一角に「2.1.0.0」の追い風 条件替わりで“リベンジV”のチャンス到来
目次
■M.デムーロ騎手に一発の可能性
今年の東京新聞杯に騎乗する騎手の中で、2003年の中山開催を除く2000年以降の過去レースで騎乗経験があるのは横山和生騎手を除く15騎手。各騎手のデータは次の通りです。

[2000年以降]東京新聞杯の騎手別成績(2003年の中山開催を除く)
パッと目に入るのが、勝率66.7%(連対率も同率)のM.デムーロ騎手。騎乗数は3鞍と限られますが、2017年のブラックスピネル(3人気1着)、20年のプリモシーン(4人気1着)で少ないチャンスをものにしています。
注目は上記2鞍を含む全3鞍で人気以上の着順に騎乗馬を導いていることですね。昨年は9番人気のドナアトラエンテで掲示板入りとなる5着でした。
そのM.デムーロ騎手が今年騎乗予定なのが前日16時時点で13番人気のショウナンマグマ(牡4、美浦・尾関知人厩舎)。昨年のラジオNIKKEI杯で2着の実績があり、前走のディセンバーSを勝って臨む同馬ですが、当日もフタ桁人気止まりとなりそう。この鞍上なら一発があっても何ら驚けないでしょう。
そしてM.デムーロ騎手と同様に東京新聞杯男ぶりを発揮しているのが、菅原明良騎手です。2回の好走はともにカラテに跨っての結果ですが、2021年のレースは5番人気で制しています。
菅原明良騎手が今年跨るのが前日16時時点で14番人気のピースワンパラディ(牡7、美浦・大竹正博厩舎)。今年の京都金杯4着馬ながらこの人気ですから、押さえて損はなそうですね。
■JRA通算4400勝達成・武豊騎手のジャッジは
ここからは人気馬に跨る機会の多かった武豊騎手、C.ルメール騎手、福永祐一騎手について見ていきましょう。レジェンド・武豊騎手は2005年のハットトリック(1人気)、07年のスズカフェニックス(1人気)、18年のリスグラシュー(3人気)で集計期間内最多となる3勝を挙げています。
ただし、中途半端な人気では大きく崩れるケースが見られ、騎乗馬の人気次第ですね。【武豊騎手】×【当日3番人気以内】は【3.0.1.0】で勝率・連対率が75%、複勝率が100%。人気なら迷わず買いと覚えておきましょう。
武豊騎手が、今年騎乗予定なのが前日16時点で8番人気のエアロロノア(牡6、栗東・笹田和秀厩舎)。当日3番人気以内に推される可能性は低く、押さえが精一杯かもしれません。
■C.ルメール騎手は過信できない
続いてC.ルメール騎手のデータを見ていきます。2007年のイースター(5人気3着)こそ人気以上の着順に好走できましたが、10年のトライアンフマーチ(1人気2着)以降の5頭は全て人気以下の着順です。2019年のタワーオブロンドン(2人気5着)、20年のレッドヴェイロン(1人気9着)、21年のトリプルエース(2人気7着)と3年連続で馬券圏外に敗れたこともあり、敢えて嫌う手がありそうです。
そしてC.ルメール騎手が今年跨るのが前日16時時点で7番人気のプレサージュリフト(牝4、美浦・木村哲也厩舎)。当日はもっと人気しそうですが、過去データからは過信禁物です。
■福永祐一騎手もそこまで人気に応えられていない
さらに福永祐一騎手のデータを見ていきましょう。2015年のヴァンセンヌ(3人気1着)、19年のインディチャンプ(1人気1着)で勝利経験のある同騎手ですが、ピンキリの傾向でその2頭を除く1、2番人気の結果は次の通り。
2008年のカンパニー(1人気4着)
2012年のフレールジャック(2人気7着)
2020年のヴァンドギャルド(2人気6着)
2021年のヴァンドギャルド(1人気4着)
このデータからC.ルメール騎手と同様に過信はできません。
福永祐一騎手は前日16時時点で1番人気のジャスティンカフェ(牡5、栗東・安田翔伍厩舎)に騎乗予定ですが、データ的には「切り」を考えて良さそうです。
■ナミュールの横山武史騎手は
最後に前日16時時点で2番人気のナミュール(牝4、栗東・高野友和厩舎)に跨る横山武史騎手について見ていきます。過去2鞍は人気薄の騎乗だったため過去データから判断が難しく、条件を東京芝1600m重賞に広げてデータを再算出します。
その結果ですが【0.1.2.12】の連対率6.7%と表面上はパッとしません。ただし、人気馬に跨った機会が少なく、平均人気7.1に対し平均着順7.5なら悪くはないでしょう。それでもデータ上は諸手を挙げて推奨できるとは言えないですね。
以上、東京新聞杯の気になる騎手データでした。過去人気に馬に跨った騎手、今回人気馬に跨る騎手はデータ的に強調しづらいため、今回はショウナンマグマに騎乗するM.デムーロ騎手をデータ注目騎手とします。人気以上の大激走は果たして見られるのでしょうか。
東京新聞杯2023予想コラム一覧
▼追い切り診断
◆【追い切り診断】ジャスティンカフェを上回る最高評価「S」 「文句なしの仕上がり」
◆【追い切り診断】重賞初Vへ高評価「A」 「高い操縦性と、精神面の進境は◎」
◆【追い切り診断】坂路自己ベストも辛口「B」 「そこまでの成長が感じられない」
◆【追い切り診断】想定“12人気”以下の爆穴に大駆け警報 「素軽さ満点の動き」
▼データ攻略
◆【データ攻略】「2.3.1.0」馬券内率100%データに該当 同条件で“GI級”のパフォーマンス
◆【データ攻略】人気一角に「2.1.0.0」の追い風 条件替わりで“リベンジV”のチャンス到来
◆【データ攻略】「連対率100%」で期する捲土重来 善戦止まりが“得意ローテ”で一変
◆【データ攻略】想定“10人気”に「1.3.1.1」の追い風 5馬身差+上がり33秒台の破壊力
▼穴馬予想
◆【穴馬アナライズVol.1】単勝“12人気”以下の盲点 「第3勢力の中では大差なし」
◆【穴馬アナライズVol.2】想定オッズ“40倍”前後の伏兵 「不利の連続で見直し可」
◆【穴馬アナライズVol.3】前日“10人気”前後の刺客 「再浮上の余地は十分にある」
◆【危険な人気馬】GI好走馬は“消し”評価 「末脚不発の可能性大」
▼血統傾向
◆【血統傾向】単勝回収値「520」の条件に合致 想定“10人気”以上が再び波乱の使者に
◆【血統傾向】素質十分の4歳馬に妙味 勝率「6割超」に爆跳ねでアタマ候補
▼過去10年データ傾向
◆【枠順】ナミュールの8枠は連対率0%の“鬼門” 単回収値「187」の4枠に警戒
◆【脚質傾向】上がり最速の末脚は不要、浮上する“好位差し”の注目馬
◆【前走ローテ】マイルCS組に“黄”信号、中心は「3.0.1.1」のエリ女組2騎
◆【動画プレーバック/東京新聞杯2022】4人気イルーシヴパンサーが大外から上がり最速の脚でマクリ4連勝で重賞初制覇
著者プロフィール
伊藤大輔(いとうだいすけ)●「UMAJIN.net」編集部
秋田県生まれ。スポーツ関連書籍出版社、競馬専門紙の勤務を経て、現在はUMAJIN .netでライティング、競馬データ解析等を担当。『SPREAD』では主観的要素の強い「馬体解析」と客観的なデータの蓄積である「騎手データ」から、注目すべき馬と騎手を取り上げていく。