第116回京都記念(GII、芝2200m)は、凱旋門賞以来の実戦となる、昨年のダービー馬ドウデュースの始動戦として注目を集める。対するは、復権を狙う一昨年の年度代表馬エフフォーリアや、前走の中日新聞杯で復活の勝利を挙げたGI馬キラーアビリティに、プラダリアやウインマイティーといった重賞ウイナーが顔を揃え、伝統のGIIにふさわしい豪華なメンバーが集まった。
そんな中、圧倒的な1番人気に支持されそうなドウデュースこそ、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
◆【京都記念2023予想/追い切り診断】ドウデュースを上回る高評価 「最終追いの気迫はかなりのレベル」
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■不思議と縁のないダービー馬の京都記念
昨秋は果敢に凱旋門賞へ挑戦するも、ドロドロの重馬場に影響を受け、19着に大敗とほろ苦い遠征に終わったドウデュース。ダービーでは、年度代表馬に輝いたイクイノックスや、菊花賞馬アスクビクターモア、皐月賞馬ジオグリフらを退け、世代の頂点に立った存在だけに、相手関係が楽になるGIIなら、負けられない戦いとなる。
しかし、ダービー馬にとって京都記念は、不思議と縁のないレースなのだ。従来は、古馬中距離路線の始動戦は、3月の日経賞や阪神大賞典などが主流で、2月の京都記念から始動する例は少なかった。事実、1993年以降、過去30回のダービー馬のうち、後に京都記念に出走した馬は、わずか7頭(出走回数は延べ10頭)のみ。そして、その成績は【0.1.4.5】と、複勝率こそ5割と好結果を残しているが、不思議と勝ち馬を輩出したことがないのだ。
近年はドバイへ向けた前哨戦として使うケースが多く、ドウデュースも、次走はドバイターフへの参戦を予定している。明け4歳で、ドウデュースと似たようなケースとしては、2008年ウオッカ(京都記念6着→ドバイデューティーF4着)、18年レイデオロ(同3着→ドバイシーマクラシック4着)と、それぞれ前哨戦を取りこぼし、本番でも敗戦している。
また、凱旋門賞帰りの年明け4歳の初戦という意味で、ドウデュースと似たケースとなる2017年のマカヒキも、凱旋門賞14着大敗→京都記念3着と、やはり始動戦のここで取りこぼしていたのだ。
今年も阪神競馬場で開催される京都記念。阪神芝2200mで開催された過去5年間の重賞勝ち馬10頭中8頭は、4コーナー4番手以内につけており、先行勢に有利な特徴を持つ。今年も登録は13頭で、同様の流れになりそうな雰囲気。皐月賞やダービーのように、後方一気で結果を残してきたドウデュースが、作戦面でも頭をひねることになりそうだ。
圧倒的な1番人気に支持されそうなドウデュース。過去10年の1番人気の成績は【2.1.2.5】と、決して信頼度は高くなく、紛れも起きやすい京都記念。ダービー馬は勝てないという鬼門のレースで、絶対的な存在ではない、という結論に至り、今回のドウデュースは、思い切って「消し」でいきたい。
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著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。