【プロ野球】“新生”岡田阪神の課題は「長打力」と「守備力」 18年ぶりリーグ制覇なるか…

 

【プロ野球】“新生”岡田阪神の課題は「長打力」と「守備力」 18年ぶりリーグ制覇なるか…

借金3(68勝71敗4分)の3位で終えた昨季の阪神タイガースは、開幕戦での7点差逆転負けから9連敗という「悪夢」から始まった。

だが、交流戦を12勝6敗の2位で息を吹き返し、最大16あった借金を前半戦で完済。最後は東京ヤクルト・スワローズの力の前に屈したが、地力の高さは見せた。迎える2023年シーズンは、15年ぶりに復帰した岡田彰布監督のもとで「アレ」を狙う。

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■投手力と機動力はリーグ1位だが…

「アレ」とはもちろん、優勝だ。

昨季の戦いを数字で振り返ると、チーム防御率2.67は12球団トップ。特に救援陣は防御率2.39という鉄壁ぶり。機動力も健在で、リーグトップの110盗塁をマークした。

だがその一方で、チーム打率.243、チーム本塁打数84はリーグ5位。助っ人陣が期待外れで、大山悠輔佐藤輝明の2人が中軸に座って奮闘したが、勝負所では抑え込まれてシーズン26度の完封負けという球団ワースト記録を更新。そして計86失策も5年連続リーグワーストだった。

2022年セ・リーグ順位表

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目に見える直近の課題は「長打力」と「守備力」である。昨季、大山が23本塁打、佐藤が20本塁打を放ったが、2ケタ本塁打に到達できたのはこの2人のみ。他球団を見ると、チーム本塁打数174本を数えたヤクルトにはシーズン2ケタ本塁打達成者が5人(村上宗隆56本、山田哲人23本、オスナ20本、塩見泰隆16本、サンタナ15本)おり、巨人は6人(岡本和真30本、丸佳浩27本、中田翔24本、ポランコ24本、ウォーカー23本、大城卓三13本)。DeNAも4人(牧秀悟24本、佐野恵太22本、ソト17本、宮﨑敏郎16本)がクリアした。間違いなく、優勝争い、上位争いの中で、阪神打線は“迫力不足”だった。

この迫力不足、長打力不足を解消するために今オフ、新たに加わったのが、ノイジーとミエセスの2人の外国人打者である。推定年俸130万ドル(約1億8200万円)で加入した右打ちのノイジーは、昨季アスレチックスに所属し、メジャーで自己最多の89試合に出場(打率.214、4本塁打、26打点)。マイナーでは25試合で打率.398をマークするなどパワーだけでなくアベレージも期待できる中距離打者。春季キャンプのフリー打撃では中堅から右方向へ鋭い打球を飛ばして評価も上々。3番打者として、かつてのシーツのような活躍を期待したいところだ。一方のミエセスは、東京五輪にドミニカ共和国代表の5番打者として出場した実力の持ち主。荒削りなスイングで日本の野球に対応できるか心配な部分が多いが、パワーは申し分なし。「当たれば飛ぶ。当たるように教えてやらな」とは岡田監督。近年は来日後に成長する外国人打者も多く、まずは日本の文化に馴染んだ中で弱点を克服していきたい。

■魅力的な打線は完成するのか

 まずはこの2人の外国人が、最低でも2ケタ本塁打をクリアすること。その上で、大山と佐藤が30本塁打をクリアすること。ここにドラフト1位入団の森下翔太が早い段階で1軍の戦力に加わり、さらに高卒4年目の井上広大、高卒2年目の前川右京といった生え抜き野手が成長できれば、破壊力は間違いなくアップする。そして何より、ファンが「楽しみ」を感じることができる魅力的な打線になる。

2022年、阪神タイガースの本塁打数

 もう一つの大きな課題が「守備力」である。昨季のチーム失策数86は2021年と同じで、5年連続のリーグワースト。数字上だけでなく、ヤクルトとのCSでは最終的にエラーが勝敗を分けるなど、勝負所での守備の乱れが目立った。選手個々に見ると、正遊撃手の中野拓夢がリーグ最多の18失策。佐藤輝明の三塁も9失策と問題があり、二塁手は最後まで固まらなかった。

2022年、阪神タイガースのポジション別守備成績

 この「課題」は岡田監督も十二分に承知しており、早速、遊撃手として昨季135試合に出場した中野拓夢の二塁コンバートを明言。春季キャンプでも「二塁しか守らせない」つもりだ。その影響で遊撃手争いが激化。広い守備範囲で強肩も魅力の高卒5年目・小幡竜平と、ルーキーイヤーに113試合に出場した同じくプロ5年目の木浪聖也が一騎打ちの様相を呈しているが、その他にも二遊間には、糸原健斗、熊谷敬宥、渡邉諒、植田海、山本泰寛と候補者は多く、まだ誰にでもチャンスがある状況だ。最終的に誰が岡田監督の信頼を掴むのか。選手たちの意識は確実に変化しており、結果的にこの「守備力」が今季の阪神の「最も変化する部分」になるかもしれない。

打線の「中軸」と守備の「二遊間」が固まり、期待通りに活躍できれば、リーグナンバーワンの投手陣を持つだけに、自然と白星は積み重なるはず。就任会見で「若い投手陣がすごくバランス良いチームだと思っています」と現チームに対する印象を話した岡田監督は「(前回の監督就任時より)今回の方が楽しみ。もう少し肉付けをすれば、個人がレベルアップすれば、チームが変わるんじゃないかと強く思っている」と自信を見せている。まずは開幕で昨季のような「泥沼」にハマらないこと。そのためにも、ここからのキャンプ、オープン戦の中で、例年以上に“しっかりとした”準備を進めなければならない。

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提供●Baseball Times