第59回金鯱賞(GII、芝2000m)は、GI大阪杯へ向けた前哨戦。今年は、キャリア7戦中6戦で上がり最速をマークしている素質馬プログノーシスをはじめ、ラジオNIKKEI賞を制し、重賞で堅実な走りを見せるフェーングロッテン、再び重賞戦線に戻ってきたディープモンスター、昨年の大阪杯覇者ポタジェなどが顔を揃えた。
そんな中、中京巧者で重賞勝ちの実績もある、5歳牝馬マリアエレーナが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
◆【金鯱賞2023予想/追い切り診断】プログノーシスを上回る「S」の最高評価 「さらに上昇し目下絶好調」
■牝馬はGI制覇の実績がないと苦しい
昨年、牡馬相手の小倉記念を制し、重賞ウイナーの仲間入りを果たしたマリアエレーナ。昨年は他にも、愛知杯・マーメイドSで2着、2年連続で参戦した前走の愛知杯も、トップハンデを背負いながら3着と、重賞で堅実な走りを見せており、金鯱賞でも有力馬の1頭に名を連ねる。
しかし、大阪杯の前哨戦として、3月に施行時期が変更された2017年以降、過去6年はすべて牡馬が制しており、牝馬は苦戦を強いられている。
それでも牝馬の成績は【0.3.1.11】と、勝てないまでも好走はしている。だが、その内訳を見てみると、複勝圏内に入った4頭は、19年2着リスグラシュー、21年2着デアリングタクト、22年2着レイパパレ、同3着アカイイトと、すべてGI馬。GIを目指す重要な位置づけとなるこの舞台で、牡馬相手に牝馬が好走するには、すでにGIタイトルを獲得しているような実力馬でないと、通用しないことが分かる。
また、馬体重に着目すると、過去6年の勝ち馬はすべて500キロオーバー。全体の成績も【6.2.5.16】と馬格のある馬が好走しているのに対し、500キロ未満の馬は【0.4.1.39】と、あまり成績は芳しくない。過去6年中3回が稍重以上でのレースだったこともあり、馬格のある馬に好条件だったことは確かだが、この傾向は見逃せない事実だ。
今年の登録馬の中で、前走が500キロ以上だった馬はおらず、馬体重に関して横の比較はあまり必要ないかもしれないが、マリアエレーナ自身は、420キロ台と小柄な牝馬。今週末の天気は、現時点でどうなるかわからないが、ひと雨降るようなら、馬格のない同馬にとっては、不安材料となるだろう。
昨年は天皇賞・秋に参戦するなど、果敢に牡馬に挑戦してきたマリアエレーナ。小倉記念では、ヒンドゥタイムズ(小倉大賞典)やジェラルディーナ(エリザベス女王杯)など、後にタイトルを獲得する馬を相手に5馬身差の圧勝劇を演じるなど、ここに入っても決して見劣りする馬ではないが、過去に金鯱賞で好走した牝馬たちに比べると、やや小粒感は否めない。人気も集めそうで、妙味を考えると、ここは思い切って「消し」でいきたい。
▼その他、穴馬予想
◆【穴馬アナライズ】想定“6人気”前後の伏兵 「戦ってきた相手を考えれば当然買い」
金鯱賞2023予想コラム一覧
▼騎手データ
◆【騎手データ】人気落ちの重賞馬に警戒も 頭は連対率“100%”の人馬
▼追い切り診断
◆【追い切り診断】重賞未勝利組で“最上位”の「A」評価 「勝ち負けを意識できるデキ」
◆【追い切り診断】プログノーシスを上回る「S」の最高評価 「さらに上昇し目下絶好調」
◆【追い切り診断】前走惜敗の人気一角は高評価 「上限を探るかのような強い攻め」
◆【追い切り診断】上位人気に不満の「B」評価 「良化してきていいはずが…物足りない」
▼データ攻略
◆【データ攻略】重賞馬に驚異の“連対率8割超” 絶好の条件で目論むリベンジ
◆【データ攻略】人気一角に「1.0.3.0」の追い風 展開面含め「軸信頼度は高い」
◆【データ攻略】想定“10人気”前後の兵に“馬券内率7割超” 「持ち時計」を武器に一発狙い
◆【データ攻略】前走2桁着順の馬に“印”は必要 「5.4.1.3」と2つの理由
◆【WIN5】アネモネSは想定”2桁”人気で一発を狙う シメは金鯱賞”一点突破”
▼血統傾向
◆【血統傾向】成長途中の5歳馬に好走の予感 条件合致で「4.0.0.6」の追い風
◆【血統傾向】実績上位が想定オッズ“2桁”の妙味 単回収値「1594」は無視できない
▼その他、過去10年データ傾向
◆【枠順】7枠のフェーングロッテンに“逆風” 単回収値トップ「1270」の好枠に伏兵が入る
◆【前走ローテ】主力形成のGIII組に黄信号 馬券内率“8割”超の王道とは
◆【脚質傾向】差しは最多5勝も後方一気はNG 好走条件は4角9番手以内
フィリーズレビュー2023予想コラム一覧
◆【穴馬アナライズVol.1】前日“10人気”前後の伏兵 「この条件替わりは一変の気配」
◆【穴馬アナライズVol.2】単勝オッズ“20倍”以上の盲点 「距離短縮で巻き返し可能」
著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。