【WBC】ジャーニー『セパレイト・ウェイズ』をテーマ曲に使い続けるTBSの英語ボケ

 

【WBC】ジャーニー『セパレイト・ウェイズ』をテーマ曲に使い続けるTBSの英語ボケ
サンフランシスコ・ジャイアンツ戦に姿を見せた元ジャーニーのスティーブ・ペリー(中央) (C) GettyImages

スポーツの世界には、定番のテーマ曲がある。

日本人にも馴染み深いところでは、まず『ロッキーのテーマ』。1976年公開、シルベスター・スタローンを一躍スターダムに押し上げた映画『ロッキー』は、もちろんボクシングを題材としたサクセス・ストーリー。それがゆえにやはりボクシングや格闘技の試合で耳にするのは、当然と言えば、至極当然。

英国のロック・バンド、クイーンの『We Are The Champions』も定番中の定番。「我々は世界の王者だ」と力強く締めくくる名曲だけに、やはり優勝シーンでは必ず使われる定番曲だ。また、試合を盛り上げるには、そのクイーンの『We Will Rock You』もスタンダード。なかなか日本語に訳しにくいのだが「俺たちは世界を揺るがすぜ」という勇ましいサビは、スポーツにぴったりだ。

天王山の決戦で頻繁に使用されるのは、スウェーデン出身のハードロック・バンド、ヨーロッパの『The Final Countdown』。これはもう表題がすべて。歌詞にほぼ中身がない(失礼!)。とにかく「カウントダウン」の繰り返し。インストゥルメンタルであるロッキーのテーマ以外は、もちろん歌詞に意味があり、その意味がゆえに、どれもスポーツで使用される。

◆TBS安住アナ、SPREAD記事について言い訳 ジャーニーの『セパレイト・ウェイズ』使用で

■WBCイニング終わりの「ノー!」の意味

前置きが長くなったが、ここで問題提起。

ワールド・ベースボール・クラシックWBC)がやって来るたびにテーマ曲として使用される米国ロック・バンド、ジャーニーの『セパレイト・ウェイズ』。ドラムス、キーボードが絡み合うイントロに勇ましさを覚えたのだろうか、なぜこの曲を野球のテーマに採用したのか、謎以外の何物でもない。

タイトルからして意味はずばり「別れ道」だ。つまり男女の別れの歌。ボーカルのスティーブ・ペリーが女々しさ満点で歌い上げる、実に悲しい歌である。歌詞はのっけから「心を砕かれ、引き裂かれた世界にボクたちは立っている」と絶望的。なぜ、こんな悲しい曲を、わざわざスポーツのテーマ曲に選択するのか。ずばり英語の意味を介さないからだろう。

イニングが終わりCMに入る際のジングルも、ペリーが「ノー!」と叫ぶ部分を切り取っている。いやはや、女々しく「いやだー」と叫ぶ一瞬を勇ましいスポーツのジングルに使用するとは、もはやセンスの欠片もない。

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この曲は1983年リリース、つまり昭和40年男である私が高校3年生の時。これをわざわざ選ぶということは、おそらく決定権のある偉いプロデューサーが私と同世代なのだろう。そして惜しむらく、まったく英語を理解しない方が選んだに違いない。意味がわかっているのであれば、恥ずかしい限りだからだ。そして、日本の「おっさんの掟」通り、周囲が気づいていても、プロデューサーが偉すぎて、覆すことができなかったのだろうと推察する。

日本の教育課程から考えて、中学校から大学卒業するまで英語を習い続け、最高学府を卒業した方が局に入社、担当しているであろうに、なぜこうまで英語に無関心でいられるのか、もはや謎でしかない。

TBSさん、悪いことは言わない。恥ずかしいからこの曲をWBCに使用するのは、そろそろ止めなさい。局を挙げて「我々は英語がわからないんです」と宣言しているようなものだから。

あくまで個人的感想ながら、テレビ朝日が使用する布袋寅泰さんの『BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY』(映画『キル・ビル』のテーマ)は、ぴったりと思う。

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著者プロフィール

たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー

『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨーク大学などで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。

MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。

推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。

リトルリーグ時代に神宮球場を行進して以来、チームの勝率が若松勉の打率よりも低い頃からの東京ヤクルトスワローズ・ファン。MLBはその流れで、クイーンズ区住民だったこともあり、ニューヨーク・メッツ推し。