【スーパーフォーミュラ】開幕戦波乱のクラッシュ・スタート リアム・ローソンが衝撃のデビュー・ウィン、将来のF1王者か…

 

【スーパーフォーミュラ】開幕戦波乱のクラッシュ・スタート リアム・ローソンが衝撃のデビュー・ウィン、将来のF1王者か…
新マシン、初コース、初参戦でデビュー・ウィンを飾ったリアム・ローソン (C) JRP

4月8日、スーパーフォーミュラ2023年シーズンが富士スピードウェイで幕を開けた。

◆【実際の映像】スーパーフォーミュラ開幕戦、波乱の接触にエンジン・ストール続出

■盤石の王者・野尻智紀がまさかの2位

今季はニューマシン「SF23」が投入され、タイヤもカーボンニュートラルタイヤへ。重要な二つのハードが変更になることから、野尻智紀(チーム無限)が連続で頂点に立っていた勢力図にも変化があるのではと思われた。

歴史を紐解けば松田次生が2007年から2連覇した翌年、同じくニューマシンが投入され勢いはストップしている。実際、3月に行われた鈴鹿の合同テストでも抜きん出ていた印象はなかった。そして富士では今季、オフのテストが行われず、加えて金曜日のフリー走行も雨でキャンセル。完全にぶっつけ本番の開幕戦となったことから、野尻とチーム無限の優位性は見当たらなかった。

したがって、混戦となるはずが、予想を裏切り野尻とチーム無限はいきなり昨年同様の強さを見せた。

ワンデーの2戦連続開催となった今回、土曜日の最初のセッションは開幕戦の公式予選。従来のノックアウト予選から全22台による45分間の計時予選に急遽変更となり、そこで野尻は序盤からリード。中盤にマークした1分22秒62をその後ライバルは誰も破れず、野尻は開幕戦ポールを手にした。さらに3位にはチームメートのスーパーフォーミュラのルーキー、リアム・ローソン。チームとしても、ライバルを一歩リードした。

こうして午後の決勝も野尻を中心に展開することになるが、野尻は結局2位に終わった。

何か失敗があったわけではない。トップを守ったまま22周目にピットインし、トップで復帰。ペースも決して悪くなかった。ほぼ完璧なレースだ。ところが、予想をはるかに上回る速さと強さを見せたのがローソンで、1周目に4位から2位にジャンプアップした大湯都史樹(TGMグランプリ)をSCリスタートの7周目にオーバーテイクし2位に浮上すると、野尻の1周前にピットイン。その後のアウトラップから2~3周のペースは驚異的な速さで、野尻のアウトラップごとにオーバーテイクを決め、さらに数周で5秒のギャップを築く。終盤になってもペースは衰えることなく、そのままデビュー・ウィンを決めた。

昨季王者を従えてのデビュー・ウィンに衝撃が走った (C) JRP

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昨年のFIA F2ランキング3位でF1のリザーブ・ドライバーでもあるローソンの実力が確かなことは間違いない。

しかしながら、合同テストもなくフリー走行もキャンセルになった富士に関しては、予選が初走行。未知の1戦に前夜は「心配でなかなか寝つけなかった」と語っていた。予選はコースに慣れることが第一の課題だったという。つまり、22人の参戦ドライバーの中でもっとも不利な状況。そこから予選の45分と決勝の22周目までの数十分、あわせて1時間ちょっとで頂点に立ったのだ。かつて同じようにレッドブル育成ドライバーとして参戦し、その後F1で勝利を挙げたピエール・ガスリーも時間をかけずにトップ争いに加わる順応性の高さを見せ、さすがエリートだと思わせたが、それをはるかに凌ぐインパクトだった。

田中洋克監督にとっても、ローソンの速さは予想を超えていたようだった。

だが明日の第2戦もローソンの独り舞台になるとかといえば、そうとも予想できない。従来のノックアウト予選では1セッションあたり12台が最高台数のところ、今回は22台が一斉にアタックすることになり、タイムが伸びる後半にトラフィックの影響を受けたドライバーも多かった。また、今日のデータをもとに明日いかに改善が進められれるかも、経験が大きな武器になる。勢力図を語るのはまだ早い。

◆【実際の映像】ハイライト スーパーフォーミュラ開幕戦、波乱の接触にエンジン・ストール続出

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著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター

2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。