【卓球】引退の石川佳純が次世代へつなぐバトン、「追い抜かれるときは苦しい」5年間戦い抜いた東京五輪への想い

 

【卓球】引退の石川佳純が次世代へつなぐバトン、「追い抜かれるときは苦しい」5年間戦い抜いた東京五輪への想い
2023年5月に引退会見を開いた石川佳純 撮影:SPREAD編集部

ロンドン、リオデジャネイロ、東京五輪の女子団体メダリストで、卓球の石川佳純が18日、都内で引退会見を開いた。長年、日本卓球界の顔としてけん引し、“かすみん”の愛称で老若男女に親しまれてきたレジェンドが、23年間の現役生活に別れを告げた。

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■「オリンピックで見た景色は忘れない」

「自分自身やり切った気持ち。この日を迎えて嬉しく思う。23年間の現役生活にはオリンピックがあり、ロンドン、リオデジャネイロ、東京で見た景色は忘れない」。

開口一番、清々しい笑顔でそう語った石川。3大会連続メダル獲得という日本卓球界で彼女しかなし得ていない偉業は、栄光に彩られたキャリアとして差し支えない。それでも、23年の現役生活の中で、引退に至るまで数年間の石川は満身創痍で、苦しさと常に隣合わせだった。

最年少メンバーとして挑んだロンドン五輪、しかし中堅として戦った2016年のリオデジャネイロ五輪辺りからは、伊藤美誠、平野美宇といった2000年生まれの“黄金世代”が台頭。20代後半に差し掛かった石川にとっては否が応にも世代交代の波を感じずにはいられなかっただろう。

この日、会場に駆け付けたロンドン五輪の銀メダルメンバー、平野早矢香さんからリオから東京にかけての5年間について訊かれると、「何事も追い抜くときはすごく楽しいんですけど、追い抜かれるときは苦しい時間もあって、難しい時間もあった」と率直な想いを明かした。

■“黄金世代”と融合した東京五輪

それでも、石川は平野美宇とデッドヒートを繰り広げた東京五輪の選考レースに打ち勝ち、3大会連続の舞台へと足を進めた。そして、コロナ禍で1年の延期を経て挑んだ2021年には伊藤、平野という“黄金世代”と融合、銀メダルを勝ち取り日本卓球界では未到の地へとたどり着くこととなった。

東京五輪について訊くと石川は、真摯にその想いを語ってくれた。

「やっぱり地元、日本、東京五輪という特別な舞台のコートに立てたことはすごく幸せに思っています。その分、選考レースというのはすごく過酷でしたし、本当に心身ともに限界まで追い込んでのレースになりました。それだけ出るのが難しいのがオリンピックでありますし、そこに価値があると思うので、東京五輪のコートに立てたことは、コロナで1年延期もありましたけど、コートに立てて試合ができたことが一番嬉しかったです」。

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引退については今年3月のWTTシンガポールスマッシュの後に決断したという石川。「これ以上100%、120%またギアを上げてという頑張りが自分の中でエネルギーが残っていない。やり切ったなと、自分自身現役を引退という形で決意しました」と言及したその姿には、冒頭の清々しい挨拶に至るまでの葛藤も垣間見えた。