初挑戦となった英プレミアリーグでブライトンの日本代表MF三笘薫がリーグ最高の数値を残した。今回は、スポーツデータサイト『FBref』が公開しているデータを紹介しながらイングランド1年目で躍動したドリブラーの凄さを検証する。
◆【実際の映像】ブライトンで躍動の三笘薫、プレミア最高アタッカーたちと肩を並べた驚異のスタッツ
■リーグ最高のデータを記録したスタッツ
2022-23シーズンのプレミアリーグで33試合2318分出場し、7ゴール5アシストの成績を収めた三笘だが、リーグ最高クラスのデータを叩き出したのは「Progressive Carries」と呼ばれるドリブルしながらボールをどれだけ前進させたかという項目だ。この項目は自陣エリア内でのドリブルだけでは計測されず、自陣内から敵陣または敵陣内でボールを保持しながら一定距離以上前進しなければならない。
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このデータにおいて三笘はシーズン143回の成功を記録し、MFブカヨ・サカ(179回/アーセナル)に次ぐ2位タイにつけた。※同率2位はMFジャック・グリーリッシュ(143回/マンチェスター・シティ)
さらに三笘はゴールエリアに至る領域でもデータを残している。「CPA/Carries into Penalty Area」と呼ばれるドリブルでペナルティエリアに侵入した回数において、シーズン85回の成功を記録し、FWモハメド・サラー(87回/リバプール)に次いでこちらも2位となっている。
欧州5大リーグ(プレミアリーグに加えて、スペイン・ラ・リーガ、ドイツ・ブンデスリーガ、イタリア・セリエA、フランス・リーグ・アン)を含めたランキングでもFWヴィニシウス・ジュニオール(140回/レアル・マドリード)、2位サラー、3位FWキリアン・ムバッペ(86回/パリ・サンジェルマン)に次ぐ4位となっており、世界的スターたちに肩を並べている。
■プレミア屈指のアタッカーとの比較
ただし、忘れてはならないのは、昨年11月に開催されたカタールW杯前まで三笘は所属チームでそこまで出番を与えられているわけではなかった。W杯前までは出場9試合314分の出場にとどまっている。サラーと比較してみると…
モハメド・サラー
W杯前…14試合1236分出場 30回
W杯後…24試合2054分出場 57回
三笘薫
W杯前…9試合 314分出場 9回
W杯後…24試合2004分出場 76回
三笘がもし、フルシーズン継続し戦えるのであれば、プレミアでもNo.1クラスのドリブラー・運び屋だとデータにも現れる。
また、このCPAを90分間あたりの成績に置き換えてみると、三笘は3.29回でプレミア1位のデータを記録(※シーズン半分以上の出場時間を記録した選手に限る)した。しかも2位のグリーリッシュが2.76回、3位のサカが2.61回、総合回数では僅差でトップをあけ渡したサラーが4位の2.41回であり、1試合で約1回程度侵入回数での違いを作れていることがわかる。
今季後半から主力に定着した三笘だが、まだフルシーズンでの実績ではない。しかし、後半戦に見せた活躍が来季フルで期待できるのであれば、得点やアシストはもちろんのこと、多くのデータ項目でも最高位争いを繰り広げることになるのは間違いないだろう。また、初参戦となる欧州カップ戦での記録にも期待したい。
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文●佐藤祐一(さとう・ゆういち)