【MLB】菊池雄星が大谷翔平、千賀滉大をしのぐ7勝目 カギは変化球の低速化 「スローカーブは非常に有効」と指揮官も称賛

 

【MLB】菊池雄星が大谷翔平、千賀滉大をしのぐ7勝目 カギは変化球の低速化 「スローカーブは非常に有効」と指揮官も称賛
自己最多タイの7勝目を挙げた菊池雄星(C)Getty Images

トロント・ブルージェイズ菊池雄星が25日(日本時間26日)、本拠地でのオークランド・アスレチックス戦に先発登板し、7回を2安打2四球1失点、8奪三振の好投を披露。チームは12-1で勝利し、菊池も今季7勝目をあげた。大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)、千賀滉大(ニューヨーク・メッツ)の6勝を上回り、日本人投手で単独トップに立った。

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■7回101球を投げて2安打1失点

最近登板の4試合で白星を逃し続けた菊池。7勝目を前に足踏みしていたが、この日は序盤から快調に飛ばした。

初回は2つの三振を奪うなど3者凡退の好発進。続く2、3回も3人ずつで片付け、1巡目はパーフェクトで抑えた。

4点リードの4回には1死から二塁打を浴びたが、後続を2者連続三振に切って取り、無失点で切り抜けた。6回、先頭トニー・ケンプに3号ソロを許し、この日初失点したものの安定した投球はその後も変わらず。結局、この日は7回101球を投げて2安打1失点、8奪三振の好投で自己最多タイとなる7勝目をつかんだ。

大谷、千賀と6勝で並んでいたが、日本人投手単独トップに立った菊池。堂々たる投球を目の当たりしたMLB公式サイトは「ブルージェイズのロースターで、菊池雄星ほどはっきりと自信を身にまとっている選手はいない」とマウンド上での印象を記した。

チームを率いるジョン・シュナイダー監督は「彼は何も恐れていない。昨季はカウント2―0になったら、彼は緊張してしまっていた。だが、今季は正反対だ。彼はどんなカウントでも自信を持って投げている」と話し、昨季からの変化を指摘した。

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菊池は試合後、「ブルージェイズに入団して以降、7回まで投げ切ることができなかったので、きょうはとても良かった。ブルペンを救うことができたと思う」と胸を張った。

■スライダー、カーブの球速を抑える

米スポーツメディア『The Athletic』は、菊池が復調した要因を分析し、特にスライダーとカーブの球速に注目した。同メディアによると、4勝を挙げた4月のスライダーは平均89マイル(約143キロ)で、被打率は.170だったという。しかし、5月に入るとスライダーの球速は90マイル(約145キロ)まで上昇。これに伴いスライダーがカッターのように見え、速球とのスピード差も減少。その結果、被打率.367、長打率.800と打ち込まれるようになったと言及。しかし、6月に入って再び88マイル(約142キロ)に減速すると、被打率も.212に低下したと記した。

一方、カーブも5月の85マイル(約137キロ)から6月は83マイル(約134キロ)にスピードダウン。すると、被打率も低下させることに成功したという。また、記事はそのカーブについて「ストライクを稼ぐカウント球だけではなく、どんなカウントでも投げられる」と称賛した。

シュナイダー監督も変化球のスピードダウンについて「スローカーブは非常に有効だ。緩急があると打つのは難しいし、ストライクとボールを投げ分けることができると、より難しくなる。これは菊池とピート・ウォーカー投手コーチが常に取り組んでいることで、よく話しもしている。彼には96マイル(約150キロ)の速球もあるので、カーブの威力はさらに増す」と話した。

スライダーとカーブの球速をあえて低下させ、速球との差を広げた菊池。4月4勝、5勝2勝、6月はこの試合を迎えるまで勝ち星なしだったが、緩急を付けた投球で復活の足がかりを得た。

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文●SPREAD編集部