太田雄貴、LGBTについて語る「なぜ日本人選手はカミングアウトしにくいのか」

日本最大級のLGBT関連イベント「東京レインボープライド2018」が4月28日~5月6日までの間開催される。

28日、渋谷の「ホテル コエ トーキョー」で同イベントのオープニングレセプションが行われ、元サッカー女子日本代表の丸山桂里奈さんや、元フェンシング日本代表の太田雄貴さんらが登場した。

2016年に開催されたリオ五輪ではLGBT当事者であると表明したアスリートの参加が過去最多となったことを踏まえ、2020年の東京五輪に向けた課題について話し合った。

IOCのトランスジェンダー選手への規定

現在IOC(国際オリンピック委員会)は、「選手の人権を尊重すること」を前提にトランスジェンダー選手の参加条件を定めている。LGBTの選手は性別適合手術する必要はない。しかし、そこには一定のルールがある。

FTM(女性から男性になった)アスリートは条件なしで男性として参加可能だが、MTF(男性から女性になった)アスリートはテストステロンの基準値など含め、一定の条件をクリアしなければいけない。

太田さんは、日本フェンシング界のLGBT選手への対応について、「整備されていない。やらなきゃいけないところが多すぎて。(LGBT関連の決まりまで)追い付いていないというのが正直なところ。上が(方針を)出せば下はついてくるので、出してあげなければいけないと思っている」と反省。( 太田さんは2017年夏、日本フェンシング協会会長に就任)

元フェンシング日本代表の太田雄貴さん

ドーピングがはびこる世の中

続いて、「なぜ男子選手から女子選手に移行する際は問題で、女子選手から男子選手は問題ないのか」ということについては、「ドーピングが蔓延(はびこ)っていることが問題」と指摘した。

主にドーピングに用いられるのは、「テストステロン」等の男性ホルモンを元にした、スポーツで効果的な作用を出すように加工された物質だ。

なぜかというと、男性ホルモンであるテストステロンは、男性器の成長や精子を作り出す働きの他に「タンパク同化作用」、すなわち筋肉を増強する作用があるからだ。

「ドーピングが蔓延ってしまっているので、わざと(ドーピングをして)増やしているのか、LGBTの問題でテストステロンがあるのか判断できないというのが問題なのではないか」とのことだ。

同時に、「男子はカミングアウトのしようがない。上下関係もある。男社会が強いので」とも指摘した。

実は、先日もこのテストステロン値とスポーツ選手をめぐるニュースがあった。

国際陸連(IAAF)が4月26日に発表した、男性ホルモンのテストステロン値が高い女子選手の出場資格を制限する新たな規則によって、女子800メートルで五輪金メダルを2個獲得するなど強さを発揮してきたキャスター・セメンヤ(南アフリカ)選手は今後レースに出場できない恐れがでてきたのだ。

セメンヤ選手は先天的な「アンドロゲン過剰症」という病気で、テストステロン値が非常に高いからだ。

日本人オリンピアンのマネタイズ方法=好感度をお金に変えること

まとめると、「女性の心を持つが男性の体であるトランスジェンダーの選手(男性の体のためテストステロンの値が高い)」と、「ドーピングによってテストステロンを注入した選手」を判断するのが、このドーピングが蔓延った世の中では大変なのではないか、というのが太田さんの指摘するポイントとなりそうだ。

なお、日本人の現役オリンピアンでLGBTであることをカミングアウトした選手はいないという。

太田さんはこの状態に「(日本人選手は)カミングアウトすることによって、スポンサーや所属先への影響を心配していることが多い。結局、オリンピック選手のマネタイズは、好感度をお金に変えること。選手は好感度を下げないようにしないといけない。だから、声をあげることがマイナスじゃないよう(な空気)にしないと。ファーストペンギン待ち、といった状態で、選手もスポンサーも忖度し合っている気がします」と問題点を指摘した。

 

4月28日、渋谷の「ホテル コエ トーキョー」で同イベントのオープニングレセプションが行われ、元サッカー女子日本代表の丸山桂里奈さんや、元フェンシング日本代表の太田雄貴さんらが登場した。

≪大日方航≫