サマーマイルシリーズ第3戦、第58回関屋記念(GIII、芝1600m)は、中京記念で重賞初制覇を果たしたセルバーグ、同2着のディヴィーナをはじめ、一昨年の覇者ロータスランド、京都牝馬Sを制したララクリスティーヌ、条件戦を制して勢いに乗るエターナルタイムなど、実績馬と新興勢力のマイル巧者が激突する楽しみなレースとなりそうだ。
そんな中、重賞連勝を狙うセルバーグが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■中京記念→関屋記念の連勝は皆無
前走の中京記念で、セルバーグは前半3Fを34秒6で飛ばし、後続を寄せ付けない逃げ切り勝ちを収め、重賞ウイナーの仲間入りを果たした。今回は初の新潟コースとなるが、同じ左回りのマイル戦で、スピード力を活かすには絶好の舞台。引き続き同様のパフォーマンスが期待される。
関屋記念での中京記念組は、過去10年で【3.5.2.38】の成績。最多3勝をマークし、相性の良さはうかがえるが、その内訳を見てみると、複勝圏内に入った延べ10頭中9頭が、中京記念で4着以下に敗れていた馬が巻き返したもの。
逆に中京記念で1~3着馬は【0.1.0.13】の成績で、2017年にウインガニオンが中京記念1着→関屋記念2着と連続で好走した例があるだけで、それ以外はほとんど着外に敗れており、同じ左回りのマイル戦だからといって、連続して好走することが難しいことが分かる。しかも、2012年にサマーマイルシリーズが創設されて以降、中京記念→関屋記念を連勝した馬はおらず、セルバーグにとって、その壁は高い。
また過去10年、前走が逃げの戦法だった馬の成績は【1.1.0.8】で、2017年マルターズアポジー(1着)、20年トロワゼトワル(2着)と、2頭が連に絡んでいるが、両馬とも、前走は逃げて2桁着順に敗れ、伏兵的な立場となった関屋記念では、マークが緩くなったのか、再び逃げることで好結果を残した。一方、前走で逃げて好結果を残した、2018年ショウナンアンセムや19年サラキアは、関屋記念で再び同様の逃げの手を打てずに敗れており、2戦続けて逃げ切ることの難しさが見て取れる。
夏のマイル王が決まることの多い関屋記念。現在トップに立っているセルバーグが、ここでの結果いかんでチャンピオンになる可能性が高くなるが、これまでの歴史を繰り返すようなら、あっさり惨敗が濃厚。楽な単騎逃げを許してもらえず、自分のレースが作れない可能性が高いと見て、人気ほどの妙味はなく、今回は思い切って「消し」でいきたい。
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著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。