日本卓球女子のパリ五輪行きをかけた戦いは、選考ポイントで首位を走る早田ひな(日本生命)が独走状態で2位以下を引き離す展開が続く。そんななか、シングルス出場権争いで焦点となるのが平野美宇(木下グループ)と伊藤美誠(スターツ)による2位争いである。
◆2位の平野美宇がパリ選考ポイント「400」に到達 男子は張本智和ら上位陣に変動なし 9月にはアジアでの戦い
■序盤はフル稼働の平野が優勢
日本卓球協会が21日に発表した最新のパリ五輪選考ポイントランキングで、2位の平野は400ポイントに到達。3位の伊藤は369.5ポイントで両者の現在の差は「30.5」。平野はこの差をいかに離すか、一方の伊藤はいかに縮めるかの戦いとなっている。
そんな両者の戦いにおいてひとつのカギを握るのがTリーグ。選考会や国際大会などと並びパリ五輪の選考対象となっているTリーグでは、シングルスの勝利者には2ポイント、ビクトリーマッチでの勝利者に1ポイントが加算される。
平野は今季ここまでシングルスで4試合に出場し4勝0敗で勝率は100%。国際大会では棄権するなど状態が心配された中、Tリーグで取りこぼしがなく8ポイントを重ねる。一方の伊藤は海外遠征による影響でここまで出場は2試合。2勝0敗と流石の存在感を示しているが、序盤戦は新主将として全試合出場の平野が優位に立つ。
■昨季は伊藤が平野を上回る
昨季のスタッツを見ると、平野はシングルスで18試合に出場し、12勝6敗の成績で勝率は「66.7%」、ビクトリーマッチは0勝1敗だった。一方の伊藤はシングルスで16試合出場と平野より2試合出場試合が少ない中13勝3敗の成績で勝率は「81.3%」。ビクトリーマッチは3試合で1勝2敗、平野を数字上で上回った。
昨季のレギュレーションではシングルス1勝で1点、ビクトリーマッチは2勝で1点(1勝0.5点)となっていた。また、セミファイナル1勝1点、ファイナル1勝2点など、プレーオフも加点対象となっていた。
この成績を反映させた結果、平野は12ポイント、伊藤は15.5ポイント獲得と伊藤が優勢に立った。今季から1試合あたりのポイント数が増えている中で、伊藤が最終的にどのような成績を残して平野との差を縮めるかは興味深い。
9月からはアジア競技大会やアジア選手権、11月には第6回のパリ五輪選考会があり、これらの戦いが大きなポイントとなるのは間違いない。そんななかでも、しのぎを削る平野と伊藤という“黄金世代”がTリーグの戦いにおいてどのように選考ポイントを稼ぎ、パリ行きへ近づいていくかは注目が集まる。
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文●SPREAD編集部