【Tリーグ/卓球】静岡ジェード・森薗政崇、優勝候補を“圧巻”撃破も「正直気は抜けない」 新チームは「成長の場にして磨き合う」と今後見据える

 

【Tリーグ/卓球】静岡ジェード・森薗政崇、優勝候補を“圧巻”撃破も「正直気は抜けない」 新チームは「成長の場にして磨き合う」と今後見据える
静岡ジェードの森薗政崇 撮影:SPREAD編集部

ノジマTリーグ 2023-2024シーズン」は26日、グランフロント大阪で行われ、静岡ジェードと木下マイスター東京が対戦。4-0で静岡ジェードが勝利した。

ここまで5勝1敗で男子の首位を走っていた優勝候補の木下マイスター東京に挑んだ静岡ジェード。大阪の地で見せた戦いは圧巻と呼ぶにふさわしい爽快なものであった。

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■優勝候補と対戦

流れを呼び込んだのがダブルスの戦い。昨季のTリーグでべストペア賞を受賞した大島祐哉/篠塚大登という実力と経験を兼ね備えるペアに対し、今季ここまで5勝0敗と無傷の龍崎東寅/森薗政崇ペアが立ち向かう。

森薗が試合後に「分が悪いかなと思ったんですけど、僕らも今年ベストペア賞を狙っていくという意気込みでやって準備も開幕からやってきた。実際成績も出せているので、気持ちの面でかなり押せていけた」と語ったように、警戒していた相手に第1ゲームを接戦の末11-10、第2ゲームも11-6でものにし無傷の6連勝。優位に立った。

その後のシングルスでも木下マイスター東京は、2番手にパリ五輪選考ランキング3位に立つ篠塚、3番手には「WTTコンテンダーリオデジャネイロ」で準優勝に輝いた16歳の松島輝空という強力な陣容を並べてきた。それでも、森薗が篠塚相手のフルゲームを逆転で制すと会場の雰囲気は熱を帯びる。続く松下大星も、“期待の新星”松島に首をかしげるシーンが目立つなど流れを作らせず。そのまま3-1で勝利をつかみ勝利を確定させた。

さらに、4番手の松山祐季は今季Tリーグ初出場。相手は12日の琉球アスティーダ戦で張本智和とのビクトリーマッチを制すなど、7勝0敗を誇っていたリン・ユンジュ。「(勝利が確定し)プレッシャーもないなかであれだけのプレーをしてくれて。チームとしてはできすぎ」と監督の森薗が語った堂々たるプレーで撃破。圧巻の4-0ストレート勝ちを完成させたのだった。

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静岡ジェードがKM東京を4-0で下した 撮影:SPREAD編集部

■9月から中断期間に入るTリーグ

今季から新規参入チームとしてTリーグに挑む静岡ジェードは、開幕3連敗で迎えたなか12日のT.T彩たま戦で待望の新チーム初勝利をマーク。そこから波に乗ると、続く金沢ポートとの新規参入チーム対決を制し2連勝。そこから首位の木下マイスター東京撃破で星を五分に戻し、勢いに乗ったまま序盤の戦いを終えることになった。

それでも今季からTリーグ初のプレイングマネージャーを務める森薗は「選手は120%の力で頑張っていてパワーが出せてしまっているので、正直気は抜けないです」と冷静さを見失わない。結果が出ていることに関しても、「Tリーグは短期決戦のルールが多いので、こういう結果になることもある」と分析している。

Tリーグは9月から中断期間に入り、10月まで約1カ月半ブランクが空くことになる。新チームとして動き出した静岡ジェードにとって、リーグでの実戦を経験して迎えるこの期間もまた、成長に向けての重要な期間となる。

「常に合宿を組んだり遠征に行ったりとか、少し休みをとってからまた練習の日々になる」と中断期間の過ごし方を明かした森薗は、2022年のインターハイで3位に輝いた三木隼や、今年の全日本卓球選手権のジュニアで3位に立った坂井雄飛といった高校生について言及。

「その世代ではトップを走ってる選手だけど、どうしてもTリーグに来るとプロとの差はある。ただこの選手たちを10月、11月に使っていくにあたって、その準備もしていかないといけない」と若い才能を実戦で起用するための準備期間に充て、長いシーズンを乗り切っていくプランを明かす。

森薗は「僕も監督としては初年度なので学びながらやらせてもらっていて、選手たちも静岡ジェードを成長の場にしてほしいし、僕自身もここを成長の場にしながら磨き合っていければと思います」と語った。監督、選手、ファンが一体となって歩み出した新規球団の挑戦は続く。

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取材・文●井本佳孝(SPREAD編集部)