サマー2000シリーズの最終戦となる第59回新潟記念(GIII、芝2000m)が開催される。
今年は目黒記念3着から臨戦する良血馬サリエラ、宝塚記念6着のプラダリア、逆転でシリーズチャンピオンの座を狙うマイネルウィルトスや、同レース覇者のブラヴァス、ユーキャンスマイルといった古豪も顔を揃え、ハンデ戦らしい難解な一戦となりそうだ。
そんな中、3歳馬から唯一参戦するノッキングポイントが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
◆【新潟記念2023予想/血統傾向】距離短縮で単回収値「161」に上昇 実績上位が想定オッズ“2桁”の妙味
■重賞未勝利の3歳馬は勝てない
ノッキングポイントは、毎日杯2着から臨んだ日本ダービーで、単勝166.8倍の15番人気と、かなり低評価の存在だったが、中団からしぶとく脚を伸ばし、勝ち馬からコンマ2秒差の5着と好走。“あわや”を想起させる激走を演じて見せた。その実績が評価され、ハンデも手頃な54キロに収まり、今回は人気の一角を担う存在となりそうだ。
新潟記念で3歳馬の好走といえば、2018年のブラストワンピースが思い出される。ノッキングポイントと同様、日本ダービー5着からの転戦で見事に優勝。当時は菊花賞への前哨戦として当レースを選択し、異例のローテと賛否の分かれる参戦だったが、結果を残して周囲の声を一蹴して見せた。
ノッキングポイントにとっては、前例のある好走条件にも思えるが、3歳馬による新潟記念の成績は、過去10年で【1.0.1.6】と、決して相性の良いレースではなく、15年ミュゼスルタン(1人気16着)、20年ワーケア(1人気10着)など、人気を背負って大敗するケースも目立つ。好走したブラストワンピースや、昨年3着のフェーングロッテンは、ともに重賞勝ちの実績を持っており、重賞未勝利のノッキングポイントにとっては、決して楽な戦いとはならないだろう。
また、父にモーリスを持つノッキングポイントだが、デビュー以来、モーリス産駒の新潟芝コースでの主な距離別成績は以下の通り。
1200m【4.4.0.20】
1400m【5.3.0.25】
1600m【5.8.5.46】
1800m【6.2.2.30】
2000m【1.1.1.23】
1200mから1800mまではコンスタントに好走する馬を輩出しているが、2000mになると、極端にその成績が落ちる。他場の芝2000mでは、東京【11.8.4.24】や中山【9.8.6.38】など元来、中距離前後で力を発揮しているモーリス産駒であるが、新潟に限ると、何故か相性が良くない点は、ノッキングポイントにとってマイナス材料だ。
古馬が相手でも未知の魅力たっぷりのノッキングポイントであるが、重賞未勝利の身で歴戦の古豪を相手にどこまでやれるか。また、モーリス産駒の新潟芝2000mへの相性の悪さを考えると、人気ほどの妙味は感じられず、ここは思い切って「消し」でいきたい。
新潟記念2023 予想コラム一覧
騎手データ
◆【騎手データ】問答無用の“連対率71.4%”を誇る名手とは……サリエラ・ルメールJには警鐘
追い切り診断
◆【追い切り診断】サリエラを上回る「S」の最高評価 「前進気勢、メンタルともに◎で絶好調」
◆【追い切り診断】ノッキングポイントに迫る高評価「A」 「中間アクシデントの影響はほぼ皆無」
◆【追い切り診断】実績最上位に辛口「B」の低評価 「相手なりに走れる脚力は魅力だが……」
◆【追い切り診断】軽ハンデの“伏兵”がサリエラと同評価「A」 「陣営が想定した以上の仕上がり」
データ攻略
◆【データ攻略】「さすがに消せない」人気一角 ノッキングポイントより信頼できる“4年連続馬券内”データ
◆【データ攻略】サリエラ以外の人気馬に“連対率7割超” 「開催最終週だから買える」騎手の正体は
◆【データ攻略】“カラテ級の大穴”が急浮上 「3.0.0.1」の条件濃厚で波乱の使者に
◆【データ攻略】調教で抜擢した“大穴中の大穴” 「2.1.1.0」を追い風に大激走の予感
穴馬予想
◆【穴馬アナライズ】単勝“10人気”以下の爆穴 「激走の材料揃いの今回は一発あり」
◆【穴馬アナライズ】想定“6人気”前後の盲点 「ポテンシャル×軽ハンデで波乱の資格」
◆【穴馬アナライズ】単勝オッズ“2桁”の伏兵 「3.2.1.0」と「2.0.0.0」の好走アラートに食指
◆【WIN5予想】メインはハンデに恵まれた“想定2桁”オッズの伏兵も候補 「一点突破」は小倉2歳Sの先行馬
血統傾向
◆【血統傾向】距離短縮で単回収値「161」に上昇 実績上位が想定オッズ“2桁”の妙味
◆【血統傾向】復調気配の重賞馬に【6.1.1.14】を信頼 複数の好走条件が重なる今回は“狙い目”
◆【血統傾向】重賞初制覇の可能性 「コース×夏場」条件で【3.2.0.5】の好データが後押し
著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。