元K-1王者で格闘家の木村“フィリップ”ミノルは2日、都内で行われた「RIZIN」記者会見に登壇。6月24日に行われた『RIZIN.43』のロクク・ダリ戦でのドーピング検査の結果について、陽性だったことを報告した。
木村は謝罪した上で、ドーピング剤の使用は「K-1を離脱してから」、「RIZINでは検査があることは知っていたので、接種していない」と発言。RIZINからは半年間の出場停止を受けたが「またRIZINに出場できるなら、クリーンな身体で戦いたい」と次戦についても言及した。
この会見を受けて、多くの格闘家らが自身のYouTube、SNSなどを通じて自身の考えを発信し、話題を呼んでいる。
◆【実際の動画】「正々堂々と戦いたい」城戸康裕が2019年の勝利者マイクで熱く語った”ドーピングチェックの必要性”
■対戦相手が案じていた木村のドーピング疑惑
K-1時代に木村と対戦経験がある格闘家の城戸康裕は、「急に10数回連続KOとか、階級をバンバン上げてやっててあやしいな」と、ドーピング疑惑があったことを自身のYouTubeで語った。城戸は2019年にK-1のリングで「今現在、K-1はドーピングチェックをやってません。やってる奴いるな、と勝手に思ってます。ドーピングチェックって、1人につき何十万って掛かったりするんですね。日本の格闘技界でやってるところはほぼないです」と問題提起をしていた。
さらに城戸は木村の会見で「相手に対しての謝罪が少ない」ことについても言及。「ステロイドをするとパンチ力が2倍3倍になる」とし、「傷害事件と言ってもおかしくない。グローブの中にメリケンサックを入れてたような話」と危険性を強調した。その上で、「対戦相手の戦績に傷を付ける。応援してくれる周りの人やファン、スポンサーへの影響もある」とし、多方面への謝罪を要求した。
また、半年間の出場停止処分について、木村と昔から縁のある元プロボクサーの竹原慎二は、「処分が甘い。(今年3月の体重超過もかんがみて)永久追放でもいいくらい」と自身のYouTubeで厳しく断罪している。
■メジャースポーツを目指す日本格闘技界に進展か
今回のドーピング検査の陽性を受けて、8日時点で木村の出場した『RIZIN.43』のダリ戦、『INOKI BOM-BA-YE×巌流島』での矢地祐介戦、『KNOCK OUT 2023 SUPER BOUT “BLAZE”』でのクンタップ・チャロンチャイ戦の3試合の結果が無効試合(ノーコンテスト)に変更。
日本の格闘技界で、日本選手のドーピング陽性が大々的に公表されたことは記憶にない。
アメリカの総合格闘技団体「UFC」は2015年7月からアンチ・ドーピング機構(USADA)と提携。プロ格闘技団体としては史上初の取り組みで、ドーピングの徹底排除を目指しており、選手に抜き打ち検査を行った結果が「陽性」の場合には、2年間(状況に応じて最長4年)の出場停止が課される。
RIZINファイターの斎藤裕は自身のYouTubeで「(自分は)RIZINでは4試合連続でドーピングチェックをしている。ランダムで選ばれると聞いている」と経験談を明かし、「格闘技を見る世間一般の人たちも、これを機にドーピングや違法薬物を打つことについて考えが広がってくるのかな。フェアな戦いが観たいじゃないですか」と今後の展望についても語っている。
奇しくも『RIZIN』というビッグイベントの出場選手によるドーピング問題が発覚したことで、広がり始めた「アンチ・ドーピング」の声。メジャースポーツを目指す日本の格闘技界に、大きな変革期をもたらすかもしれない。
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文●工藤愛梨(SPREAD編集部)