ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平は、今季打率.304、44本塁打、95打点で日本選手初の本塁打王を獲得。投手としては、23試合に先発し10勝5敗、防御率3.14。132イニングを投げ、167奪三振を記録した。右肘靭帯損傷で来季の登板は見込めないものの、WBCから続いた圧倒的なパフォーマンスは世界中のファンを魅了した。
ここでは、メジャーでも有数の先発投手になった大谷の“完全復活”を願いつつ、公式データで「投球指標」を見て行こう。
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■43.2センチの本塁を横断する変化量
今季の投手・大谷を語る上で欠かせないのが、「スイーパー」と呼ばれる変化球だ。被打率.141の絶対的な決め球。突然、耳にするひとが増えたであろうこの球種は、MLB公式『Baseball Savant』が今季から新たに認定。大谷が偶然使い手だったという背景がある。縦変化が小さく、滑るように横に大きく曲がるのが特徴だ。
大谷は、2018年には投球全体の24.6%でスイーパーを投じていた。かつてスライダーだった球種の大半が、今季からスイーパーと呼ばれているに過ぎない。15勝と200奪三振を記録した昨季が37.4%、今季は35.2%を占め、全737球はメジャー全体で2番目に多かった。
月別で推移を見ると、被打率.082と猛威を振るった4月では投球割合48.1%、平均の横変化量が46センチをマーク。あまりの変化に自身が制球に苦しむ場面も見られ、5月に4被弾を喫すると一時は20%台まで割合が減少。故障が影響したのか定かではないが、8月に入ると横変化量が平均15センチほど低下している。
WBC決勝で同僚のマイク・トラウトを“仕留めた”最後の1球は、横変化量48.26センチ。最高のライバルと対峙し、シーズン平均41センチを大きく上回る驚異の数値を叩きだしていた。
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文●有賀博之(SPREAD編集部)