【スーパーフォーミュラ】来季の激戦を示唆した2023年最終戦 シーズンラストで主役を演じた太田格之進

 

【スーパーフォーミュラ】来季の激戦を示唆した2023年最終戦 シーズンラストで主役を演じた太田格之進
リアム・ローソン (C) JRP

前日に行われた第8戦後の当コラムで、ポール・トゥ・ウィンを決めた野尻智紀(無限)がランキングトップの宮田莉朋(トムス)に6.5ポイント差まで迫り、6位のリアム・ローソン(無限)は15ポイント差3位に後退したことからチャンピオンは宮田と野尻に絞られたかのように書いてしまったが、「忘れちゃ困る」とばかりに最終戦の予選ではローソンがポールを獲得。予選に関しては盤石かと思えた野尻は3位、宮田は4位。決勝は再びチャンピオンをかけた三つ巴の戦いとなると想像していた。

◆第8戦 野尻智紀がランキング2位に浮上、トップ宮田智紀との差を6.5ポイントにつめて最終決戦へ

■想像超えたパフォーマンス

そんな中、もうひとり「忘れちゃ困る」と存在感を発揮したのが、今季スーパーフォーミュラデビューの太田格之進(ダンディライアン)だった。シーズン序盤戦の苦い経験から6月のテストをきっかけにチームとともに着実に前進し、第6戦で予選3位、第7戦で予選2位と終盤にきて速さを急浮上させてきた太田。その2戦も決勝では厳しい戦いを強いられ、第8戦も予選4位からスタートで3位に浮上した。だが、レースは3周で終了していることから、この最終戦も予選で2位と3人の間に割って入ったものの決勝でもそこにい続けられるのか、正直なところそうは思えなかった。だがそんな想像を超える最高のパフォーマンスを見せ、シーズンのラストで主役となった。

太田は第8戦のレース好スタートについて「たまたまうまく行っただけ」と語っており、決して自信を得たようには思えなかった。それが、この大一番でも同様の素晴らしいスタートダッシュ。早くもトップに立つと、タイトルのためには優勝必須のローソンが懸命にプッシュを続けるも、つけ入る隙を与えなかった。ピットイン後もトップで復帰すると、タイヤが温まっていない状況の難しいアウトラップでローソンの猛攻を落ち着いてしのぎ、そのまま初優勝を達成した。

F1チーム、レッドブルの次期レギュラードライバーの筆頭候補であるローソンは今季、ほとんどのサーキットが初走行とは思えない驚異的なレースでの強さを発揮してきた。最終戦のレースでもそのパフォーマンスは変わらず、常に太田の後ろにつけプレッシャーをかけつづけたが「太田は速かった。何かミスがあればチャンスもあると思ったが、最後までチャンスは訪れなかった」と、完敗を認めた。

その結果、2023年ドライバーズタイトルは宮田の手に渡った。宮田は今季の大きな武器となった決勝での強さをここでも発揮し、4番手から3位に浮上しフィニッシュ。野尻はスタート後の位置取りが悪く4位に後退後も3人を追い上げるペースはなく、目標だったドライバーズチャンピオン3連覇を果たせなかった。

宮田、ローソン、野尻のいずれかが優勝しタイトルを決めるというのが最も盛り上がる最終戦だと思っていたが、ニューヒーローが最後に登場したことは来季にも繋がるもので、それ以上の結末だといえるだろう。ローソンの来季参戦はなさそうだが、宮田、野尻は参戦し来季も強さを発揮するはず。だが決して2人のマッチレースとはならず、他に強いライバルが現れ予想を超える激戦が繰り広げられるのでは――そんなドラマの予告編を太田が見せてくれた気がする。

◆第7戦 “蘇った王者の力” 野尻智紀がポール・トゥ・ウィン「今季最高じゃないですか?」

◆初クラッシュ&初“決勝ゼロポイント”のローソン「野尻さんは僕に対してスペースを残したと思う」

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◆国内トップカテゴリー50周年を機に高まる近藤真彦JRP新会長への期待

著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター

2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。