今週末は、第29回NHKマイルC(GI、東京芝1600m)が行われる。
朝日杯FSを制したパレスマリス産駒ジャンタルマンタル、阪神JF勝ち馬のダイワメジャー産駒アスコリピチェーノ、ホープフルS出走取消からの参戦となるブリックスアンドモルタル産駒ゴンバデカーブースなど、多彩な血統構成の馬が集結。
ここでは、馬券検討のヒントとなる「血統」で本競走を攻略する。
◆【NHKマイルカップ2024特集】出走予定・枠順、追い切り、予想オッズetc. 2歳GI馬「ジャンタルマンタルvs.アスコリピチェーノ」 お役立ち馬券攻略ガイド
目次
■マイラー種牡馬が真っ当に強い3歳マイル王決定戦
中距離重賞で実績を残す王道種牡馬の産駒を狙いたくなるのだが、3歳マイル王決定戦は真っ当にマイラー種牡馬が強い。過去10年でダイワメジャー産駒は【2.2.1.6】で複勝率45.5%だし、クロフネの産駒もこの10年で2勝を挙げている。
ついつい中距離重賞で見せた「スケール感」に釣られて、ディープ系やエピファネイアなんかを買ってしまいがちではあるものの、ここはマイルの晴れ舞台。血統的にキチンとマイルで走れる下地がある馬を狙うべきだ。
ディープやステイゴールドといった中長距離向きの種牡馬の場合は、母父が北米のダート血統やマイラー種牡馬である方が狙いやすい。ケイアイノーテック(母父スマーティージョーンズ)やギベオン(母父ゴーストザッパー)やギルデッドミラー(母父ティズナウ)、ミッキーアイル(母父ロックオブジブラルタル)はいずれもこのパターンだった。
要は「芝中距離向き種牡馬×芝中距離向き種牡馬」のクラシック配合だとスピード負けしやすいということ。勝ち負けするには父か母父のどちらかで短距離のスピードや北米の馬力血統を入れておきたい。
■ジャンタルマンタルはレース特性からずれる可能性
ジャンタルマンタルは2歳牡馬マイル王で皐月賞の3着馬。その皐月賞は直線でいったんは先頭に立つ、見せ場タップリの内容だった。負けて強しのレースだったと言えよう。
父パレスマリスはダート12FのGIベルモントSの勝ち馬。そのベルモントSはタフな流れになり、ラスト1Fは皆が歩く超がつくほどの消耗戦だった。そのため個人的には「種牡馬パレスマリスは上がりのかかるレースで強いのでは?」という仮説を立てている。ジャンタルマンタルにしても、マイルで勝った2戦はいずれもレースの上がり600mが35秒0以上かかっており、自身は34秒台半ばから後半くらいの脚を使って間に合わせたという内容だった。
一方で、NHKマイルCはレースの上がり600mが34秒台中盤に突入することが多い。実力と素質は最大限に評価しつつ、上がり性能が求められたときにやや不安材料があるという点を押さえておきたい。
一方で、狙い目になる血統・配合パターンが見つかったので、ここでそのうち、一つを紹介しよう。
■このレースにおけるダイワメジャー産駒の攻略パターン
今回注目したい配合は、「父ダイワメジャー×サドラーズウェルズ持ち母」の組み合わせ。その該当馬としてピックアップしたいのはアスコリピチェーノだ。
2歳マイル女王で桜花賞の2着馬。父ダイワメジャーはNHKマイルC勝ち馬を3頭送り出す当レース御用達の種牡馬だ。このレースにおけるダイワメジャー産駒の攻略パターンは比較的ハッキリしていて、母が欧州芝12F路線の重厚な血統を抱えている馬を狙うというもの。
「父ダイワメジャー×サドラーズウェルズ持ち母」の組み合わせだと、【2.1.0.2】連対率60.0%でサンプル数こそ少ないがアドマイヤマーズやメジャーエンブレムといった勝ち馬が出ている。
ダイワメジャーのスピードを下支えするスタミナを母から補強しておくのがパターンとして確立されている模様。アスコリピチェーノの場合は、母母父がサドラーズウェルズなのでこの条件をクリアしている。
またデビュー戦が芝1400mだったことからもわかるように、陣営は早くからこの馬の本質をスピード馬として見定めていたよう。速さが求められるこのレースでは非常に好感が持てる。
桜花賞1番人気馬の参戦という点は同じくダイワメジャー産駒のメジャーエンブレムやレシステンシアと同じ。好走した2頭に続く走りに期待できそうだ。
あとは枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論に至りたい。
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著者プロフィール
ドクトル井上
【重賞深掘りプロジェクト】血統サイエンティスト。在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。