ドジャースの大谷翔平投手は4日(日本時間5日)の試合終了時点で、打率.290、44本塁打、99打点、46盗塁の成績でナ・リーグMVPの最有力候補と目されている。
MVPに選出されれば、フルタイムの指名打者ではメジャー史上初の受賞となるが、果たしてどうか。地元紙『オレンジカウンティ・レジスター』は「(大谷が)攻撃面で前例のない活躍を成し遂げたことにより、フルタイムのDHがMVP賞を受賞すべきかどうかについて、一部の人々の考えが変わった」と報道した。
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■指名打者であろうと「異論を唱えるのは難しい」
大谷は8月末、メジャー史を塗り替えるシーズン「43本塁打43盗塁(43-43)」を達成。さらに2日(日本時間3日)には「44-44」に到達するなど記録を伸ばし続けおり、残22試合での「45-45」や「50-50」の偉業達成にも期待が高まっている。
大谷はナ・リーグMVPの最有力候補としても注目されているが、『オレンジカウンティ・レジスター』は「1973年にア・リーグで指名打者制が採用され、2022年にナ・リーグでもフルタイムで採用されて以来、投球せずにDHとしてほとんどのプレー時間を過ごした選手がMVP賞を受賞したことはない」と、受賞の難しさを強調。
過去にMVPを受賞した選手の中でもっとも指名打者としての出場割合が高かった選手でも、162試合中65試合(1979年のドン・ベイラー氏)だったとし、フルタイムのDHがMVP投票で2位だったことが過去4度あるもののいずれも受賞を逃しているとした。
また、最もMVPを競ったのは、2005年のデビッド・オルティス氏(同シーズン打率.300、47本塁打、148打点)で、1位のアレックス・ロドリゲス氏(打率.321、48本塁打、130打点)とは5票差だった。このオルティスの事例に対しては、ムーキー・ベッツ外野手は「もし彼が50個盗塁していれば、おそらく優勝していただろう」と主張したという。
レッドソックス時代の18年度にア・リーグMVP輝いたベッツは「(指名打者のMVP受賞は)賛成ではない。しかし、彼(大谷)が成し遂げたような活躍をしたDHはこれまでいない」とし、「攻撃面でも守備面でも、チームの勝利に貢献した最高の選手がMVPだと思う。最も価値のある選手、それがMVPだ」とMVPへの持論を展開。
2020年(ブレーブス所属時)にナ・リーグMVPに選出されたフレディ・フリーマン内野手は「(指名打者がMVP賞を受賞するべきではないと)ずっと思っていたが、彼が今年やっていることを見ると、それに異論を唱えるのは難しい」とし、「野球関係者としては、DHがMVPを獲得するのは難しいと思う。でも彼は誰もやったことのないことをやるチャンスがあるんだ」と大谷のMVP獲得の可能性を主張。「DHが受賞するのは難しいとずっと思ってきた。彼は1試合に4、5打席しか打てない。でも、50-50の可能性があるとなると、考え直さなければならないかもしれない」と語った。
また、2014年に投手として46年ぶりのMVPを受賞を果たしたクレイトン・カーショー投手は「MVPは最も価値のあるものすべてを網羅するべきだ。もちろん守備もその一翼を担う」とし、「だが、攻撃が優れていてその方が価値があるなら、それでいいと思う」指名打者の受賞にも柔軟な考えだ。
デーブ・ロバーツ監督もドジャースの84勝(56敗)に大谷が貢献していることを認識しており、MVPになる可能性に同意した上で「彼(大谷)は他の選手たちよりもそのくらい良いシーズンを送らなければならないと思う」と主張している。
指名打者がMVPに選出される難しさもあるなか、大谷は異論を封じる「50-50」達成で、自身3度目のMVPを受賞することはできるのか。引き続き注目したい。
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