【MLB】今永昇太の快投支える“ライジング・ファストボール”に注目 常識覆す「稀有な組み合わせ」で新人2冠

カブス・今永昇太
カブス・今永昇太(C)Getty Images

カブス・今永昇太投手が快投を続けている。

メジャー初挑戦で9先発、防御率0.84のメジャー記録を打ち立てると、日本人投手では1995年の野茂英雄投手以来29年ぶりに1年目でオールスターに出場。9月10日(日本時間11日)時点で13勝159奪三振はルーキー最多で“2冠”と快投を続けているが、大きな武器となっているのが“ライジング・ファストボール”だ。

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■178センチの身長で強打者たちを打ち取る

今永の身長178センチは、MLB選手の平均身長6フィート2インチ(約187.7センチ)よりも約10センチ低い。2メートルを超える高身長の選手が珍しくない投手においてはその差はさらに大きいだろう。

さらに、今永の速球(4シーム)の平均速度は91.7マイル(約147.6キロ)で、MLB平均の94.2マイル(約151.6キロ)と比べて4キロも遅いデータがある。しかしながら、4シームの被打率がMLB平均.245を大きく下回る.219に抑えられているのはなぜか?

その理由はリリースポイントとボールの回転数にあった。

まず、178センチの今永がボールを離す高さ=リリースポイントは5.5フィート(約167.6センチ)である。これはMLB平均の5.8フィート(約176.8センチ)よりも10センチ低い。そしてMLB平均の2288回転よりも多い2441回転の高いスピンをかけた4シームを高めに投げることで、高身長の投手が投げおろすよりも角度はフラットに近く、打者は浮き上がるように感じ、バットはボールの下を通過するのだ。

このメカニズムを、7月に行われたオールスター・ゲームのレッドカーペットで“ピッチング・ニンジャ”こと投球分析家のロブ・フリードマン氏が今永に問いかけると、今永は細かく指のかけ方まで解説している。フリードマン氏は、その時のより詳しい動画を自身のSNSで9月5日(同6日)に改めて公開した。

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フリードマン氏は「イマナガ・ショウタは速球が『上がる』方法を教えてくれた。実際には上がらないが、平均よりも下がることはないだろう」とコメントしている。

■身長、4シーム、さらには左腕では稀有の変化球

MLB全体で投球における4シームの割合が年々低下し、30%程度となっているなか、今永の4シームは53%と高い。また、前出のフリードマン氏が自身のSNSで「イマナガショウタの、えげつない84マイルのスプリッター」と動画を投稿したように、左投手では珍しいスプリットを30.7%の割合で、主に低めに投げ込むことで“ライジング・ファストボール”の効果を高めている。

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低いリリースポイントから、高回転のボールを高めに投げ込む“ライジング・ファストボール”に、左投手でありながらスプリットを投げる稀有な組み合わせがMLBの常識を変える。日本人メジャーリーガーを代表する投手の一人として、今永はこれからも歴史に残る好投を続けていくだろう。

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