2年連続での地区優勝に向けて、ブルワーズの勢いが止まらない。ナ・リーグ西地区において、2位のカブスには10ゲーム差をつけ首位を快走。大谷翔平投手との打点王争いを演じているウィリー・アダメス内野手や、“打てる捕手”としてチーム内の首位打者となっているウィリアム・コントレラス捕手らが打線を牽引するが、最も驚きを与えているのが弱冠20歳、今季メジャーデビューを果たしたジャクソン・チョーリオ外野手だ。
“2004年生まれ初のメジャーリーガー”として、開幕戦でデビューしたチョーリオは今シーズンここまで135試合に出場すると打率.276、本塁打21本、打点77、盗塁20、OPS.808とルーキーとは思えない衝撃的な活躍をみせている。また本塁打20本、盗塁20の「20-20」達成者としてはMLB史上最年少となり、まさに歴史的なルーキーイヤーを送っているといっていいだろう。
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■打席内容も成長中、ブルワーズの首位快走に大きく貢献
ブルワーズのチョーリオに対する期待はその契約にも表れている。2023年、メジャーデビュー前の選手としては異例の8年8200万ドル(約120億円)という超大型契約を結んでいるのだ。
メジャーデビュー前の選手が契約延長を結ぶのは史上6人目、また8200万ドルは史上最高額となっている。主砲のクリスチャン・イエリッチ外野手が怪我で離脱した穴を埋めるかのように活躍する姿は、チームにとっても期待以上だろう。また、ルーキーイヤーから125試合以上に出場した選手はブルワーズでは1976年のロビン・ヨーント氏以来という快挙だ。
【動画】チョーリオのMLB初アーチ
MLB公式サイトに掲載されたブレント・マグワイア氏のチョーリオに対する特集記事内では、『彼のMLBキャリアは決して順風満帆に始まったわけではない、5月末までは150打席以上に出場した打者の中で19番目に悪いスタッツを叩き出していたのだ。だが、この年齢でメジャーにいること自体が印象的であり、才能が完全に開花するまでは時間がかかると思わせた』と前半戦まではメジャーにアジャストしていなかったことを指摘。『しかし、6月以降の打率.317、出塁率.377、長打率.549、ホームラン14本、盗塁13、そしてOPS.926という数字はこの期間で11番目に高い。これは、コンタクトの質と量に対するアプローチを彼が変えたことによる変化だろう』と考察した。
実際に5月までと6月以降のアプローチの違いは数字にはっきりと現れている。バレル率、平均打ち出し角度はさほど変わらないものの、ハードヒット率は約5%、平均打球速度も上昇しており、打球の質が明らかに向上。さらに、三振率も27.0%から16.6%に低下するなど打席の内容も成長しているのだ。
トーナメント表で、ブルワーズがどの位置に入るのか次第で大きく戦い方が変化してきそうなナ・リーグのポストシーズン。弱冠20歳のスーパースター候補、チョーリオの活躍と共に今後の戦いに注目したい。
※成績は9月15日(日本時間9月16日)試合終了時点
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