目次
■菊花賞のレース展開は大混乱に
クラシック三冠は皐月賞がジャスティンミラノ、ダービーはダノンデサイル、そして菊花賞がアーバンシックと三冠をわけあって終わった。スピードの皐月賞、末脚のダービー、そして持久力の菊花賞。三冠は進むたびに異なる適性が問われる。
距離適性のジャッジがシビアになった昨今、三冠完走自体が減少傾向にある。昨年は5頭も久々に二冠馬を除き、皐月賞馬とダービー馬がそろった。今年も完走は5頭。皐月賞除外のダノンデサイル、ダービー取消のメイショウタバルを加え、三冠挑戦は7頭だった。3000mの菊花賞に挑戦しない傾向も距離適性を考え、賛同する気持ちもあるが、異なる適性を問う三冠を走った先にみえるものだってある。菊花賞を使ったことで待ち受ける過度な消耗を考えると、陣営の選択を尊重する。だが、三冠の価値は維持したい。複雑なところだ。
まして今年の菊花賞は先頭が次々と入れ替わる激しい競馬になった。単騎大逃げの可能性があったメイショウタバルが序盤に控えたことで、レース展開は混乱。だが、メイショウタバルに逃げなければいけない道理はない。決めつけや前提は競馬にはご法度。レースはあくまで生き物、やってみないとわからない。エコロヴァルツ→ノーブルスカイ→メイショウタバル→ピースワンデュックと先頭が入れ替わり、好位は想定外にごちゃついた。ダノンデサイルもそのあおりをくった一頭で、2周目4コーナーでは後方に。最後は6着まで盛り返しただけに、ダービー馬の力は示したと言える。
ここでも冴えわたったのはルメール騎手の手綱さばき。中盤までの出入りの激しい展開に対し、中団後ろで待機し、2周目3コーナー手前の坂ののぼりからじわっと動き、レースを動かした。呼応したのが武豊騎手のアドマイヤテラ。アーバンシックとの末脚比べでは敵わないので、あえて先に前へ出て、粘り込む形を目指す。それを目標に坂の下りでアーバンシックは進出開始。勝負所での仕掛け合戦はいかにも長距離戦らしい。
ヘデントールになんとかついて行かせた戸崎圭太騎手も、内を回って一発を狙ったショウナンラプンタの鮫島克駿騎手もそれぞれベストな競馬を試みた。まさに三冠最終戦にふさわしい味わいある攻防だった。
■的確なジャッジが光ったルメール騎手
ルメール騎手の強さは秋華賞でも触れたが、2着ヘデントール、3着アドマイヤテラにも騎乗経験があったことと無関係ではない。これも有力馬が集まるトップジョッキーの強みで、相手を知る騎手だけに的確なジャッジができるのも納得だ。ルメール騎手は早くも菊花賞4勝。このうち関東馬3勝。菊花賞は関東馬がなかなか勝てないレースだったが、2018~24年の7年で5勝。4連勝中だ。
ルメール騎手は関西所属ながら、重賞開催日はもちろん、非重賞開催日も関東へ遠征する機会が多い。JRA通算勝利は関東馬1146勝、関西馬799勝(地方馬1勝)。調教師別のトップ10は6位までが関東所属となっている。イクイノックス、チェルヴィニアの木村哲也厩舎、アーモンドアイの国枝栄厩舎、フィエールマンの手塚貴久厩舎など東のトップステーブルが並んでおり、今年あげた重賞10勝はすべて関東馬。緊密な関係だ。近年の関東馬の逆襲がルメール騎手を支え、その躍進はルメール騎手によるところが大きい。この相乗効果は今後も続くだろう。
さて、秋華賞、菊花賞を通し、血統面での傾向にも触れる。
ランズエッジの牝系はこの世代、レガレイラ、ステレンボッシュ、アーバンシックとGI3勝。一気に大ブレイクを果たした。レガレイラとアーバンシックは母がきょうだいで、母の父ハービンジャー、父スワーヴリチャードとほぼ同血。血統表をみれば、母以外はすべて同じ名前が並ぶ。同世代でGIを勝つのは珍しい。共通点のひとつ母の父ハービンジャーはチェルヴィニアの父だ。
ハービンジャー産駒は3年目の世代からペルシアンナイト、モズカッチャン、ディアドラとGI馬が出た。その後もブラストワンピース、ノームコア、ナミュールと活躍馬を出す一方、少しアベレージが低く、サンデーサイレンス系が多数を占める日本のスピード競馬に対応できない瞬発力を欠くタイプも多い。だが、チェルヴィニア、ステレンボッシュ、アーバンシックにはサンデーサイレンス直系にない底力を感じる。
これから先、レガレイラの母ロカ、アーバンシックの母エッジースタイルなどハービンジャーが血統表の奥に入った繁殖が増える。この手の血は直系ではなく、血統表に入り込んで、底力を伝えていく。ストームキャットやキングヘイローと同じようにハービンジャーも2代、3代に入ることで、能力開花の起爆剤になるのではないか。自身は現役時代、芝12ハロンのキングジョージ6世&クイーンエリザベスSを11馬身差でぶっちぎった。欧州の芝での底力はやがて日本競馬の未来に希望を与えるだろう。
天皇賞(秋)2024 予想コラム一覧
特集
◆【天皇賞秋2024特集】出走予定・枠順、予想オッズetc. 「ドウデュース vs. リバティアイランド、最強馬決定戦」お役立ち馬券攻略ガイド
◆【一覧】芸能人・予想家の「天皇賞(秋)」本命・注目馬予想まとめ GI連勝中!気になる本命◎は?
◆【一覧】「天皇賞(秋)」大口投票パトロール 前売り朝イチからリバティアイランドに「250万円」 上位拮抗レースらしく“複勝”に高額集中
追い切り評価
◆【追い切り診断】GI初制覇狙う一角に「S」の最高評価 “ド迫力”で手応え圧倒、待望タイトルに向けて好気配
◆【追い切り診断】展開利からも妙味の想定“8人気前後”に高評価 前走の反動なく「強気の攻めで急上昇」
◆【追い切り診断】実力上位の5歳馬に「B」の辛口評価 「体に違和感があるのか」物足りない調整過程に懸念
データ分析・過去10年傾向
◆【データ攻略】データ攻略】ダービー馬も凡走の“勝率0%”該当は ダノンベルーガとジャスティンパレスの「買い or 消し」
◆【データ攻略】4歳GI馬2頭の「買い or 消し」 “あり得ない加速ラップ”が示す鉄板級の軸候補
◆【全頭診断】人気一角に「勝率80%」で鉄板級か 武豊騎乗ドウデュースは「0.0.0.4」で“消し”も
◆【枠順傾向】レーベンスティールに“8枠の試練” 03年シンボリクリスエス以降勝利なし 伏兵は「外枠の差し馬」にチャンス
◆【高配当メソッド】1人気の4歳牝馬は「3.1.0.0」 5人気以内の決着3回のみで“伏兵”にもしっかり出番あり
◆【血統展望】2連覇の名馬と重なる“絶妙配合” 「キャリアハイのパフォーマンス」の期待大
◆【前走ローテ】宝塚記念に「2.3.1.3」の好走データ 別路線組は“スーパーGII組”に注意
◆【天皇賞秋2024予想】過去10年のレース結果・配当・血統まとめ 傾向分析に使えるお役立ちデータ
穴馬予想
◆【穴馬アナライズ】連敗はノーカン可能の実績馬が「地の利」で再浮上 想定“8人気”以下の逆襲
◆【危険な人気馬】勢いづく4歳一角を消し “秋の盾を勝てない血脈”と「1.0.0.17」の臨戦過程で過度な信頼禁物
アルテミスS/スワンS 予想コラム一覧
◆【アルテミスステークス2024予想】過去10年のレース結果・配当・血統まとめ 傾向分析に使えるお役立ちデータ
◆【スワンステークス2024予想】過去10年のレース結果・配当・血統まとめ 傾向分析に使えるお役立ちデータ
著者プロフィール
勝木淳
競馬を主戦場とする文筆家。 競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬ニュース・コラムサイト『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』( 星海社新書)などに寄稿。













![[過去10年]宝塚記念2026の前走ローテ](https://spread-sports.jp/wp/wp-content/uploads/wordpress-popular-posts/388719-featured-75x75.jpg)

